兵庫県加古川市や播磨町を走っていた別府鉄道の車両「キハ2号」が、修復に取り組む市民らの手で往時の姿を取り戻しつつある。劣化が目立っていた車体は鮮やかな赤色に塗り直され、さびも丁寧に取り除かれた。まだ“完全復活”とは言えないが、メンバーは「来年早々にも再び資金を募って改修し、レトロな魅力を伝え残したい」と意気込む。
キハ2号は昭和初期の製造。別府鉄道の廃線後は加古川市野口町長砂の円長寺公園で保存されているが、破損や劣化が激しかった。
修理資金を募るため、鉄道ファンらの市民グループ「旧別府鉄道キハ2号を守る会」が今年、クラウドファンディングを実施。190万円を集め、寄付金60万円と合わせて9、10月に改修作業に取り組んだ。
特に傷みが目立ったのは屋根と車体。「穴をふさぎ雨漏りを直さないと、腐食が進んで朽ち果てる可能性があった」と同会代表の誉田勝さん(59)=猪名川町。車体も廃線になった時の姿に近いとされる赤色に塗り直した。
今後、クラウドファンディングを再び実施し、第2期工事を行う。シートで覆っている木製の窓枠や窓ガラスを修復する方針で、壊れにくいアクリル製も検討しているという。誉田さんは「多くの支援で、車両が息を吹き返してきた。魅力的な姿がよみがえる日が待ち遠しい」と話している。
昔日をほうふつとさせる姿になった車両を見て、近くに住む男性は「日常の足として、別府鉄道に乗っていたころを思い出す。少しずつきれいになっていく様子が楽しみ」と目を細めていた。(本田純一)