事実ならば、ほとんどの同級生が読む卒業文集によくデタラメを書けたものである。
実像はどうだったのか。
前出の同級生の母親は、
「息子の話では、根暗っぽくもなく、といって目立つわけでもなかったって」
と明かした。
外面はよかった
言動と行動はその後も噛み合わない。中学で身体を鍛えたはずなのに、高校では部活動をせず、地元のスーパーでアルバイトに精を出したという。高校卒業後、バイト先のスーパーの正社員に採用されたが約2年3か月で退職。パチンコ店従業員や新宿・歌舞伎町の風俗店スカウトマンなど職を転々とした。母親と妹が数年前に家を出たため、実家に顔を見せるようになった。
社会に出てからも外面のよさだけは変わらなかった。
今年4月から5月末まで、派遣スタッフとして倉庫作業員をしていたときの同僚女性(23)が振り返る。
「実年齢より若く見えました。礼儀正しく、挨拶ができ、物腰の柔らかい好青年でした。仕事をすぐ覚え、テキパキと働いていました。長く勤めていたら、もっといろんなことができただろうなと思ったほどです。口数は少なく、誰かと親しくすることはありませんでした。風俗店のスカウトをしていたなんて面接担当者も知らなかったようです」
勤務時間は午前9時から午後6時まで、週4、5日は働いていた。派遣先の責任者は、
「ひとりで黙々とやる作業ですし、彼についての記憶はあまりない。仕事上のトラブルはありませんでした。本人事由の退職でした」と語る。
白石容疑者には逮捕歴があった。昨年夏に売春させると知りながら茨城県内の風俗店に女性を紹介したとして、今年初めに職業安定法違反の疑いなどで同県警に逮捕され、5月29日に執行猶予つき有罪判決を受けた。倉庫作業員を辞めたのはこの直後だ。