紀伊国屋書店地下。松茸土瓶蒸し&ドライカレーに“普通”の凄さを発見 【久住昌之の「途中めし」 第8回新宿「珈穂音(カポネ)」】

「孤独のグルメ」「花のズボラ飯」の原作や、泉昌之名義での「食の軍師」などの著書で有名な久住昌之さんによる連載「途中メシ」第8回です。今回の舞台と題材は新宿・紀伊国屋書店地下にある「珈穂音(カポネ)」(東京都新宿区3-17-7紀伊国屋ビルB1)さんです。59回目の秋を迎えた久住さんは秋だからということで「松茸の土瓶蒸し」を食べることに。20代後半に知った新宿の「珈穂音」にお邪魔しました。土瓶蒸しに沢庵、ドライカレーに日本酒…いろんなものが普通に旨い、普通のお店の凄さを再確認した夜になりました。(新宿のグルメ居酒屋

紀伊国屋書店地下。松茸土瓶蒸し&ドライカレーに“普通”の凄さを発見 【久住昌之の「途中めし」 第8回新宿「珈穂音(カポネ)」】

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秋だ。暑い暑いと言っていて、台風が来て、それが幾つか通り過ぎたら、もう秋だ。

空が夏と違う。雲も違う。空気も、風の肌触りも違う。

季節のはっきりした国だ。

俳句に「季語」なんて言葉があるくらいだ。「歳時記」なんて書物があるのだ。

春夏秋冬。4つが毎年移り変わっていく。

季節には始まりも終わりもない。いつも途中だ。

 

以前、自宅の近くに誰でも走ることのできる400mトラックがあった。

体力が落ちてきたなぁ、と感じた頃、ここをよく走った。

ただ走ると飽きるので、1周を4つに分けた。最初の直線100mは、夏。カーブに差し掛かったところから秋だ。次の直線が冬。最後のカーブが春で、また直線部分の夏が来る。

走っている時は、その部分の季節を思い浮かべる。

「ああ、夏だ、暑いなあ、プールへ行こう。でももうすぐ秋だ。さあ秋だ。紅葉が濃くなっていくぞ。枯葉がそろそろ散って、冬だ。寒い冬。木枯らしが寒い。雪も降る。と思ったら春だ。だんだんあったかくなっていく。桜が咲くかな。散ったかな。おっともう蝉が鳴きだしたぞ、梅雨か」

走っていると季節が早い。季節がどんどん進む。そうやって10周を「10年」と呼んでいた。毎日のように10年走った。40代の頃だ。その後自宅を引っ越してしまって、すっかり走らなくなった。

 

今回は、秋だから松茸の土瓶蒸しを食べよう、ということになった。例の編集者2人とメールをやり取りしていてそうなった。

ボクが思い付いた土瓶蒸しを出しているお店は、新宿紀伊国屋書店の地下にある「珈穂音」だ。ここで土瓶蒸しのお代わりをするという、はしたない真似をしたことがある。「じゃあそこにしましょう」と編集者男が返信してきて、即決定した。

 

洋書、写真集、画集…紀伊国屋書店といっしょに、ボクの嗜好って育ったのかも

新宿紀伊国屋。この書店にも、高校生の頃からよく行った。

最初は新刊書のところしか行かなかったけど、しだいに上の方の階にも行くようになった。

洋書、ペーパーバックの表紙のかっこよさに痺れて、読めもしないのに、読む気もないのに、買ったことがあることを告白する。何か、ミステリーだったような気がするが覚えていない。

図書館では見たこともない自然科学の本にも惹かれた。難しそうな分厚い恐竜の本や、熱帯雨林の写真集、見知らぬ島の自然だけについて書かれた本。

建築の世界が面白いことを知ったのも、紀伊国屋書店だ。フランク・ロイド・ライトの名前は中学生の時、サイモン&ガーファンクルの美しい歌で知った(“So Long, Frank Lloyd Wright”)。だが彼が作った数々の建物のかっこよさを知ったのは、高校生になってから、この書店でだ。高くて買えなかったけど。

芸術・芸能のコーナーには、魅力的な写真がたくさん載った洋画・邦画の本がたくさんあった。SFや特殊撮影の本もあって、夢中になって立ち読みした。

眺めてるだけで手が疲れる、大判の画集や写真集も立ち読みした。

子供の頃から、小説やエッセイの類より、絵や写真や図がたくさん載っている本が好きだった。

でも紀伊国屋書店でマンガのコーナーに行った記憶はあまりない。

マンガ家としてボクはデビューしたわけだけど、若い頃も今も、読むマンガは偏っていて、好きな作家も少なく、マンガ全般にはあまり興味がなかった。

この連載で、前に神保町のことを書いたが、神保町を知る前、ボクにとって本の森は新宿紀伊国屋書店だった。行くたびに、足が疲れるまで立ち読みしていた。

 

そして足が疲れて、小腹が空くと、地下にあるカレーの「モン・スナック」に行った。

安くて、カウンターが通路に開かれていて、高校生にも入りやすかったからだろう。

スープカレーという言葉がまだない頃だ。完全にスープのようなルーに驚いた。ポークカレーを頼んだのだが肉も野菜もすごく少なくて驚いた。なんだこれ?と思いながら食べ進み、食べ終わったらこのカレーを気に入っていた。

紀伊国屋に行く時は、地下でカレーを食べるのを楽しみにするようになった。

 

20代後半になって、ちっさいけど、風通しのいい店を見つけた

「珈穂音」はもちろん酒を飲むようになってから知った。

紀伊国屋地下街の盲点のような店で、そこになんか漢字3文字の店があるのはずっと知っていたけど、なんとなくずっと通り過ぎていた。

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▲多くの人が行き交う地下街のふっとした盲点みたいなお店。サンプルケースが懐かしい

 

誰かに「あそこ、いいんだよ」と教えてもらって、別の誰かと入った。ような気がする。こういう記憶がどんどん消えていく。

すでにマンガ家デビューしていた、20代後半の頃だと思う。

行ってみると、意外なことに、入口脇にメニューのサンプルケースがあった。100回以上ここの前を通っているのに、気がつかなかった。

しかもその中には「串カツ定食」とか「お刺身定食」とか「ハンバーグ定食」とかカツカレー、カニピラフ、スパゲティに幕の内弁当まであった。

でもそれを見て、ちょっと安心した。入りづらい店だと思っていたからだ。入り口が狭いせいか、なんとなく常連の大人が多いような気もした。だけど、定食があるなら、いいじゃないか。ご飯を食べに来ました、という顔で入ればいい。ご飯の前にちょっとビールを、と飲み始めれば、常連の視線も怖くない。

 

入ってみたら、ちょっと狭い店内に小さめの卓が並んで、狭いカウンター席まであり、いろんなものがギュッと凝縮された感じの店内で、でも不思議に圧迫感のようなものは全然なかった。

その頃の自分にしては、値段がちょっとだけ高かったけど、今のような日本酒ブームが来る前から当時あまり売っていなかった「越乃寒梅」をはじめとして、たくさんの日本酒の銘柄が壁に書いてあった。

それより面白かったのは、酒を飲んでいる人と、食事をしている人が同居していることだった。酒を飲んでだらしなく笑っているサラリーマンたちの横で、定食を黙ってパクパク食べている若者がいた。

お刺身で日本酒を飲んでいる人の横に、スパゲティを食べている人がいる。

なんて面白いんだろう、自由なんだろう、と嬉しくなった。

そして、店員さんが一見さんのボクらに対してすごく感じよかった。

「そっちじゃあ、狭いでしょう?こちらの席が空いたので、どうぞ」

と、広い席に変えてくれたりしたのには感激した。そんなことを言われたのは、神保町喫茶店「さぼうる」くらいだった。

それから、時々行くようになった。

と言っても、年に一度か、二度くらいだけど。行かない年もある。

 

今回は、話があっちこっちしているが、約束の午後5時に「珈穂音」の前に来ると、編集者男がすでに店前で待っていた。編集者女が遅れているというので、2人で先に入ることにする。編集者女はだいたい遅れてくる。

カウンターとテーブルの間の狭い通路を通って奥に入ると、まだ時間が早かったせいかお客さんはボクらの他に1組だった。でもすぐに年配の4人組が入ってきた。

 

ちゃんとした堅気のオトナの人が仕事帰りに愉しんでいるお店

まずは生ビールをもらう。

ここはお通しがいい。なんていうの?外黒塗り内側が朱に塗られた木製で一辺が20cm四方の四角い器、上から見ると田の字に区切られたもの、それに4種類の品が入っている。大人なお通しだ。

店員から「こちら本日のお通しになっております。右からナントカのナントカ和え、ナントカ煮……」というもったいぶった説明がないのもボクはいい。

煮凍りと、ふぐ皮ポン酢、なんかの白和えにオレンジ色の小さな魚卵的なのがのったの、そして厚揚げ的なものの煮浸しだった。これがちゃんと全部おいしい。

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▲お通しは4種類の品が入った塗り木箱。大人だ。これだけで充分愉しめます

 

味のしないような切り干し大根とかを、ぞんざいに出されると「これなら、いらない」と言いたくなる。

ボクは少食な上、酒を飲むとさらにものを食べなくなるので、このお通しだけで、かなり持つ。中生なら十分2杯飲める。

編集者女がやってきたので、秋らしく「戻りガツオの刺身」と「ぎんなん」を頼む。さらに、「特盛り中」と赤字で書いてある「生ウニ」を注文する。生ウニ、いつ来ても「特盛り中」と書いてある気がするが、気のせいか。でも出てきたら確かに特盛りという感じにドンとしていた。しかもウマイ。840円は安い。

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▲ピカピカに輝く綺麗な銀なん。あぁ秋だなぁ。脂ののった戻りガツオにお酒も進む

 

戻りガツオもおいしかった。

 

「いや、ここ、いいですねぇ!」

とタバコに火をつけて編集者男が言った。彼は今日初めて入ったという。ボクと同じで、ここに店があるのは、なんとなく知っていたけど、30年以上通り過ぎていたという。

隣の4人組の白髪年配グループも3人がタバコをスパスパ吸っている。昔みたいだ。

今『男はつらいよ』シリーズなんかを見ると、登場人物がやたらタバコを吸っているんでちょっと驚く。ヒロシも小学生の息子の目の前でスパスパやってるのだ。

ボクはタバコは吸わないが、この店ではほとんど気にならなかった。換気は悪くないと思う。

でも開店の午前11時半からお昼12時半までは禁煙タイムになっているようだ。

 

編集者女はこの店を「時々利用します」と言っていた。食べもするし、飲みもするそうだ。さすが、飲ん兵衛の編集者。この店を見逃すわけがないか。お通しも、遅れてきたのに、いつの間にかペロリと平らげている。

女性にはそういう人多いような気がする。そんなに飲んでないような様子で、そんなにガツガツ食べてる様子がないのに、気がつくとワインのボトルが空。目の前の皿に何も残っていない。しかも酔ってないし、満腹そうでもない。あれはどういう技術なんだろう?

 

ビール1杯ずつと、瓶ビールを飲んで、我々は日本酒に変えた。

ボクは、せっかくなので「越乃寒梅」を冷やでもらった。10年以上前にどこかで飲んだきりだ。どんな味だか全然覚えていない。980円を今だけ特価780円だし。しかしこの張り紙も、ずーっとずーっと「今だけ特価」だ。とぼけていて面白い。

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▲手狭な壁に品良く貼り出された日本酒の名前を眺めてると色々思い出しちゃうナ 

 

「越乃寒梅」、飲んでみたら、普通においしかった。特別においしい!という感じでなく、普通においしいと感じた。まったくクセが感じ取れず、すごく軽く、すーっと消える感じで、アルコールっぽさが不思議なほど無かった。

今や日本酒は「特別においしい」の時代に突入している。「獺祭」とか「十四代」とか「飛露喜」とか。読めないような名前の希少な日本酒が名を轟かせている。その純米吟醸ひやおろしとか秋おろしとか、なんとかかんとか。

そういう酒を飲んでみると、確かにおいしい。甘味も、香りも、驚くほど強く、個性がある。選りすぐりの米を使い、時間と手間をかけて、研ぎ澄まされた特別な酒のおいしさがあろうことは、素人のボクでもわかる。

でも「越乃寒梅」はそれ以前の時代のおいしさと感じだ。もっと普通においしい日本酒だ。驚くようなおいしさではない。今よく言われる「フルーティ」でもない。でも、これ、毎晩飲めたら最高なんじゃないだろうか。という普通の中の最上級のおいしさだった。ボクは「越乃寒梅」かなり好きなんじゃないかと思う。一杯飲んだぐらいではなんとも言えないが、もともと「〆張鶴」とか「八海山」など新潟の酒が好きなので、もっと繰り返して飲んだら「越乃寒梅」が一番好きになるかもしれない。

 

酒に限らず、今は「普通以上」をみんなが求めすぎなんじゃないかなぁ、と思う。 

「普通」ってなんだろう?よくわからない。でも「特別」ではない。驚くべきものでもない。高級品でもない。希少品でもない。

今ネット辞書(スーパー大辞林)で調べたら「いつでもどこにでもあって,めずらしくないこと(さま)」とあった。反対語は「特殊」。ああ、なるほど。

珍しくも特別でも高級でもないんだけど、おいしい、っていうおいしさがあると思う。

ボクにとって例えばそれは「崎陽軒のシウマイ弁当」だ。

普通のおいしさを説明するのは難しい。普通にいい、ってなんだろう?

でもこの頃、普通が気になる。

特別な良さより、普通の良さが好きだ。なぜだろう。

ボクの残りの人生は「普通」の探求のような気がしてきた。

なんて、スゴイ話になってきた。

 

ブータンより入荷の松茸土瓶蒸し、ってどんな味?

酔っぱらわないうちに、本命の「松茸土瓶蒸し」を頼む。3人で3つ頼むのはなんだか恥ずかしいが、3人で1つはあまりにしょぼいのでは、というので、間をとって3人で2つ頼んだ。頼んでから、かえってみっともない気もしてきた。どう食べるんだ。

面白かったのは、店の張り紙に、

「ブータンより初荷特価中
 松茸の土瓶蒸し
 少々早いがご賞味ください 九八〇円」  

と書かれてあったことだ。

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▲意外性の国・ブータンの松茸なんだって。こういう正直さ、誠実さが嬉しいね

 

ブータン。意外。ブータンと松茸。ちょっと結びつかない。ブータンの国民は松茸をどうやって食べているのだろう?

ドラマの『孤独のグルメ』でブータン料理店をやったことがある。そのとき知ったのだが、ブータンは世界一唐辛子を消費する国らしい。韓国やタイを差し置いて。とにかく唐辛子が大好きで、ご飯にも入れるし、なんとアイスクリームにまで入れていた。「微笑みの国」と言われ、あの優しそうな国王夫妻の笑顔からは、そんな辛いもの好きの国には見えない。お酒は好きなのですか?とブータン料理店の人に聞くと、酒もものすごく飲むらしい。意外。ブータンのお酒、飲ませてもらったが、不思議なお酒を不思議な木の器で飲むのだった。ブータン、意外性の国。

「少々早い」とあるから、この店では9月とか10月には出ていたのだろうか。

 

土瓶蒸しがやってきた。土瓶蒸しは器がいい。お茶の急須みたいな専用の器で、大抵は蓋がおちょこみたいになっていて、ここに中の汁を入れてすすりつつ、中の具を食べる。

「土瓶蒸し」という名前だが、蒸し料理ではなくて言ってみればお吸い物だ。なぜ土瓶蒸しという名前がついたんだろう?

土瓶蒸しの具は、一般的には、松茸の薄切り、海老、蒲鉾、鶏肉、銀杏、三つ葉といったところか。これを箸でちまちま引き上げて食べながら、時々お茶のように汁をおちょこに注いで飲む。このちまちました作業が、酒のアテに楽しい。

だが今やボクはあまり具は興味なくて、熱い汁をちょこっとずつ飲みながら、冷たい日本酒を飲むのがたまらなく好きだ。だから一人一つなんていらないと思ったのだ。

そしたら蓋を開けてみて、おっと、また意外。具が松茸の薄切りと鶏肉と三つ葉のみのシンプルなものだった。いいじゃないか。ボクはこの方が好き。980円と、土瓶蒸しにしては安いな、と思ったけど、これなら納得。

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▲松茸の薄切りと鶏肉と三つ葉のシンプル&スマートな土瓶蒸し。特盛ウニも凄い。〆張鶴で戴こう

 

汁を猪口に注いで、啜る。熱い。うまい。沁みる。ああ、いい。松茸は土瓶蒸しが一番好きだ。

追っかけて、お代わりした酒、冷たい〆張鶴をちびりとやる。

やっぱりうまい。熱い土瓶蒸しと、最高だ。ああ、おいしいなぁ。喉の奥で、秋、深まる。具が少ないぶん、シルがたっぷりあるのが頼もしい。しかも2つ。見た目、ちょっとバカ。いいじゃないか。今季初。土瓶蒸しを食べる機会は少ないから、一度も食べない秋もある。今日はおめでたい。

ついでに季節には関係ないかもしれないが、ホタルイカの沖漬けも頼んだ。これも酒には最高のアテだ。おいしい。

もう酒は、〆張鶴だけでいい。他を飲んでも、3杯目以降はわかりゃしない。

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“正直なお店“は面白い。秋の夜に心が暖かくなります

壁の張り紙を見ていたら、うなぎの白焼き・蒲焼も「台湾育ち日本加工」と書いてあった。ブータンといい、正直な店だ。いいじゃないか。しかし「日本加工」ってどういうことだろう?

ちょうどお店の人が来たので、聞くと「台湾産のうなぎを、日本の工場で加工してうちで調理している」ということだった。要するに買って来てここで温めて出しているらしい。それを「台湾育ち日本加工」なんて特殊な書き方をしているなんて、面白いじゃないか。

お店の人は「小じゃがとニンニクの芽炒め」とゴマを振った厚切りのタクワンを、サービスで出してくれた。両方とも美味しかったが、久しぶりのうまいタクワンがボクはすごく嬉しかった。

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▲厚手のタクワンに山梨のおばあちゃんを思い出して少し(だけ)感傷気分

 

中学校か高校の冬休みに、山梨のおばあちゃんちで、コタツで手作りタクワンをかじりながら、お茶を何杯も何杯も飲んだことを思い出した。

あの冬から、40回以上の秋が巡ってきて、今また冬を迎えようとしている。季節はエンドレスだが、生き物には初めと終わりがある。

後半なのは承知だが、いったい今ボクは人生のどの辺を通過しているのだろう。

 

せっかくご飯ものがあるんだから、たまには最後に締めに、ここじゃないと食べられないものを食べようということになって、ドライカレーを頼んだ。

冷たい日本酒を飲みながら、ドライカレー。玉ねぎとピーマンだけ入ったシンプルなもの。カレーピラフと呼んでもいい一品だ。

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▲ね、みんな知ってる?冷たいお酒とドライカレーって抜群。試してみて!!

 

これがまた日本酒を飲みながらでも、おいしかったのよ。カレー、強し。カレーを炒めた匂いに、ググッと食欲が盛り返す。この飲み方またやりたい。

このドライカレーに刺激されちゃってか、珈穂音を出て、新宿で3人はさらに2軒の飲み屋をハシゴした。締めだったはずのドライカレーが、文字通り飲みの途中めしになってしまった。

 

 

紹介したお店

珈穂音
住所:東京新宿区3-17-7紀伊国屋ビルB1
TEL:03-3352-1539
営業時間:月~土 11:30~21:30(L.O.)
     日 11:30~21:00(L.O.)
     第3月曜休みの場合あり

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※掲載された情報は、取材時点のものであり、変更されている可能性があります。

 

 

著者プロフィール

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文・写真・イラスト:久住昌之

漫画家・音楽家。
1958年東京三鷹市出身。'81年、泉晴紀とのコンビ「泉昌之」として漫画誌『ガロ』デビュー。以後、旺盛な漫画執筆・原作、デザイナー、ミュージシャンとしての活動を続ける。主な作品に「かっこいいスキヤキ」(泉昌之名義)、「タキモトの世界」、「孤独のグルメ」(原作/画・谷口ジロー)「花のズボラ飯」他、著書多数。最新刊は『ニッポン線路つたい歩き』。

 

前回までの途中めしはこちら

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