トップ > 中日スポーツ > 大相撲 > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【大相撲】

稀勢3連敗、休場へ ワーストタイ5金星配給

2017年11月21日 紙面から

宝富士(右端)に下手投げで敗れ、5敗目を喫した稀勢の里(佐藤桂一撮影)

写真

◇九州場所<9日目>

(20日・福岡国際センター)

 横綱稀勢の里(31)=田子ノ浦=は宝富士の下手投げに屈して3連敗、4場所連続休場の危機に陥った。1場所に5つ目の金星配給でワースト記録タイで、宝富士は通算3個目の金星。白鵬(32)=宮城野=は千代の国を上手出し投げで下し、初日から9連勝。年間勝ち数を51として最多勝争いでもトップになった。1敗平幕3人がいずれも敗れたため、ただ一人全勝の白鵬を、豪栄道と北勝富士ら平幕5人が2敗で追う展開となった。

 結びの一番、勝ち方を忘れてしまったかのような稀勢の里が、宝富士の左からの下手投げで土俵にはわされた。3日連続の金星配給で5敗目。土俵に上がるたび、休場危機が色濃くなる泥沼状態から、抜け出せないでいる。

 左四つで相手を組み止めて胸を合わせ、一見すると勝ちパターンに持ち込んだ。しかし、十分に引きつけられずに左下手で引いたまわしが離れ、右上手も一瞬でスルリ。土俵際まで攻める場面もあっただけに、焦りだけが浮き彫りになった。

 取組後は、10日目の出場の意志について問われたが「んー」。目を伏せたまま、生返事を繰り返すばかりだった。過去16勝1敗のお得意さまを蹴散らして心機一転、後半戦から出直すプランは崩壊した。

 待っていたのは、不名誉な記録ずくめの黒星。不戦敗を含まない3連敗は横綱昇進後、初の屈辱となった。1場所で5個の金星を与えるのは、2001年秋場所の武蔵丸以来2人目。休場をのぞき、9日目を終えて黒星先行だったのは、関脇時代の2011年夏場所までさかのぼる。当時は、不戦勝にも救われて8勝7敗。先行きの暗さを示している。

 「苦しい場所になる」と繰り返してきた八角理事長(元横綱北勝海)にも「5敗目は大きいでしょう」と想像以上の苦境。「横綱の責任もあるから。力が出せなかったらアレだけどね」とぼかしながら、相撲を見つめ直すための休場も、覚悟したような口ぶりだった。

 この日の朝、横綱と稽古場で言葉を交わし、師匠の田子ノ浦親方(元幕内隆の鶴)は、取組後に「本人も出るつもりでいるので」。稀勢の里の土俵への意欲を強調したが、すでに星取りは傷だらけ。イバラの道を進むか、4場所連続休場か。決断に時間の余裕はない。(志村拓)

 

この記事を印刷する

中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日スポーツ購読案内 東京中日スポーツ購読案内 中日スポーツ購読案内 東京中日スポーツ購読案内 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ