韓国の“センター試験” 国を挙げて支援

韓国の“センター試験” 国を挙げて支援
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韓国では23日、日本の大学入試センター試験にあたる大学修学能力試験が行われ、ことしは南部で発生した地震の影響で予定より1週間遅れての実施となりましたが、大きなトラブルはなく、59万人余りの受験生を国を挙げて支援しました。
韓国の大学修学能力試験は、日本の大学入試センター試験にあたるもので、23日午前8時半すぎから全国の1200近くの会場で行われ、59万人余りが受験しました。

ソウル市内の試験会場では、夜明け前から大勢の後輩たちが集まってエールを送る中、受験生たちが次々と会場に入っていきました。

学歴が重視される傾向の強い韓国では、毎年、国を挙げて受験生を支援していて、ことしも、警察が白バイやパトカーで、遅刻しそうな受験生を会場に送り届けたほか、英語のリスニング試験中にはすべての航空機の離着陸が制限されました。

また、試験は当初、今月16日に行われる予定でしたが、その前日に南部で発生したマグニチュード5.4の地震による影響で1週間遅れで実施され、震源のポハン(浦項)では、さらなる地震の発生に備え、すべての会場に予備会場を設けたほか、受験生を運ぶための臨時バス、およそ240台が待機しました。

試験は午後6時前に大きなトラブルはなく無事に終了したということで、結果は来月12日に発表されることになっています。

韓国入試過熱の背景

韓国で受験競争がここまで過熱する背景には、社会で学歴が重視される傾向が強く、いい大学に入ることが、将来、より安定した生活を手に入れることにつながると考えられているからです。

韓国の教育省によりますと、去年、高校から大学への進学率は69.8%となっていて、毎年、ほぼ70%の韓国の高校生が大学に進学しています。

中でも、学生たちの人気を集めているのが、韓国最高峰のソウル大学、私立のコリョ(高麗)大学、そして、ヨンセ(延世)大学というソウルにある3つの名門大学で、その英語の頭文字を取ってSKYと呼ばれています。

この3つの大学からは、中央省庁や大企業に多くの学生が就職しているだけでなく、韓国社会で重要とされることも少なくない同じ大学の出身者どうしの人脈の構築にもつながります。

さらに、若者の就職も競争が激しいことに加え、大企業と中小企業の給与の格差が、受験競争に一層、拍車をかけています。

韓国の統計庁が発表した去年の月給の平均は、大企業が474万ウォン、日本円にして48万6000円だったのに対し、中小企業は224万ウォン、22万9000円と倍以上の差があります。

このため、大企業に就職するためにも名門大学を目指すという流れが、一層、強まっているのです。

しれつな受験競争 過去に集団不正事件も

学歴が重視される傾向が強い韓国では、197ある4年制大学のうち、最高峰のソウル大学をはじめ名門大学を中心に、毎年、しれつな受験競争が繰り広げられています。

受験競争が激しすぎるという批判を受けて、高校の内申書や面接試験を重視して合否を判断する推薦入試の定員を増やす4年制大学が少しずつ増えていて、ことしは35万人近い募集定員のうち74%が推薦入試で決まります。

ただ、推薦入試でも、大学修学能力試験の結果を提出するよう求める場合が多くあります。

さらに、大学修学能力試験の点数だけで選抜する定員も一定の割合を占めていて、例えば、ソウル大学では募集定員のうちの20%余りがこの試験だけで合否を判断するなど、受験生にとっては大学修学能力試験の結果が極めて重要になります。

そうした中、13年前には、成績が優秀な受験生が携帯電話のメールを使い、試験会場の外にいる協力者を経由してほかの受験生に解答を教えるという集団カンニング事件が発覚し、試験会場に金属探知機を導入したうえで、携帯電話やデジタル腕時計などの持ち込みが禁止されるなど、大きな社会問題になりました。

ムン・ジェイン(文在寅)大統領は、公的機関の職員の採用試験で願書に学歴の記載を求めることは差別につながるとして、ことし6月、出身地などとともに学歴を願書に記載する必要がないブラインド採用を実施する方針を明らかにし、今後、民間企業にも広がるのかどうか注目されています。

合格へ 家族が必死の祈り

大学修学能力試験の前日となる22日、ソウルの中心部にある寺院では、受験生の家族、数百人が繰り返しひざまずいたり立ったりしながら手を合わせ、試験での成功を必死に祈っていました。

中には、いい得点が取れるようにと、「1」が並ぶ試験までの「111」日間、寺院に足を運び続けたという人もいました。

このうち、孫が受験するいう女性は「地震で試験が1週間遅れたことを孫が非常に不安がっているので、少しでも役に立ちたいと祈っています」と話していました。

また、娘が受験生だという母親は「被災地の子どもたちも私の娘も、みんなよい成績で希望の学校に合格するよう祈ります」と心配そうな表情を浮かべていました。

韓国の“センター試験” 国を挙げて支援

韓国では23日、日本の大学入試センター試験にあたる大学修学能力試験が行われ、ことしは南部で発生した地震の影響で予定より1週間遅れての実施となりましたが、大きなトラブルはなく、59万人余りの受験生を国を挙げて支援しました。

韓国の大学修学能力試験は、日本の大学入試センター試験にあたるもので、23日午前8時半すぎから全国の1200近くの会場で行われ、59万人余りが受験しました。

ソウル市内の試験会場では、夜明け前から大勢の後輩たちが集まってエールを送る中、受験生たちが次々と会場に入っていきました。

学歴が重視される傾向の強い韓国では、毎年、国を挙げて受験生を支援していて、ことしも、警察が白バイやパトカーで、遅刻しそうな受験生を会場に送り届けたほか、英語のリスニング試験中にはすべての航空機の離着陸が制限されました。

また、試験は当初、今月16日に行われる予定でしたが、その前日に南部で発生したマグニチュード5.4の地震による影響で1週間遅れで実施され、震源のポハン(浦項)では、さらなる地震の発生に備え、すべての会場に予備会場を設けたほか、受験生を運ぶための臨時バス、およそ240台が待機しました。

試験は午後6時前に大きなトラブルはなく無事に終了したということで、結果は来月12日に発表されることになっています。

韓国入試過熱の背景

韓国で受験競争がここまで過熱する背景には、社会で学歴が重視される傾向が強く、いい大学に入ることが、将来、より安定した生活を手に入れることにつながると考えられているからです。

韓国の教育省によりますと、去年、高校から大学への進学率は69.8%となっていて、毎年、ほぼ70%の韓国の高校生が大学に進学しています。

中でも、学生たちの人気を集めているのが、韓国最高峰のソウル大学、私立のコリョ(高麗)大学、そして、ヨンセ(延世)大学というソウルにある3つの名門大学で、その英語の頭文字を取ってSKYと呼ばれています。

この3つの大学からは、中央省庁や大企業に多くの学生が就職しているだけでなく、韓国社会で重要とされることも少なくない同じ大学の出身者どうしの人脈の構築にもつながります。

さらに、若者の就職も競争が激しいことに加え、大企業と中小企業の給与の格差が、受験競争に一層、拍車をかけています。

韓国の統計庁が発表した去年の月給の平均は、大企業が474万ウォン、日本円にして48万6000円だったのに対し、中小企業は224万ウォン、22万9000円と倍以上の差があります。

このため、大企業に就職するためにも名門大学を目指すという流れが、一層、強まっているのです。

しれつな受験競争 過去に集団不正事件も

学歴が重視される傾向が強い韓国では、197ある4年制大学のうち、最高峰のソウル大学をはじめ名門大学を中心に、毎年、しれつな受験競争が繰り広げられています。

受験競争が激しすぎるという批判を受けて、高校の内申書や面接試験を重視して合否を判断する推薦入試の定員を増やす4年制大学が少しずつ増えていて、ことしは35万人近い募集定員のうち74%が推薦入試で決まります。

ただ、推薦入試でも、大学修学能力試験の結果を提出するよう求める場合が多くあります。

さらに、大学修学能力試験の点数だけで選抜する定員も一定の割合を占めていて、例えば、ソウル大学では募集定員のうちの20%余りがこの試験だけで合否を判断するなど、受験生にとっては大学修学能力試験の結果が極めて重要になります。

そうした中、13年前には、成績が優秀な受験生が携帯電話のメールを使い、試験会場の外にいる協力者を経由してほかの受験生に解答を教えるという集団カンニング事件が発覚し、試験会場に金属探知機を導入したうえで、携帯電話やデジタル腕時計などの持ち込みが禁止されるなど、大きな社会問題になりました。

ムン・ジェイン(文在寅)大統領は、公的機関の職員の採用試験で願書に学歴の記載を求めることは差別につながるとして、ことし6月、出身地などとともに学歴を願書に記載する必要がないブラインド採用を実施する方針を明らかにし、今後、民間企業にも広がるのかどうか注目されています。

合格へ 家族が必死の祈り

大学修学能力試験の前日となる22日、ソウルの中心部にある寺院では、受験生の家族、数百人が繰り返しひざまずいたり立ったりしながら手を合わせ、試験での成功を必死に祈っていました。

中には、いい得点が取れるようにと、「1」が並ぶ試験までの「111」日間、寺院に足を運び続けたという人もいました。

このうち、孫が受験するいう女性は「地震で試験が1週間遅れたことを孫が非常に不安がっているので、少しでも役に立ちたいと祈っています」と話していました。

また、娘が受験生だという母親は「被災地の子どもたちも私の娘も、みんなよい成績で希望の学校に合格するよう祈ります」と心配そうな表情を浮かべていました。