2017年11月23日
【疲労回復?】『隠れ疲労 休んでも取れないグッタリ感の正体』梶本修身
隠れ疲労 休んでも取れないグッタリ感の正体 (朝日新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて、意外な人気を集めていた健康本。……実は上記記事の段階で、結構な数(当ブログ的には)をお買い上げいただいている人気作です。
アマゾンの内容紹介から。
休んでも取れない疲労感は、自律神経が疲れている証拠。気が張ると一瞬忘れるが、放置していては健康があぶない。食事、睡眠、仕事の段取り、オフの過ごし方―ちょっとしたことがグッタリとスッキリの大差を生む。疲労医学の専門家が正しい回復法を伝授。
現時点で中古にプレミアが付いている以上、「16%OFF」のKindle版がオススメです!
Tired / A W Dimmick
【ポイント】
■1.栄養ドリンクでは疲れは取れない栄養ドリンクを飲んで「頭がすっきりと冴えた、なんだか元気が出た」という、さも疲れが軽減されたような感覚を持つ人は多いはずです。「栄養ドリンク」というネーミングからして、いかにも疲労回復効果がありそうな感じもします。
しかし、世の中に数ある栄養ドリンクの中で、疲労回復効果が証明されているものは、実はひとつもありません。
医師の立場から成分などを見ても、飲んで疲れが取れる可能性は極めて低いといわざるを得ません。
■2.運動による疲れも「疲れ」には変わりない
運動して、たくさん汗をかいて、シャワーを浴びた後などは、気分がすっきりリフレッシュして、日々のストレスが発散できたような感覚があると思います。
しかしそれも、脳内の興奮物質や快感物質によるものです。
「ランナーズハイ」という言葉がありますが、長距離を走り続けるというような激しい運動をすると、あるタイミングで脳中にエンドルフィンやカンナビノイドといった物質が分泌され、気分爽快になってきます。なぜこうした反応が起きるかといえば、動物が命をかけた闘いの場で一時的に「疲労感」や痛みを消すための防衛本能であると考えられており、結果として興奮や快感がもたらされることになります。ただこれはあくまで「疲労感」が軽減されただけであり、なんらかの疲れが解消できたわけではありません。すなわち、脳が実際の疲労を感知できなくなって「隠れ疲労」が着実に蓄積している危険な状態であるといえます。
■3.すべての疲れは「自律神経」の消耗にある
では、疲れの正体とは果たして何なのか。 いったいどこが、疲れているのか。
研究チームが求めるその答えは、脳の間脳という部位にあるピンポン玉より少し大きいほどの器官、「自律神経」にありました。(中略)
平穏な状態がずっと続くなら、自律神経もまた通常運転で機能し続けることができます。しかし、運動やデスクワークなど、身体に負荷がかかるような行動を取った際には、その状況に対応するために、自律神経はめまぐるしく働くことになります。(中略)
また、同じ距離を歩く場合でも、気候のよい春先と真夏の炎天下では疲労度はまったく異なることは、誰もが経験していることでしょう。運動量が同じなのに疲労度が異なるのは、体温を調節する自律神経にかかる負担の違いです。つまり、運動したときもっとも消耗が激しいのは筋肉ではなく自律神経中枢なのです。
■4.スマートフォンでも疲れはたまる
確かにブルーライトが被験者を覚醒させるという報告は出ています。
しかし、スマートフォンが自律神経を疲弊させるのはブルーライトに限ったことではありません。例えば、暗い中で眩しいスマートフォンの画面を見る行為自体も疲労を惹起します。暗くなると、目の瞳孔が開いてより光を取り込もうとします。その状態で光を見れば、光が目に流入する量が多くなります。夜にもかかわらず強い光が網膜を刺激する不自然な事態は「何か不自然な事象が起こっている」サインであり、自律神経を緊張させます。(中略)
そして、インターネットで興味関心の高い情報を能動的に入手することで興奮状態が続くことでも、やはり交感神経優位になり自律神経が消耗します。さらに、前述したように、交感神経優位の状態で近くを見る行為は眼精疲労も招きます。こうしたことが重なるため、少なくとも暗い部屋の中でスマートフォンを見ることが、二重、三重に疲労を招くことは間違いないでしょう。
■5.最強の抗疲労効果を持つ成分「イミダペプチド」
すなわち、イミダペプチドは、抗酸化成分として活性酸素による酸化をしっかりと抑制するとともに、疲労負荷による細胞の損傷も抑える働きを持っていたのです。
さらに、近藤一博教授が実施した別の実験においては、イミダペプチドは疲労因子FFを減らし、疲労回復物質FRの反応性を高める働きがあることもわかりました。
以上のことから、イミダペプチドは、疲れが発生するメカニズムの中で、抗酸化作用で細胞がさびて傷つくのを防ぎ、疲労因子FFを軽減させ、細胞の機能低下を抑えるという働きをしていることが明らかになりました。この事実は、イミダペプチドが身体を疲れにくくさせ、また疲れを回復しやすくしていることを科学的に証明しています。
【感想】
◆私自身、年を取るにつれて、疲れを感じることが多くなってきたので、本書の内容はいちいち腑に落ちるものばかりでした。ただ、むしろ怖いのは、本当は疲労しているのに、達成感や高揚感等でそれを意識しないまま、突然死に至ってしまうことかも。
そこで本書の第1章では、「疲労の6つのサイン」と題して、身体が訴える疲れのサインについて列挙。
詳しくは本書をご覧いただきたいのですが、6番目の「ツーンとする体臭がする」というのは、周りが気が付いたら、本人に指摘していただきたいところです。
ちなみにこれは「疲労臭」と呼ばれるもので、本来、尿素として代謝されるはずのアンモニアが汗として出てくる異常事態のために起こる現象とのこと。
他にも「口唇や脇にヘルペスができる」というサインも、そもそもヘルペスが疲れと関係があると知り、目からウロコでした
◆またこの第1章では、疲労回復法の誤りについても言及しており、上記ポイントの1番目と2番目はそこからのもの。
まずポイントの1番目の栄養ドリンクは、以前も別の本で血糖値やカフェイン中毒の点で問題とされていましたが、それ以前に栄養ドリンクによく含まれている「タウリン」自体に「疲労回復に効果がある」という科学的な立証がされていないのだとか(知らなんだ)。
栄養ドリンクのラベルも同じで、「肉体疲労時の栄養補給」や「滋養強壮」などといった記載がありますが「疲労回復効果あり」と明記しているものは存在しません。結局、「疲労感」は軽減されるかもしれませんが、「疲労回復」にはつながらないようです。
同様に、ポイントの2番目にあるように「運動で仕事の疲れはリフレッシュできない」のだそう。
こちらもまた、「疲労感」の軽減に過ぎず、むしろ「隠れ疲労」が進行してしまうとのことです。
◆続く第2章では、その「疲労」の正体について言及。
結論的には、上記ポイントの3番目にあるように「自律神経が疲弊する」ことによって、疲労が起きるのだそうです。
つまり「運動の疲れも仕事の疲れもすべて一緒」らしく、なるほど上記ポイントの2番目のお話にもつながってくる次第。
特に集中を要するデスクワークは、交感神経を優位にして緊張を保つので、自律神経が疲弊するらしいです。
さらに、本来人間は「脳が交感神経優位なときは焦点距離を遠くに、脳が副交感神経優位なときは焦点距離を近くにするよう、解剖学的に設計されている」そうで、これはデスクワークが身体の仕組みに逆らった作業であるということ。
その矛盾によって引き起こされるのが「眼精疲労」であり、これはもう目薬で何とかなる話ではないことが分かりました。
◆では、こうした疲労にどう対処すればいいかというと、第4章以降に詳しいです。
まず第4章では食事について触れられているのですが、注目すべきなのが上記ポイントの5番目にある「イミダペプチド」という成分。
主に鶏肉やカツオ、マグロの尾びれの部分に含まれているのですが、本書ではいかにこの成分が疲労に効果があるのかが詳しく述べられています。
具体的な摂取方法としては、「サラダチキンを1日1つ、2週間食べる」と効果が実感できる……と言われても私は途中で飽きそうなので、手っ取り早いところでサプリに頼ろうかと。
一応注意点としては、「イミダペプチド確証マーク」という「効果が得られる必要量である200�のイミダペプチドが含有されている」ことを明示している商品を選ぶべし、とのことだったので、アマゾンでこちらを。
日本予防医薬 イミダペプチド ソフトカプセル 84粒
私は昨日注文したので、今日到着する予定です♪
◆なお、続く第5章で力説されているように、「疲労は質のよい睡眠でしか回復しない」のだそう。
ただ、質の良い睡眠を取る方法については、当ブログでは過去色々と書籍をご紹介していますから、今回は割愛しました。
特に注意すべきなのが、上記ポイントの4番目に挙げたスマホで、ブルーライト以前に暗い部屋で凝視すること自体が問題となります。
上記で触れたように、焦点距離も近いことは交感神経が優位になりますから、確かにいいことなし。
今の若い子は、ベッドでスマホを長時間使った挙句に、「疲れた」と言ってエナジードリンク飲んでいるんですから、身体にいいワケありません。
エナジードリンクを飲む子どもたちに起きている「異変」 - Yahoo!ニュース
お子さんはもちろんのこと、私たち自身も思い当たるフシがあったらご注意を。
お疲れ気味の方なら、一読の価値アリです!
隠れ疲労 休んでも取れないグッタリ感の正体 (朝日新書)
第1章 なぜあなたはいつも疲れているのか
第2章 気付いたときには遅い、「隠れ疲労」の恐怖
第3章 疲労大国ニッポンと、休むのが下手な日本人
第4章 食事で疲れに強い身体を手に入れる
第5章 疲労は質のよい睡眠でしか回復しない
第6章 疲れをためない仕事術
第7章 疲れない習慣をつける
【関連記事】
【疲労解消】『寝てもとれない疲れをとる本』中根 一(2017年10月05日)【休息法】『ハーバード×MBA×医師 働く人のための 最強の休息法』猪俣武範(2017年08月29日)
【疲労回復?】『仕事力を上げる「脱疲労」「脱ストレス」の技術』中野ジェームズ修一(2016年09月23日)
【疲労回復?】『明日に疲れを持ち越さない プロフェッショナルの仕事術』渡部 卓(2016年06月21日)
【疲労回復?】『なぜ、一流の人は「疲れ」を翌日に持ち越さないのか』裴 英洙(2014年08月01日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。稼ぐまちが地方を変える 誰も言わなかった10の鉄則 (NHK出版新書)
アマゾンレビューがかなり高評価な1冊。
やや中古が値崩れ気味ですが、送料を足せばKindle版に軍配が上がります。
ご声援ありがとうございました!
この記事のカテゴリー:「健康」へ
「マインドマップ的読書感想文」のトップへ
スポンサーリンク
当ブログの一番人気!
11月23日まで
11月16日までのところ延長中
Kindle月替わりセール
年間売上ランキング
月別アーカイブ
スポンサーリンク
最近の記事
このブログはリンクフリーです