こんにちは、badです。前回の記事はこちらです。前回の記事に続き…
今日は茨城県の常陸鴻巣駅にきております。上野から水戸までは特急で1時間15分。水戸から常陸鴻巣駅までは水郡線で20分。水郡線は水戸と郡山を結ぶ単線のローカル線で、列車はディーゼル車。常陸鴻巣駅の駅舎は無人で、改札はワンマン運転の運転手さんがやってくれます。ご覧の通り何もない場所ですが、ここに来た目的とは…
駅から5分の木内酒造ならたっぷりと試飲できる
これは!?
そうなんです、常陸野ネストビールの製造元、木内酒造の酒蔵があるんです!駅徒歩5分!近い!
この駅からの近さは希少です。なぜなら、地方の醸造所や蒸留所はたいてい交通の便が悪いところにあり、クルマでしか行けない、でもクルマで行くと飲めないし…といったジレンマを抱えがちですが、駅徒歩5分ならそういった心配は無用で思う存分酒が飲めるからです。
常陸野ネストビールについておさらいしましょう。最大手・軽井沢のヤッホーブルーイングを新潟のエチゴビール・岩手の銀河高原ビールとともに追撃する茨城の地ビールメーカーです。常陸野ネストビール、その特徴といえばマニアックなビール造りにありますが、それはおいおいご紹介していきましょう。
さて、杉玉のかかる木戸をくぐると木内酒造のつくるあらゆる酒が置いてある販売所になっております。
木内酒造のあらゆるお酒が置いてあって取り乱す
ああッ?賀正エールバレルエディション?エスプレッソスタウトバレルエディション??初めて見るビールだ…飲んでみてえ…。うおお、ちょっと待って、あれは一体???
常陸野ネストリアルジンジャエール??ノンアルコール飲料ではありません???ジンジャ―ビアーなのか、でも”リアル”ジンジャエールって言ってるし、ジンジャエールなのか…リアルってなに…飲みたい…アッ、ちょっと待っていただいていいですか、ちょっと待っていただいていいですか、あそこ見てくださいあそこ。
シードル?シードルなんて出してるんだ、知らなかった…おいおい、この会社の規模でこんなに種類いっぱい出してるのかよ…凄すぎるでしょ…あっ、奥の部屋を見てください、これは…これは…
木内酒造の日本酒フルラインナップじゃないですか??ふだん常陸野ネストビールしか目にする機会ないですが、これが木内酒造元来の日本酒…飲みたい、すごく飲んでみたい…あああ、あそこ見てください、あそこ!!
梅酒!梅酒です!茨城といえば梅、茨城といえば梅酒なんです!ちょっと待ってください、ちょっと待ってくださいよ、ということは…
焼酎!木内酒造の焼酎!もうなんでもある、ヤバすぎるのでは??
…取り乱しました。
とまあ、フクロウマークの常陸野ネストビールが有名ですが、それ以外にも木内酒造ではいろいろなお酒をつくってるわけなんですね。眺めているだけでテンションあがります。
販売所を抜けると広い中庭があり、周囲には酒蔵が何棟も建ってます。ここで木内酒造の日本酒をつくってるんですね。店員さんに一声かけたら、酒造りしているところをみせてくれました。
予約は不要。ここから中には入れませんが、見学は自由。この時期に1年分のお酒を仕込むんだそうです。
「この建物はなんですか?」「母屋です。社長の奥様が住んでます」 おおお、見学自由の敷地内に住んでおられるとは…でかいお屋敷だ…
すいません、社長の盆栽も見学させていただきました。めっちゃ立派な盆栽でした。すげー高そう。盆栽についての造詣がないのでそれぐらいしか感想でてこないですけど…。いつか木内酒造の社長とお会いする機会があれば「あの盆栽のひねり具合、最高ですね!」って伝えたい。
一通り見学したらお酒の試飲をしましょう。というかそれが楽しみで来てます!
常陸野ネストビールはもちろん、焼酎、梅酒、ワインが試飲できます。
甘いビールが好きなのでホワイトエールを頼みました!ネストビールを生で飲める機会なかなかないので最高です!美味しい!
酒屋さんが作るお蕎麦「十割酒蕎麦」が最高に旨い
試飲所でビールをあおっているうちにお昼になりました。昼食は敷地内にある蕎麦屋「な嘉屋(なかや)」さんでいただくことにします。この店も木内酒造で運営してます。酒屋がつくる蕎麦とはいかなるものか…
!!! メニュー見てびっくりしました、水の代わりに純米酒で打った蕎麦、“十割酒蕎麦”なんてのがあります!なんだよそれ…初めて見たぞ…もうこれを頼むしかないのでは…。通常メニューにプラス340円で十割酒蕎麦に替えられるとのことなので、海老天蕎麦の十割酒蕎麦バージョンを頼みました。
蕎麦ができるまで木内酒造の純米酒、菊盛をいただきます。ここのお店、11時30分に開店なのですが、11時45分にはもう満席でした。大都会にあるわけでもないのにすごい人気ですね…。まあ待つ場合にも先ほどの利き酒所でビールを飲みながら席が空くのを待てるので、どっちにしろ最高、という万全の布陣です。
日本酒ちびちび飲んでるうちに天ぷらと蕎麦が来ました!揚げたての天ぷらと日本酒、最高すぎるのでは…。天ぷらのタネも、大ぶりの海老の他に、ズッキーニとか紫いもとかかなり気合の入った組み合わせで、どれもあつあつで美味しかったです。
さて待望の十割酒蕎麦、酒が入ってるはずですがそれはよく分かりませんでした(まあ、ずっと日本酒飲んでますしね…)。しかし香り高い蕎麦で完全に薬味いらず、とっても美味しい蕎麦でした。これも日本酒にすごく合います。最高の天ぷらと蕎麦と日本酒…ここは地上の楽園なのでは?というか待っている間に菊盛をほぼ飲みきってしまったので追加でもう1本頼んでしまいました。いやー、本当に美味しくて最高です。皆様も木内酒造に来たらぜひお蕎麦を食べてください!酒蔵がつくる蕎麦なんてなかなか味わえないですから…。
マニアックなビール造りこそ木内酒造の真骨頂だ
蕎麦をじゅうぶんに堪能したのでお土産を買って帰ることにします。ニッポニアというビールと、ニッポニアをワイン樽で熟成したというニッポニアバレルエディションを買いました。ビールをワイン樽で熟成、はじめて聞く製法です。というか普通のニッポニアすらしょっぱい醤油のようなビールというマニアックなビールですが、そのニッポニアをワイン樽で熟成するなんて、アクセル踏み込みすぎなのでは…誰かブレーキかける奴はいなかったのか…いや、このアクセルベタ踏みで攻めるマニアックなビール造りこそ木内酒造の真骨頂ではないでしょうか。
また、ここでは自分好みのビールをつくることのできる“手作りビール工房”もあります。最低ロットが45本(約3万円)~ということで、1人だとなかなかの出費ですが、友人たちと行けばワイワイ盛り上がりそうですし、オリジナルラベルでビールをつくれるそう(データ持ち込み可)なので、なにかの記念日に記念オリジナルビールをつくるのも良いと思います!
ちなみに常陸野ネストビールは常陸鴻巣駅の隣駅・上菅谷駅から車で10分の場所にある額田醸造所でつくられています。事前予約すれば見学もできるとのことでした。興味のある方は、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
…本来なら本稿はここでお終いですが、常陸鴻巣駅にはもうひとつ素晴らしいスポットがあるのでぜひ紹介させてください!
さらに蕎麦で〆る
水郡線は1時間に電車が1本しか通らないので待ち時間に駅の近所をぶらぶら散歩してたら偶然見つけた農産物の直売所、ふれあいファーム芳野です。駅から歩いて5分ぐらい。
朝獲りの烏骨鶏の卵とか、地の椎茸とか、つるむらさきに紫の水菜、都内のスーパーではあまり見かけない珍しい野菜がいっぱい売っておりました。筆者もついお土産にいっぱい野菜を買い込んでしまいました。
店内をよく見ると豆腐工房に蕎麦処があります。蕎麦はもう食べたしなあ…と思ったけれど、ここまで来たら行くしかない!
蕎麦は茨城県産のそば粉を使用した二八蕎麦、自家製の漬物がついてくるのが嬉しいです。さっき昼飯を食べたばかりなのにするすると胃袋におさまります。シメのラーメンならぬシメの蕎麦、ということでよろしいのではないでしょうか。後で調べたらこのお蕎麦屋さん、土日しか営業してないんですね。たまたま行けてラッキーでした。
店の人にもすごく親切にしていただきました。常陸鴻巣という場所には木内酒造がなければ一生来る機会なんてなかったかと思いますが、こうやって旅先で地元の人によくしていただいて良い思い出になりました。
タンニンを感じさせるワイン樽熟成のビール は飲んだことのない味
ちなみにお土産で買ったニッポニアバレルエディション、家に帰ってからあけたのですが、すごい複雑な味がしました。一言でいうと、”酸っぱい”ビール。ワイン樽で熟成してるので、そのタンニン分がおもいっきりでてるんですね。しかもアルコール度数は8度、ビールの中ではかなり強い。そしてニッポニアの塩分と、ワインの酸味。味が複雑すぎて思わず笑っちゃう。飲んだことのない世界です。しいて言うなら揚げ物とかの脂っこい料理にはあうかもしれません。いやーしかしこれは強烈な飲酒体験です。今までたいがいのビールは飲んだことあると思ったのですが、こんな世界があるんですね…ビールの世界はまだまだ奥深い。
こうなってくると買い逃した賀正エールのバレルエディションも気になってきます。ニッポニアバレルエディションはワイン樽熟成ですが、賀正エールはバーボン樽熟成だそうで、これまた全然違う風味だと思います。次の機会に絶対試さねば…。
というわけで初めて訪れた常陸鴻巣、とても楽しかったです。皆様もぜひ、週末は常陸鴻巣でビールと日本酒と蕎麦と地場野菜をお楽しみください!
紹介したお店
木内酒造
住所:茨城県那珂市鴻巣1257
TEL:029-212-5111
URL:http://www.kodawari.cc/
蔵+蕎麦 な嘉屋
住所:茨城県那珂市鴻巣1257
TEL:029-270-7955
URL:http://nakaya.cc/shop/kurasoba.html
ふれあいファーム芳野
住所:茨城県那珂市鴻巣2090
TEL:029-295-8155
芳の庵
住所:茨城県那珂市鴻巣1257
TEL:029-295-8155
URL:https://r.gnavi.co.jp/rbm282zb0000/
※掲載された情報は、取材時点のものであり、変更されている可能性があります。
プロフィール
bad
1980年横浜生まれ、東京の下町在住。 趣味は写真。酒は人生。最近は娘の成長をブログに綴ってます。
ブログ 水蛇の背
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