ディズニー/ピクサーのトップ、職場での“不適切なハグ”で休職
ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオおよびピクサー・アニメーション・スタジオの制作部門のトップであるジョン・ラセターが、職場での“不適切な行為”があったとして6か月間休職することになった。
The Hollywood Reporter によると、女優でもあるラシダ・ジョーンズが現在制作中の『トイ・ストーリー』第4弾に脚本家として参加していたものの、ラセターから言い寄られて早々にプロジェクトを離脱していたという。そこで複数のアニメーション関係者に話を聞いてみると、こうしたことは今回に限ったことではなかったといい、長年ピクサーで働いてきたという元従業員はラセターについて「体をつかんだり、キスしてきたり、身体的な特徴についてコメントしてくること」で有名だったとコメント。そのほかにもミーティングではハグされて耳元でささやかれたり、彼から脚を触られないように防ぐ動きを“ザ・ラセター”と呼んでいたり……という証言がいくつも得られたという。
同誌がこの記事についてコメントを取るなど準備を進めていたところ、現地時間21日にラセターが従業員に宛てて書いた声明が届いたとのこと。「自分の間違いを直視するのは決して簡単なことではないですが、それしかそこから学ぶ方法はありません」「あなた方の何人かを軽視されていると感じさせたり、不快な思いをさせてしまったりしたことに気付きました。決して意図したことではありません。あなた方はわたしにとってかけがえのない人たちで、もし失望させてしまったのなら心から謝罪します。特に、不適切なハグや、彼らが一線を越えたと感じたジェスチャーを受けた人たちに謝罪したいです。わたしの意図がどうであれ、誰もが自分自身の一線を決める権利があるからです」とラセターは社員たちに謝罪し、大好きな仕事から離れるのはつらいものの、6か月間休職して彼らに値するリーダーになって戻ってくると続けた。
ディズニーは「われわれは全ての従業員が尊重され、最高の仕事ができる職場環境を維持することに全力を尽くしています。われわれはジョン(・ラセター)の誠実な謝罪をうれしく思い、彼の休業を完全にサポートします」と声明を出した。
ラセターはピクサーの創設者の一人として知られ、世界初の長編フルCGアニメーション映画『トイ・ストーリー』や『バグズ・ライフ』『カーズ』などを監督。彼が製作総指揮を務めた『モンスターズ・インク』『ファインディング・ニモ』『Mr.インクレディブル』『ウォーリー』をはじめとしたピクサー作品も次々とヒットを飛ばした。2006年にディズニー・アニメーション・スタジオのトップも兼任するようになってからは(ディズニーがピクサーを買収)、不調だったディズニーも立て直し、『塔の上のラプンツェル』『シュガー・ラッシュ』『アナと雪の女王』『ズートピア』など大ヒット作を連発した。
ピクサーの新作『リメンバー・ミー』が22日から全米公開されるほか(日本公開は来年3月16日)、ラセターは『トイ・ストーリー』第4弾、『Mr.インクレディブル』および『シュガー・ラッシュ』の続編といったプロジェクトも抱えていた。(編集部・市川遥)