2017.11.22
日本はプレッシングを誤解している。
スペインの名将が斬るブラジル戦
- 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki
「前半の日本の戦いを見る限り、各選手に一定の評価を与えられるような出来ではなかった」
ブラジル戦の感想を、ミケル・エチャリはそう言って端的に語っている。
「チームとして無秩序だった。ブラジルのほうが明らかに格上だというのはあるにせよ、FWとDFのラインが間延びし、自分たちはスペースを有効に使えず、相手にはいいように使われてしまった」
エチャリの戦術眼はスペイン国内でも高く評価される。FIFA非公認ではあるが、バスク代表を率い、2015年12月にはバルサ中心のカタルーニャ代表をカンプノウで撃破している。その後、多くのクラブがバルサ対策としてエチャリの守備戦術をコピーしたほどだ。
「日本はプレッシングには精力的だったと言うことはできる。だが、プレッシングの捉え方そのものに誤りがあるのだ。気力、体力の問題ではない」
エチャリの分析は、今回も鋭利だった。
「立ち上がり、日本は高いプレー強度で挑んでいる。まずはブラジルのコンビネーションを崩そうと、敵陣内でプレッシングをかける。それによって、序盤はチャンスを作らせていない。