福岡・大分豪雨で氾濫した花月川。護岸が崩壊した=7月5日、日田市三和 福岡・大分豪雨で氾濫した花月川(日田市)を含む筑後川水系の河川整備計画が初めて変更される見通しとなった。国土交通省筑後川河川事務所(福岡県久留米市)が開いた学識者懇談会で素案が示された。川の流量を引き上げるため川底を掘り下げたり、川幅を広げるための堤防整備などを進める内容になっている。 筑後川の河川整備計画は、50年に1度といわれる1982年7月の洪水と同規模の水害にも耐えられるよう河川工事を進めるもの。2006年度策定の計画は花月川の流下水量の目標を1100トン毎秒としていた。変更素案では1200トン毎秒に引き上げる。 この他、花月川の上流域(支流含む)でダムや調整池などの洪水調節施設の整備に向けた検討を盛り込むことも示された。花月川と三隈川(筑後川)が合流する地点の掘削なども加える。 同事務所によると、今回の豪雨では観測史上最大の降雨量が3時間以上降り続き、氾濫危険水位を超える時間が12年の大分県豪雨よりも長かった。花月川の流量は1700トン毎秒(速報値)とされる。計画通りに完工しても同規模の豪雨を完全に防げないが「被害軽減が期待できる」という。 21日、福岡県久留米市であった懇談会(委員長・楠田哲也九州大学高等研究院特別顧問・名誉教授)には学識経験者ら7人が出席。委員からは「線状降水帯が支流全域で雨を降らせた最悪のシミュレーションもするべきでは」といった意見が出された。 懇談会は本年度中にあと2回開催し、同事務所が計画変更の原案を策定。来年の梅雨時季までに計画変更する予定。