この記事は Funderbeam の Founder & CEO である Kaidi Ruusalepp 氏の記事 The Hitchhikers Guide to ICOs – Funderbeam Wire を許可を得て非公式に翻訳したものです。
Funderbeam はブロックチェーンを活用したスタートアップ向けの証券取引所であり、エストニア発のFinTechスタートアップとして世界中で注目されています。今年の3月には孫泰蔵氏が率いる Mistletoe から 200万€ を調達したとアナウンスもありました。
また Kaidi 氏は 米ナスダックのタリン証券取引所・前CEOを歴任した金融のスペシャリストでもあります。
ICOとは何でしょうか?
ICOはブーム的な現象になっていて、どんなスタートアップカンファレンスでも、パブでの会話でもみんなこのことを話していて、株価の乱高下にも関係しているようですが一体何のことなのでしょうか? そして一体なぜ Funderbeam はICOグローバルレポートを出したのでしょうか? これからICOの世界をごく簡単に紹介していきます。
明らかにICOは2017年に急成長しています(データ: Coindesk) 。レポート全文はこちら。
私が最初にICOの世界に入った時、いろいろな資料を読んで、これは複雑すぎて分からないと思いました。別の言い方をすれば、自分はこんなことを始めるには年を取りすぎていると思ったのです。しかしもっといろいろなものを読んでいくうちに、この分野には共通の理解も用語もないのだということがわかってきました。ICOと言う人もいたし、ITO (Initial Token Offerings)と言う人もいました。トークンと言う人もいれば、コインと言っている人もいました。
ユーティリティコインとプロトコルコインだけが信用できると考える人もいるし、巨大ベンチャー企業がICOを実施するときコインは単なるファンド単位のように聞こえます。しかしこの世界が分かってくるにつれ、あるパターンが見えてきます。私が今まで分かったことは次のようなことです。
- 問題は古くからあるものです。つまりこういうことです。ある人はすごいアイデアを持っていましたがお金がありませんでした。で、ある人はお金をもっていました。大きなことが成就するためにはこの2人が出会う必要があります。それで、世の中にはエンジェル投資家、ベンチャー企業、投資銀行、株取引などが出てきたのです。このような媒介組織は、一種の信用を供与するものです。
- しかしブロックチェーンのテクノロジーが出てきて、上に挙げたような媒介組織を利用しなくても資金を集めることが可能になりました。投資家にとって換金ポテンシャルを持つファンドは山ほどあります (この換金ポテンシャルがないことが、民間投資が抱える大きな問題です。そして初期投資の大部分がそこに含まれるのです)。いくつかの資料が語っているように、ブロックチェーンは起業家たちに自分で自分のお金を刷ることを可能にしてくれます。
- 今や人々はかなりの額のビットコインやイーサを持っていますが、それを利用している人はまだ少ししかいません。これは残念なことです。ICOやITOは保有されている仮想通貨の少なくとも一部を利用するものです。そしてうまくいけば大きなリターンを得られるのです。人々はあぶく銭を使ってギャンブルをしているようなものです。つまりとても楽に多くの仮想通貨資産を手に入れたので、それを懐に持ったままリスクを楽しんでいる、ということです。
- コイン/トークン (ここからはまとめてコインと言います) とはなんであるかということについての共通の基準はありません。そしてそれが大きな問題の一つです。投資家は彼らが手に入れているものが何なのかはっきりと分からないままに新しい道具に飛びついているのです。コインにはユーティリティコイン(その要点を理解するのに便利なのがUSV Fat protocols 、ICOによる最初の本当のプロトコルコインを理解するのに便利なのが Filecoin Whitepaper です)から、権利をベースとするトークン (例えばDAO)やファンド単位 (Blockchain Capitalなど)までさまざまなものがあります。確かなのは、このようなコインのオファーは資金集めの強力なツールになるということです。私はこれらコイン全体を4つのグループに分けて考えています。カレンシー (BTCXMR)、ユーティリティコイン(Filecoin)、権利コイン(DAO)、そしてエクイティトークン(Funderbeamはエクイティコインを発行しています)の4つです。このようなグループ分けは一つの考え方ですが、別の分け方もあります。もっとたくさんのグループに分ける場合もありますし、より簡単にユーティリティコインと実際の投資という分け方をする場合もあります。
- ICOを非合法としている中国と韓国を除き、規制をする側はまだ、コインやトークンについての考え方を定めていません。アメリカの法務関係者はHowey testを使って、発行されたコインの安全性を確認することを勧めています。もしこれをセキュリティと呼ぶなら全ての供給ルールは安全なものと言えます。興味深いことに、つい最近SEC議長はこの基準に基づけばほとんどのICOは安全だと述べています。ESMAの最近リリースされたレポートにも「ICOに関わる企業の投資活動は法規にかなっている」と書かれています。
私たちの最新のICOレポートを確認していただければ、ほとんどのICOの実施母体がチェックできます。その結果分かることは法的な面において環境は「安定している」ということです。
アメリカはあらゆる種類のスタートアップファンドにおいて巨大なマーケットですが、スイスも際立っており、非ICO投資額に比べてICO投資額が大きくなっています。
<追記>
ブロックチェーンは一つだけでなくたくさんあります。 Bitcoin blockchain, Ethereum blockchainを始めとしてHyperledger (半民間)、R3 もCorda を開発しており、Guardtime やその他もあります。民間のブロックチェーンと公的なそれのどちらが優れているかと言う点については論議がありますが、私は将来的にはどちらも歓迎されると思っています。民間ブロックチェーンはブロックチェーンの基本的な側面 (シェア、分散化など) を備えていないということは私も分かっていますが、ブロックチェーンの世界は自然にだんだんと相互的にリンクされるようになっていくでしょう。
なお、上記の新しい取り組みやテクノロジーについては、Wikipediaを用いて論じました。今手に入る情報源を最適に構築したテキストだからです。
したがって、結論としては、このICOレポートを理解するにはこれだけが分かっていればいいということです。さあ、ファンドの資金源としてICOを利用しましょう。シリーズAの投資ラウンドを利用したり、ベンチャー企業を回ったり、借金したりしなくていいのです。ある会社が今日ユーティリティトークンを発行したら、規制する側は明日これを安全とみなすかもしれません。「古い」資金集めの方法に比べるとICOはまだ主流とは言えないかもしれません。しかしグラフを見るとわかるようにICOは幾何級数的に成長しています。ただ、あなたが投資家ならばあなたが買おう (そこに投資しよう) と思っているこれは何なのか、常に良く確認して下さい。
ICOは魅力的な新しい道具です、しかしそれがどう機能しているのか、それを使う企業はどんな働きをしているのか分からないままに投資するのはやめておきましょう。多くの人々がパニック状態になって、よく理解していない投資に走っています。そしてどの素晴らしいガイドブックにも書いてあることですが、最も大切なのは、「パニックになるな!」ということです。
ICOファンディングについてのフルレポートはここから読めます。
次の投稿では、AML、KYC、集中化、分散化、情報公開、ICOに関する投資家保護などについて述べます。 :)
私がいつもフォローしている情報ソースは下の3つです。これらは最も分析的に (そしてカラフルに) 必要な全ての情報を与えてくれます。
Token Economy、USV blog、Preston Byrne blog
(元記事) The Hitchhikers Guide to ICOs – Funderbeam Wire
なお、翻訳による内容の正確さおよび最新の内容を保証するものではありませんので、あくまで参考として利用していただき、必要に応じて原文を参照していただくようお願いします。(翻訳に対するフィードバックやご指摘があればご連絡ください。)
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