東京外国為替市場のドル・円相場は下落。イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演がややハト派的と解釈されたことなどを背景に、ドル売り・円買いが優勢となった。
ドル・円は22日午後3時20分現在、前日比0.3%安の1ドル=112円17銭。朝方の112円台半ばから、イエレンFRB議長の発言を受けて112円20銭まで下落。午後に入り日経平均株価の上げ幅縮小に歩調を合わせる形で下値を切り下げ、一時112円11銭までドル安・円高に振れた。
野村証券外国為替部の高松弘一エグゼクティブ・ディレクターは、ドル・円について「イエレンFRB議長の発言がややハト派的と受け止められて売りが優勢になった」と説明。ただ、為替市場では米国の感謝祭を控えて参加者が大幅に減っていると指摘し、ドル・円などがテクニカル分析的なポイントに近づいてくると「短期勢がポジションを取ることはあっても、利益確定の動きも早い」と述べた。
イエレンFRB議長は日本時間22日朝のニューヨーク大学での講演で、速過ぎる引き締めはインフレ率を2%未満にとどめかねないとし、インフレ期待が下振れしている一部兆候があると指摘した。一方、利上げが遅くなり過ぎて労働市場の過熱を招く危険性にも言及し、金融政策が二面的なリスクに直面しているとの認識を示した。
この日の海外時間には10月31日-11月1日開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録が公表される。野村証の高松氏は「議事録が発表される前に、イエレン議長の発言がややハト的なことは気になるが、来年の利上げが3回という基本線が変わっていないことから、相場はあまり動かないのではないか」と指摘。ドル・円についても「日足・一目均衡表の雲が厚く、下値を支えそうだ」との見方を示した。
ユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.17ドル台前半から半ばでの小動きとなり、同時刻現在は0.1%高の1.1748ドル。ユーロ・円相場は0.1%安の1ユーロ=131円80銭で推移している。