「大人の語彙力」はなぜ急速に失われたのか
「ぶっちゃけ」を丁寧に言えますか?
メールやSNS全盛の世の中、日常でも仕事でもくだけた言葉遣いが増えています。カジュアルな表現は相手に親近感を持たせることもありますが、行きすぎると「この人に仕事をまかせていいのか」などと心配になることも。
大人の語彙力とはいかにあるべきか。明治大学文学部教授・齋藤孝先生に聞いた。
大人の「語彙力」が危機的状況だ
今、大人の言葉遣いが問題になっています。子どもっぽい話し方をしている、社会人らしく見えない。そして、そのことで損をしてしまう。そういう方は増えているように思います。
就職活動の際、あまりにも学生言葉、子どもっぽい言葉遣いをしてしまうと、「この人は社会に出すにはちょっと不安である」「その教育を担うだけの余裕がうちの会社にはない」というふうに判断をされて不利になることもあります。
メールのやりとりが仕事の中心になってきていることも、大人の語彙力が減っている背景にあるように思います。
メールでの言葉遣いというのは、ちょうど書き言葉と話し言葉が混ざったような新しい文体の文章です。純粋な書き言葉と違って、メールというのは話し言葉のような気安さもちょっと含んでいます。
話し言葉の伝統と書き言葉の伝統の重なる部分が、ちょうど今メールという形で非常に拡大してきているのです。
“きちんとした大人の言葉遣い”という点で、ベースになるべきは、書き言葉です。しかし、今SNSなどで話し言葉で文をつくる傾向があるので、それが失われつつあるように思います。
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