ラッシュ時に電車を遅延させた人・親族の末路

鉄道事故裁判に詳しい弁護士の佐藤健宗氏に聞く

2017年11月24日(金)

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佐藤:加えて、鉄道事故は多くの人に迷惑をかける。経済に影響を与えたり、場合によってはそれによって人生が台無しになる人もいるかもしれない。ですから、社会のためにも、大切な家族のためにも、そしてご自身のためにも、安易に鉄道に飛び込んで自殺をするのは何とか思いとどまってほしい、と切に願います。その抑止力になるなら、「列車を大きく遅延させると、鉄道会社から億単位の莫大な賠償金が本人や遺族に請求される」と、世間でまことしやかに語られ続けているほうがいいと思っています。

では、航空機のトラブルはどうなのか?

よく分かりました。今回は鉄道の遅延がテーマでしたが、最後に飛行機の遅延についても、見解を伺いたいんですが。飛行機では自殺による遅延はないものの、「酒を飲んで暴れる」「キャビンアテンダントにゴミを“爆弾”だと言って渡す」「化粧室に閉じこもりタバコを吸う」「ナッツリターン」などによる遅延や引き返しは起きています。

佐藤:トラブルを引き起こした人への基本的な対応は、鉄道事故と変わりません。れっきとした不法行為ですし、代替機材の手配や引き返した場合の燃料代、客の宿泊代などを考えると、賠償額も鉄道の遅延以上になる可能性はあります。

それに、鉄道での自殺事故などと違って、航空機のトラブルは本人は健在です。場合によっては鉄道トラブル以上に深刻な結果につながりかねないわけですから、こってり絞られて然るべきだと思われますが。鉄道事故と異なり、国際線を乗り回しているような人の中には、賠償金を払う余裕のある人も多そうです。

佐藤:裁判にするかはともかく、責任はしっかり追及されているはずです。

「末路本」の詳細が気になる人は…

コメント6件コメント/レビュー

私も、億単位は眉唾でも、それなりの賠償請求はあると思っていたので、大変参考になる記事でした。
ただ、JR東海が提訴した事案については、誤った風評・理解が広まりかねないと危惧しています。
あの判決は、賠償責任を否定したものではなく、本人は責任無能力者で、代わって責任を負うべき監督者は存在しないという内容です。(個人的にはあの判例には疑問を覚えます。相手が大企業だからいいですけれど、認知症患者が交通事故を起こして相手を死傷させた場合の被害者救済に問題が生じます。)
提訴の理由も、最初に遺族が JR東海に逆に賠償を求めたのでやむを得ず、という話も聞きました。真偽は分かりませんが。(2017/11/24 11:15)

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「ラッシュ時に電車を遅延させた人・親族の末路」の著者

鈴木 信行

鈴木 信行(すずき・のぶゆき)

日経ビジネス副編集長

日経ビジネス、日本経済新聞産業部、日経エンタテインメント、日経ベンチャーを経て2011年1月から日経ビジネス副編集長。中小企業経営、製造業全般、事業承継、相続税制度、資産運用などが守備範囲。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

私も、億単位は眉唾でも、それなりの賠償請求はあると思っていたので、大変参考になる記事でした。
ただ、JR東海が提訴した事案については、誤った風評・理解が広まりかねないと危惧しています。
あの判決は、賠償責任を否定したものではなく、本人は責任無能力者で、代わって責任を負うべき監督者は存在しないという内容です。(個人的にはあの判例には疑問を覚えます。相手が大企業だからいいですけれど、認知症患者が交通事故を起こして相手を死傷させた場合の被害者救済に問題が生じます。)
提訴の理由も、最初に遺族が JR東海に逆に賠償を求めたのでやむを得ず、という話も聞きました。真偽は分かりませんが。(2017/11/24 11:15)

最後の最後まで、なんの関係もない大勢の人に迷惑をかけて自殺する人はどういう業を抱えているのかと思うけれども、飛び込み自殺を含めて、意図的に人に迷惑をかけて自殺すると地獄に落ちるという都市伝説も広めてほしいです。(2017/11/24 10:32)

 記事にも書かれているように、これは多くの人が気にしていますが、あまり広めない方が良い情報ですね。レビューにも、それが反映されていると思います。

 鉄道自殺は、自殺者の氏名や勤務先を公表して、マスコミが悪人として扱い(現に違法行為をしています)、ネットで大いに叩くべきだと考えます。
 そうすれば、後に続く人は激減するでしょう。
 死者に鞭打つというのは、日本の文化に合いませんが、生きて毎日電車に乗っている人の方が大事です。(2017/11/24 09:33)

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