勤労感謝の日の歴史 11/23である理由とは
2017/11/23 07:41 ウェザーニュース
今日23日は勤労感謝の日。皆さんは勤労感謝の日が本来どのような日だったか、ご存知でしょうか?今回は、意外と知られていない勤労感謝の日の歴史に迫ります。
なぜ23日?
勤労感謝の日とは「勤労を尊び、生産を祝い、国民が互いに感謝し合う日」とされています。この日は「働いている方に感謝の気持ちを伝える日」と広く認識されていますが、なぜ23日なのでしょうか。実は、11月23日は最初から勤労感謝の日だったわけではなく、もともとは「新嘗祭(にいなめさい)」というお祭りの日とされていたのです。
歴史的背景
1945年、日本が戦争に負けた後、日本国内ではGHQによる日本弱体化政策が始まります。GHQの占領下のもと、国家神道の色が強い新嘗祭という名前の祭日を排除し、違う名前の祝日にするよう提案がありました。そこで制定されたのが現在の勤労感謝の日。この経緯により、新嘗祭は徐々に影をひそめ始めます。
新嘗祭とは?
新嘗祭とは、その年に収穫された新米や新酒を天地の神様に捧げ、天皇と国民が一体となって、天地自然の神々に感謝し、収穫を喜び合う国民的な祭典です。その歴史は古く、一説によると飛鳥時代からあったといわれています。宮中行事のため、一般の方にはあまり馴染みがありませんが、新嘗祭は今でも大切な行事として執り行われています。
新嘗祭と神嘗祭
実は新嘗祭の1ヶ月程前には「神嘗祭(かんなめさい)」というものが行われます。新嘗祭と神嘗祭…字はとってもよく似ていますが、一体どんな違いがあるのでしょう?神嘗祭は新嘗祭と同じく五穀を日本神話の神々に捧げるお祭りです。※五穀:稲、麦、粟、大豆、小豆新嘗祭の場合、天皇陛下が五穀を日本の神話の様々な神々に捧げて豊作を感謝し、また天皇陛下自らもその五穀を食します。しかし、神嘗祭の場合は、伊勢神宮においてその年に収穫した新穀を奉納する儀式であり、収穫された初穂は天照大神にお供えします。この時、天皇は初穂を召し上がらないようです。
労いの気持ちを
カレンダーに何気なく書かれている勤労感謝の日ですが、まさか日本弱体化政策一つだったとは・・・。しかし、現在では農作物の収穫を祝うだけでなく、様々な労働・勤労に対して感謝する日となっています。感謝する対象が様々なものに及んだと考えれば、そんなに悪いものでもないような気がします。今年の勤労感謝の日は、身近にいる方に加え、秋の収穫という大きなイベントが終わり、一段落した農家の方たちにも労いの気持ちを伝えてみても良いのではないでしょうか。