とうとう出ましたね、期待のタイトル「どうぶつの森 ポケットキャンプ」!
21日の夕方に配信開始されてから、速攻でDLしてプレイしてみたんですが、正直言って期待外れでした。
僕も小規模ながらゲームを作っている身として、なぜこのアプリがゲームとしてつまらないのか、自分なりに分析してみたので簡単に文章にまとめてみます。
どうぶつの森は何故神ゲーなのか
アプリ版のどうぶつの森ポケットキャンプ(以降「ポケ森」と表記)がつまらないという議論を頭ごなしにせず、まずは元々のシリーズタイトル「どうぶつの森」がいかに面白いゲームだったかを分析します。
ここでは、僕の記憶に根強い64版初代とGC版の2タイトルを元に書きますが、基本的には3DS版「とび森」まで一貫していたと思います。(※僕はDS版を除く全タイトルプレイしました)
自由度と目標設定
ゲームのデザインにおいて、目標を設定しそこに向かってプレイさせることはひとつの重要な要素と言われています。
ドラゴンクエストなら「りゅうおうを倒す」ことだし、マリオなら「ピーチ姫を助ける(ためにクッパを倒す)」ことですね。
スプラトゥーンなら「強くなってイカすイカになる」って所でしょうか。上記に比べると、少しユルめですね。
そんな中、どうぶつの森の冒頭からのゲームプレイの流れはこんな感じです。
- どうぶつたちが住む村に電車でやってきた主人公は *1
- 「たぬきち」に言われるがままに家のローンを組まされて
- 軽いバイトで稼ぎながら、どうぶつたちと知り合い
- 家を大きくしつつ村のどうぶつたちと仲良くなりつつ
- 暮らしていく
この中で、目標が設定されているのは、せいぜいたぬきちに関するくだりくらいのものです。 *2
結局、どうぶつの森というのは「好きに(のんびり)暮らす」というゲームであり、もはや旧来的な意味では「ゲーム」と言って良いのか不明ですが、とにかくあの村は居心地の良い「場所」でした。
徹底した「自由」
どうぶつの森の自由は徹底的でした。
たぬきちに負わされた借金を返す方法は、僕がいまパッと思い出せるだけでも以下のものがあります。
- バイトでどうぶつたちに家具とかを配達する
- (バイト以外でも)どうぶつのお願いを叶える(と何かがもらえるので売ったりする)
- ハニワや化石を掘って売る
- 果物を取って売る
- 現実のともだちやどうぶつたちから特産品以外のくだものを貰って埋めて増やす果樹園スタイル(500ベルで売れる)
- 釣った魚を売る
- 虫を捕まえて売る
- アクションが上手いならハチも捕まえれる!
- あいことば手紙 *3
- 兄弟など家族から何かを貰う *4
まだ2,3個くらいは手段がありそうですが思い出せないのでやめます。
そして、たぬきちの借金については返さないという選択肢すら、どうぶつの森では許されているんです。
借金を返さなくても村の時間は進んでいくし、ゲストのじゅうたん屋やボッタクリ家具やうらない屋は訪れます。たぬきちが怒ってやってくるような事もありませんし、普通に商店では家具も道具も売ってくれます。*5
おくゆかしいリワードたち
目標なくゲームプレイをして何が楽しいのか。という事は気になるポイントだと思います。
その1つが、ある種の「リワード」であり、それらが露骨でなく非常におくゆかしかった事にあると思います。これも箇条書きします。
- どうぶつが素直に喜んでくれる
- 村が発展していく
- 金の道具が手に入る
- 岩を叩くとたまにお金が手に入る
- 埋まってるものを掘ると高価な化石が手に入る(ことがある)
- 空を飛んでるプレゼントを追いかけるとたまに木にひっかかって、木を揺すると手に入る
これら、充実したリワードのどれもが、明示的に表になっていて目標を管理されるようなことはなく、自然とゲームプレイしているうちに達成されるのがポイントです。
これらのリワードはゲームプレイの目的や目標ではないのです。プレイヤーは、意識することもありますが、これらのリワードだけを追い求めてプレイするのではなく、あくまでベースは「好きに(のんびり)暮らす」ことです。
長所をことごとく破壊したポケ森
ここまでの文章を読んで、ポケ森をプレイした人なら、もう僕が言いたいことは分かると思います。
ポケ森は、これらの長所を完全に破壊してしまっています。ざっと書けば十分でしょう。
- 明示的なゲーム目標(左上に常に出てくるレベルの概念、可視化されたどうぶつの好感度、リストアップされたタスク類、etc…)
- しずえによって徹底的に管理されるTODOとリワード *6
やんわりとした目標の中で、小さな目標や目的を自分で見つけていくゲームだったオリジナルシリーズと比べて、ポケ森は日々やることを徹底的に明示化することで、ゲーム体験の自由度を圧倒的に下げてしまいました。
スマホゲームユーザーは文章をあまり読まないとか、目標を明確にしないとプレイしてくれないとか、色々と彼らがなぜこのデザインにしたか、推察することも出来ます。
でも、つまんないもんはつまんないし、俺はこのスマホアプリは、期待外れの駄作だと思う!
おわりに
つまらないゲームはつまらないから儲からない、面白いゲームは面白いから儲かる、そういうシンプルな世界に戻って欲しい。
僕は任天堂の作るゲームが好きだし、どうぶつの森はその中でも思い入れの強いタイトルです。それだけに、今作は認められない。
もしポケ森の収益が良いものでも、任天堂がそっちに舵を切らないことを願います。
*1:僕はみしらぬネコが好きですが最近のタイトルでは冷遇されてますね
*2:余談ですが、本来「どうぶつの森」シリーズでは「みしらぬネコ」が「ここでは何しててもいいし、のんびり暮らそう」的な事を言うのが、最重要な目標設定だと僕は考えています。DSかWiiのあたりでみしらぬネコを削った時点から、徐々にゲームシーケンスは壊れていったというのが僕の考えです
*3:64における手紙のあいことば解析は、ほぼチートでしたが、ある種の面白さがあった
*4:ひとりよりふたり
*5:返せば商店が繁盛して取扱物品が増えるけど、それはそれ
*6:しずえのキャラデザは好きですが、ポケ森での彼女の役割はことごとく、どうぶつの森を悪い意味でソシャゲ化する場面に使われていて残念です