生産性が低い日本企業がバタバタ潰れてるけど、効率重視の外資企業も良いことばかりじゃなかった話

僕のこのTweetが珍しく3000RTされた。

要は生産性を高めるには精神論じゃなく、具体的な工夫と技術が必要だというお話。

超当たり前のことだと思ったんだけど、このTweetが気付かないうちに2chにコピーされて叩かれていたっぽく。っていうか「2ちゃんねる」がいつの間にか「5ちゃんねる」になっててビックリ(=^・・^=)!

まぁいいや。

コメントのほとんどはマトモな職に就いたことなさそうな幼稚なものだったけど、ひとつだけ目に止まった意見があった。

勝手にマクロで効率化すると異動の際に後任に引き継げなくなる

人事異動で自分が担当から外れたあと、後任者がマクロ使いとは限らない。その場合、業務を容易に引き継ぎできず、現場の混乱を招くというのだ。

絶望した。

これこそが日本企業の生産性が低い原因。そして僕が日本企業で上手くいかなかった理由でもある。

成果を出せばやり方は人それぞれ

仕事は成果だけが大切と確信している。

わかりやすく事務作業。例えば大量のデータを処理して分析結果を出すなら、紙と鉛筆で手計算してもいいし、Excelを使ってもいいし、プログラムを組んで自動化しても良い。

どれでも同じ分析結果が得られるのだから。

これは一見、プログラムを選択した人が有利に感じる。実際、作業が一番早く終わるのはプログラム処理だろう。でももしバグがあれば、間違った分析結果を提出することになる。その責任を取って最悪クビや損害を請求されるかもしれない。一方、Excelの達人であれば、手計算より早く、プログラムより安全に、分析結果を得られるかもしれない。

そんな風に、ここで仕事とは「分析結果を正確に出すこと」だけで、そのやり方は担当者が得意な方法を選べばいい。

それが「その人にとって」一番効率が良いからだ。

そして、この業務を後任に引き継ぐなら「正確な分析結果を出す」というミッションのみが引き継ぎ事項。そのやり方は担当者次第なので、前任者がプログラマだからと言って、後任者のExcel達人がプログラムを覚える必要はない。逆もまたしかり。

ただ問題なのは、後任者がExcelもプログラムも出来ない「ド素人」だった場合だ。

やり方まで指定するから日本企業は生産性が低い

トイレが詰まって業者を呼んだとする。それでノコノコやって来た業者がド素人で「トイレってどうやって直すんですか?」とか言い出したら怒るだろう。

でも、後任者に手順まで教えるのは、修理業者に修理方法を教えるのと同じこと。

後任者が専門家じゃないから、ド素人でも仕事が廻るように不効率な手順に落とし込まないと「現場が混乱」しちゃう。

その結果、一番単純で誰でもできる「手作業」でやる日本企業の悪夢が生まれる。

そしてさらに悪い事に、手作業しかできない無能が「俺達が引き継げないだろうが!」とExcelやプログラムで効率化できる人を引きずり下ろす。

極論すれば、能力が低い者に合わせているから日本企業の生産性は低いんだ。

外資企業はプロしか雇わないので引き継ぎすら無い場合も

とはいえ、シンガポールの米系企業に転職して、マジでちゃんとした引き継ぎがなかった時はビックリした。っていうか前任者が僕が入社した週に退職しちゃった。

どうもそれが普通っぽい。

「キミ、面接でデキるって言ったよね?じゃ、その言葉通り宜しく」

こわっ!良くも悪くもこれが外資企業の洗礼。文句を言いながらも、僕はいままで日本企業のぬるま湯に甘えていたのだ。

シンガポールの労働環境を見ていると、米系企業は本当にプロしか雇わない。さらにプロとして雇われても、能力が陳腐化してパフォーマンスが下がるとすぐクビになる。例えば僕の職場では昨年1年で同僚の半分がいなくなった。

そういうシビアな労働環境では、全員がライバル。

後任者にテクニックを安々と教えることは、自分の人材価値を相対的に下げる愚行。だから引き継ぎなどしてやる筋合いはない。

そんなんだから、転職した直後はひたすら調べてあちこち質問して廻り、仕事の全体像を掴んで独自のやり方を編み出すしか無い。そのかわり、結果さえ出せば自分のやり方で仕事ができるメリットもある。

それが自分に最適な方法なので効率もいい。

外資企業の生産性が高い原因はコレだと思ってる。

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外資企業は現場に経験が蓄積されない

そんなわけで、引き継ぎがない外資企業では、担当者が辞める度にそれまでの経験がゴソっと失われ、グダグダになる。その後、仕事にだんだん新人の色が出て来る感じ。

ところが新人が慣れて業務知識がつくと、それを武器にすぐキャリアアップの転職をしちゃう。よってまたまた経験がゴソっと失われ、生態系の頂点に君臨するトップ企業以外はグダグダが常態化する。

ヤバい(=^・・^;=)

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シンガポールで暮らしていると、とてもプロとは思えない対応をされることが多々ある。

まさにトイレが詰まって業者を呼んだら「道具だけ置いてお前は帰れ!もう俺がやる!」みたいなレベルの人がノコノコやって来る。

この原因は上で書いた通り。仕事の結果だけ求め効率化を進めると、現場に経験が蓄積されなくなるからだ。まるで素人さんチームがリレーでバトンをつないでいるかんじ。

一方、たまに日本に帰国すると全員完璧な仕事をしていて度肝を抜かれる。それもこれも、過去の教訓や工夫が代々受け継がれ、マニュアルに活かされているからだ。

でもこれは効率が悪い。ほとんど起きないような事故を防ぐために割に合わない労力を費やし、素人でも引き継げるように動作を簡略化した代償として無駄が出る。

ところがその結果、生み出されるサービスは素晴らしい。

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要は適性だね

僕は自分のやり方を模索して自由にやるのが好きだから外資企業があってる。一方、効率が悪くても過去の経験が詰まったやり方を踏襲して、キッチリやりたい人は日本企業が向いているんだろう。

日本でウツで苦しんでいた時は、不効率な日本企業のやり方に怒りしか感じなかった。でもシンガポールのグダグダを経験した今、無下に日本の働き方を否定できなくなった。過労死するほど効率が悪いのは今も許せないけど。

要は適性の問題だ。

性格や能力を客観的に捉えて、自分の働きやすい場所で幸せになろう。

コメント

  1. MX より:

    その結果、MRTがグダグダになってるってことなんでしょう。
    アメリカなら超優秀な人がカバーできるだろうし、日本なら現場でカバーできるけど
    この国ではその両方がいないからね。。。

    • @_1_9_ より:

      MXさん、コメントありがとうございます(=^・・^=)

      まさにそうですね~。外国から施工も車両も買ってきて、国内に技術が蓄積されていないのだと感じます。
      エンジニアの地位が低いというのもあり、情熱をもってじっくり取り組むような人が集まらないのかもとも思います。
      MRTの状況は今後も改善しないでしょうね。。。