2016年、米カリフォルニアの浜辺に謎の難破船の残骸が打ち上げられた。この長さを計測した専門家は、これが3年ほど前から行方をくらましていたリュボフィ・オルロヴァ号の全長と一致することに気づいた。
約40年前に建造されたリュボフィ・オルロヴァ号は100人以上の乗客を運んだ船だったが、押収や売却を経たのち、スクラップ直前に無人で漂流を始めた幽霊船だ。
しかもその幽霊船は、共食いをして生き延びる数百匹のラットに占拠されているともいわれていた。
この難破船がラットと海をさまよっていた不運なリュボフィ・オルロヴァ号なのだろうか?
突然浮上した難破船とミステリアスな幽霊船を巡る一連の調査は、アメリカの科学番組のドキュメンタリーとなって話題となった。
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Could These Be The Remains Of A Mysterious Russian Ghost Ship?
解体寸前だったリュボフィ・オルロヴァ号
リュボフィ・オルロヴァ号は1976年に当時のソ連(のちロシア)の海運会社用に建造された4250tもの大きな船で、クルーズ船として活躍した。
image credit:youtube
だが、故障をきっかけにオーナーが多額の借金を負い、2010年にカナダのニューファンドランドの港に押収されることになった。
その後、2012年に解体業者に売却され港に係留されたままだったリュボフィ・オルロヴァ号は、ドミニカ共和国でスクラップにされることが決まり、2013年1月にタグボートに引かれドッグを出た。
だが、途中で牽引ケーブルが破損し強風と高波の悪天候の中、無人の状態で行方をくらましてしまったのだ。
無人のまま海を漂う幽霊船に
広い海を漂い始めた無人船は、近隣諸国の監視対象リストに入ったもののなかなか見つからず、2月末にアイルランド沖の衛星画像に映りこんだ後も再び行方をくらました。
そして2013年3月に遭難信号を2度発した(ラットの仕業と考えられている)が、捜索機でも船影が発見できずに終わったという。
以来、さまざまな探査技術をすり抜けるリュボフィ・オルロヴァ号は幽霊船と呼ばれるようになった。
しかもこの大きな船は海の事故や汚染といった懸念だけでなく、別の脅威も内包していた。
数百匹の共食いラットが占拠している恐れも
実はリュボフィ・オルロヴァ号は、専門家から「共食いラット」数百匹に占拠されているとみられていた。
image credit:youtube
そのため、この船を探す多数のサルベージハンターの中には、万が一発見してもそこらじゅうに毒を散布しなくちゃいけない、と語る者もいた。
リュボフィ・オルロヴァ号は9000万円の価値があるという
image credit:Lilpop, Rau & Loewenstein
同胞を食べる凶暴ラット集団を乗せた不運な船。航跡が途絶えたリュボフィ・オルロヴァ号はすでに伝説と化していた。
もしやあの船?難破船の詳しい調査が始まる
一方、カリフォルニアで見つかった難破船は長さ295ft(約90m)とみられ、リュボフィ・オルロヴァ号のそれと一致。いよいよ詳しい調査が進められることになった。
image credit:youtube
もし幽霊船なら大西洋を抜け太平洋まで来たことになる
image credit:youtube
先端技術を用いた結果、予想外の結果が判明
このミステリーを探るため、彼らは新たな衛星技術の助力を得るなどした。しかし分析の結果、この難破船がコンクリート製だと判明。
残念ながら大半が鋼でできていた「リュボフィ・オルロヴァ号」説はここで否定されてしまった。
image credit:youtube
ある専門家は、この難破船は1930年代にマフィアの手に渡ったオイルタンカーだとみている。その組織がコンクリート製のタンカーを改造して、海に浮かぶ違法なバーやカジノにしていたのだ。
image credit:youtube
この船はまもなく座礁して砂に埋もれていたが、およそ80年ぶりに浮上したとみられている。
via:mirror / dailystar / youtube / dailymail / belfasttelegraphなど / translated by D/ edited by parumo
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コメント
1.
2. 匿名処理班
80年ぶりに浮上!?
どういうこった!!
3. 匿名処理班
だー!結局スットコうろつき船は何処行ったんだよ!
4. 匿名処理班
パナマ運河は閘門式だから無人船が通過するのは不可能だらう。きつと今では大西洋の底で魚の住処になつていると思ふ。
5. 匿名処理班
・・・・・・・・って事は
まだ幽霊船は本当に幽霊船のままなんだ
なんか怖いな・・・・・・・
そんな物が海に平然と浮かんでいて
見つからないなんて・・・・
6. 匿名処理班
共食いラットは、外からのエサの供給がなければ段々減っていくと思うが、
どうやって船を占拠していると考えられているんだ?
7. 匿名処理班
じゃ、今も彷徨ってるってこと? いったいどこに行ったんだってばよ!
8. 匿名処理班
無人の(はずの)船が出す遭難信号
悲しいけれどロマンを感じる
9. 匿名処理班
それはそれで凄いが、結局幽霊船はどうなった?w
10. 匿名処理班
幽霊船がパナマ海峡超えられるわけがねえwww
11. 匿名処理班
二度の遭難信号はミラクル
12. 匿名処理班
と言う事はリュボフィ・オルロヴァ号は未だにどっかを漂ってる訳か…
13. 匿名処理班
鋼鉄製の船が3年も見付からない、という事はやはり沈没したと思われますね。救難信号が発信されたのは、電源の確保が必要なので恐らく誰かが発見していた可能性も。だがネズミ被害が酷くて保管&曳航を諦めたとか。
というか打ち上げられた船の上部構造物が行方不明の船と全然違うよね(笑)コンクリートタンカーって事は戦時中の機雷避けの船舶が思い浮かびました。海外にも有ったんだ…
14. 匿名処理班
※10
パナマ地峡、の、
パナマ運河、な。
15. 匿名処理班
答え出とるんかーい!!
16. 匿名処理班
※6
ネズミは恐ろしく繁殖力が高い。
多分だけど、その凄まじい繁殖力が、捕食されて減る速度を上回ってる可能性が。
17. 匿名処理班
※8
映画ならどこかの通りすがりが乗船して、船内調査中何かに襲われて、船の通信機器復旧させて救難信号を発信。
とか、そんな展開だな。
最終的に沈めるのがお約束か。
18. 匿名処理班
誰も居ない漂流中の船は、発見して乗り込んだ人の所有物になるから、
たぶんネズミの話は、勝手に人が乗り込まないようするための法螺話だと思うよ。
19. 匿名処理班
難破船が奇怪な生物の巣になってるって
古典ホラーじゃん
20. 匿名処理班
※8
渚にて
21. 匿名処理班
※6
ネズミの繁殖スピードは異常だからなー。増えたり減ったりを繰り返してはいるだろうが、ただだんだん減っていくって事はないと思う。
2匹居れば一ヶ月後には親の身体食って100匹になってるのがネズミ
22. 匿名処理班
共食いラットの話が気になったけどあんまり文献が出てこなかったな、難破船の中だけで生態系が完結してるんかな
23. 匿名処理班
救難信号はラットのしわざってあるけどそんなことありえるのかね・・・