「iPhone 8」「iPhone 8 Plus」「iPhone X」では新たにワイヤレス充電に対応した。
iPhoneのワイヤレス充電は、WPC(ワイヤレスパワーコンソーシアム)が策定した国際規格「Qi(チー)」を採用している。iPhone以外でも、最近ではサムスン電子のGalaxy S/NoteシリーズもQiに対応している。
iPhoneのワイヤレス充電は、チャージャー(充電器)のコイルに電気を流すと、スマホ側のコイルにも電気が流れる特性を利用した「電磁誘導方式」を採用している。iPhoneの場合、充電をするには従来だとLightningケーブルをコネクターに接続する必要があったが、ワイヤレス充電ならチャージャーにiPhoneを置くだけで充電できる。
iPhoneをチャージャーに乗せて充電が開始すると、iPhoneがぶるっと震える。その後、画面のピクトアイコンが充電中になっていれば成功だ。iPhone 8/8 Plus/Xの場合、背面の中央を、チャージャーの中央に合わせる形で置けばよい。
ただ、電磁誘導方式ではスマホとチャージャーのコイルをピンポイントで合わせる必要があるため、iPhoneとチャージャーの位置が少しでもずれると充電できなくなる。何かがぶつかってiPhoneがチャージャーからずれて充電されなくなっても、画面が点灯して知らせてくれるといった機能はないので注意したい。
AppleはQi対応のチャージャーとして、mophieの「wireless charging base」とBelkinの「BOOST↑UP Wireless Charging Pad」を、オンラインストアやApple Store直販店で販売している(いずれも税別で6980円)。iPhoneでワイヤレス充電を利用したい人は、これら2製品を選ぶと安心だ。さらに、Appleは2018年に、iPhone、Apple Watch、AirPodsを同時に充電できる「AirPower」を発売する予定。上記製品を併用している人にはありがたい製品といえる。
ちなみに、iPhoneにケースを付けたままでもワイヤレス充電はできるが、厚みのあるケース、金属製のケース、バッテリーケースを付けた場合だと充電できないか、充電が遅くなる場合がある。
置くだけで充電できるのはワイヤレス充電の大きなメリットだが、有線に比べて電力が抑えられているため、充電の速度が遅いというデメリットがある。mophieとBelkinのチャージャーは最大7.5Wの電力による高速ワイヤレス充電をサポートしているが、現在のiPhone 8/8 Plus/Xは高速ワイヤレス充電には対応しておらず、2017年内のソフトウェアアップデートで対応する予定。
では現在のところ、ワイヤレス充電と有線充電のスピードは、どれだけ差があるのだろうか? 今回はiPhone Xでmophieのwireless charging baseで無線充電した場合と、純正のACアダプター(5W)で有線充電した場合の速度を比較した。いずれもアイティメディアのオフィスにて、iPhone Xのバッテリー残量が70%の状態から充電を開始した。
まずはワイヤレス充電から。12時に充電を開始したところ、1時間ごとの残量は以下のように推移した。
1時間で5%~10%充電し、満充電までに2時間35分ほどかかった。このペースだと、0%から100%まで充電するのに8~9時間かかる計算だ。
続いて、純正のACアダプター+ケーブルで充電した結果を見ていこう。18時に充電を開始したところ、以下のようになった。
1時間後には98%まで充電でき、1時間13分ほどで満充電に。ワイヤレス充電に比べてかなり高速に充電できたことが分かる。0~100%まで約4時間で充電できる計算だ。
このように、現状だとワイヤレス充電の方が有線充電よりも約2倍の時間がかかる。時間があるときや、就寝中などに充電するときはワイヤレス充電でも問題ないが、時間がないときは有線充電の方が断然良い。年内の高速ワイヤレス充電対応のアップデートが早く行われることに期待したい。
また、iPhone 8/8 Plus/Xは有線での高速充電に対応している。Appleの「USB-C - Lightning ケーブル」と、29W/61W/87Wの純正アダプターや、USB Power Delivery(USB-PD)に対応するアダプターを使うと、30分で最大50%まで充電できるという。上記の5Wのアダプターでは1時間で28%の充電だが、高速充電なら1時間で100%充電できる計算。高速充電にこだわるなら、上記の製品を使うのがオススメだ。
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