こんばんは、夜中たわしです。
今回紹介するのはSteamで配信されている『illumine』というインディーゲームです。
こちら低価格ながら光るものがある、掘り出し物でした。とりあえずゲーム画面を御覧いただきましょう。
これだけだと「なんか文字が出てくるゲームなんだな」といった感想かと思いますが、これがなかなかどうして、不思議な魅力に満ち溢れたゲームです。
ローグライク?
まずこのゲームのジャンルについて。
Steamのゲーム紹介には「ローグライク」であるとの記載があります。
ローグライクといえば不思議のダンジョンシリーズ(シレン・トルネコなど)が有名所ですが、その元ネタとなる元祖『ローグ』はこんなやつです。
(引用元:ローグライクゲーム - Wikipedia)
そう、本作の『ローグ』との一番の共通項、それは「登場人物が文字」であること。
これだけでも魅力に感じる方は多いのではないでしょうか。
チュートリアルなし
プレイ開始すると、こうなってます。
なんか「私」が真ん中にいますが、これが自機です。主人公。
自機には何種類かあり、「私」じゃないこともあります。
なんて文字だろうこれ。帽子かぶってません?
画面にもある通り、操作としてはカーソルキーでの自機移動と、スペースキーのみ。
そしてその他の説明は、一切なし。
はじめに気づくのは、壁に接してスペースキーを押すと壁が掘れること。
そして壁を掘ると新たなエリアが。
本が落ちてることがあるので拾っておきましょう。
掘り進めると他の文字たちに出会います。
彼らはウロウロしているだけで、特に何もしてきません。触ってもポコンポコン言う(?)だけで無害です。
ここに住んでるんでしょうか?
一方、こいつ(A)はヤバイやつです。
視界に入ると追っかけてきて、
殺され(?)ます。一撃死。このゲームにHPなんて概念はありません。
ちなみにAの視界は、Aの足と足(?)の間です。
解説しておきながら『?』だらけなのはご勘弁ください。私にも全然わからないのです。一応クリアしたんですが……。
謎の場所に放り込まれ、自分は何なのか? 何が目的なのか?? 何もわからないまま死ぬ、というこの内容。
あまりにもスパルタなゲームです。
と、このあたりでトレーラーをご覧ください。見下ろし型視点の独特なムードが感じ取れるかと思います。
ゲームの目的
これが死亡後の画面です。
何度か敵にやられてこの画面を繰り返し見ていると、これが1回のプレイで獲得した本の冊数であることと、たくさん獲得すれば何か「いいこと」がありそうだということに気づきます。
実際ある冊数を超えるたびに、「choices」というメニューが開放されていきます。
例えば、得られる本の冊数が25%増える代償に自機の速度が低下するモードや、さらには冊数が50%増える代償に左方向に進めなくなるモードなど。左に進めないのはさすがにキツくて、敵から逃げるのが超難しくなります。自信のある方はどうぞ。
本集めの中毒性
この本集め、やっていると結構中毒性があることに気づきます。
よく似ているのは……シレンで即降り(フロアを探索せず階段を降りまくるスタイル)をずっとしているような感覚です。階段じゃなくて本ですが。
シレンで言えばつるはし標準装備のような、壁を掘って探索するこのシステム。
壁を掘った瞬間に敵が飛び出してくることによる突然死。
本を集めれば集めるほど出てくる敵の種類が増え、難易度の上がるフロア。
敵にやられたとき「あー、あの時注意して行動していればなー」という反省もあれば、敵の様子をつぶさに観察することで、攻略法を見出せることも。「E(敵キャラ)」の攻略法を見つけた時はメチャクチャ気持ちよかった。
また運が良ければ大して敵に遭遇せず、やたら本が出現してどんどん獲得できることも。
これらの絶妙なバランスにより「次こそはもっと本を手に入れられる!」という気分になり、あと1プレイ、あと1プレイと何度も繰り返してしまうことに。
その他の目的
死亡後のメニューからは、本集め以外にも目的があることが示唆されています。
例によって説明はほぼ無いんですが、例えば上記は他の文字(敵以外)に触れればゲージが増えていき、MAXに達すると実績が獲得できます。
これは文字が囚われてるのを助ければ獲得。
まったく訳のわからないものも。
このような実績は10種類程あり、これらの獲得もゲームプレイの目的の1つです。いやまあ、達成しろ! とは一言も指示されないんですけど、かといって他に何していいやら、って感じなんで。
もう言ってしまうと、これがエンディングに到達するための道です。そう、このゲームにはなんと、エンディングがあります!(結構意外でした)
動的で魅力的なBGM
壁を掘ったら目の前に敵がいて即死、というパターンが何度か続くと心が折れてくるんですが、ある程度回避する手段があります。その1つが「音」。
本作はBGMが動的に変化するようになっており、本が近くにあれば本の音、敵キャラがいればその敵キャラの音が聞こえます。
例えば「A」は手拍子のような音。
「Φ」は周期的に上下か左右に高速移動する敵なんですが、それに合わせて「カカカカ」という音が。
「R(なのか?)」はノリの良いメロディーとともにゆっくり近づいてきます。
これらは音に加え、画面上でも波動のようなビジュアルで表現されています。なので、壁の向こうから大量の拍手が聴こえてくることで「この先『A』だらけだわ」と分かることも。これによりある程度死線から遠ざかることができます。
ゲーム的に有利になるだけでなく、ゲーム画面と連動したBGM自体が心地よく、謎の中毒性があります。壁を掘る音も気持ちいいですし、音楽だけでもこのゲームを遊んだ甲斐があったと思わせるほど。
探索の果ての衝撃
さて目的らしきものはいくつかありますが、行き詰まってくるとどうしても飽きがくるもの。
そんな頃、突如「とある体験」に出会います。これの衝撃たるや。
内容については、今後プレイされる方の驚きを奪わないため詳細は語りません。本来「何かある」ことすら書きたくないところですが、レビューってのは難しいものですね……。
ともかく、その体験により「このゲームにはまだ自分の知らない何かがあるぞ」と気付かされ、途端に飽きはどこへやら。さらに何度もプレイを繰り返すことに。
あの体験はぜひ自身の目で味わっていただきたいところです。
もし挑戦するなら、「カルマ」というパラメータが重要ということだけをお知らせしておきます。
全体評価
開発者によれば、本作はプレイヤーを何の説明もなく奇妙な世界に招き、プレイヤー自身にこの世界の仕組みを理解してほしいという思想で作られたそうです。
そしてチュートリアルを用意しなかったのは、プレーヤーが十分に賢いと信じているため、とのこと(そもそもチュートリアルがあまり好きじゃないようですが)。
この開発思想、好きです。
何の説明もなく、目的もよくわからない中でのプレイを強いられるのは人を選びます。ですがその反面、自力での謎の解明に魅力を感じる方には刺さることでしょう。リプレイ性が高く動的な音楽も気持ちいいので、ハマる人にはとことんハマるはず。
気になる点は、やはり説明がなさすぎるところと、避けられない即死があるところ。そのおかげかエンディングまで到達すれば、達成感はなかなかのものです。謎の世界観についての説明は何らありませんが……。なお私は十数時間でエンディングに到達しました。
ちなみに本作は日本語に対応しておらず、英語でプレイすることになりますが、ほぼほぼ問題ありません。
なぜなら、日本語だったとしても何を言ってるのか全然わからないから!
おわりに
本記事は以前紹介した『マリオネットAI』の開発者、つねさんからの依頼で書きました。
もちろん『illumine』の開発者ではないので、他人の作成したゲームのレビューを依頼するという変わったケースです(『illumine』は提供していただきました)。
つねさんはyoutubeで定期的にインディーゲームを実況しています。特徴は対象ゲームの開発者に正式な許可を得て実況していることと、さらにしばしば開発者を実況に呼ぶというところ。
『illumine』についても実況していて、さらに開発者さんも呼んでいました(コメントによる参加)。 海外の方なので、同時翻訳あり。すごい。
実況では開発者さんからネタバレ何でもOKの許可が出たため、ネタバレのオンパレードになっているのでプレイ予定の方は見ないほうが無難です。
本記事での開発者さんのコメントはこちらから引用しています。
ということで、少しでも気にかかった方はぜひ遊んでみてください。価格もとても安いんで。
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