テスラ、毎分90万円のペースで現金燃焼-「モデル3」大規模投資で

Tesla Model 3

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  • 計算では、テスラは来年8月6日に現金を使い尽くす見込み
  • テスラは生産目標達成のために十分な資金を保有していると主張

電気自動車(EV)メーカー、米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は最近、静止状態から時速60マイル(約97キロ)までの加速時間が1.9秒の新型スポーツカーを設計していることを明らかにした。悪くない数字だが、これよりも投資家が注目すべきだと思われる速度を示す数字もある。

  ブルームバーグのデータによると、ここ12カ月でのテスラの現金燃焼ペースは1分当たり約8000ドル(約90万円)。このペースでいけば、同社は来年8月6日に現在の保有現金を使い尽くす見通しだ。

  公平を期すために言うと、現金燃焼がこのような急速なペースで続いていくと予想するテスラウオッチャーはほとんどいない。また、同社は新型セダン「モデル3」を増産する方針を示しているため、それにより収益がもたらされる見通しだ。投資家も懸念する様子はない。

  21日の米株式市場でテスラ株は約3%高の317.81ドルで引け、時価総額は530億ドルとなった。米フォード・モーターの時価総額は480億ドルだ。

  それでも、マスク氏が資金を調達する新たな計画を明らかにしたことで、同社の現金の必要性が浮き彫りとなった。同社が今月披露したスポーツカー「ファウンダーズ・シリーズ・ロードスター」と電動の「セミ」トラックは数年納車されない可能性があるが、同氏はこれらの車を発注する顧客に前払いするよう求めている。

  ロードスターの納車は2年余り先になりそうだが、購入には頭金25万ドルが必要となる。注文は1000台に限定されているので、これだけで2億5000万ドルを稼ぐことができる。セミトラックは5000ドルで予約注文できるが、生産に入るのは2019年だ。

  だが、こうした金額もテスラの資金ニーズと比較するとごくわずかだ。モデル3生産への大規模投資のため、同社の1四半期当たりの現金燃焼は10億ドルを超える。価格3万5000ドルのモデル3が、すぐに収益を生み出す可能性は低いように見える。

  テスラは来年3月末までにモデル3を5000台生産するという目標を達成するのに十分な資金があると主張。それ以降は「営業活動から大きなキャッシュフローを創出」する見込みだと、同社は1日付の株主宛て書簡で指摘した。テスラの広報担当デーブ・アーノルド氏は詳細な説明を控えた。

原題:Tesla Blows Through $8,000 Every Minute Amid Model 3 Woes (1)(抜粋)

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日本株続伸、世界的な株高連鎖と米税制期待-機械など輸出、石油上げ

更新日時
Tokyo Stock Exchange and Stock Boards As Japan Shares Dip With Banks As Volatility Returns to Markets
東証内
Bloomberg
  • 米中古住宅販売は予想上回る、情報技術主導で米S&P500は最高値
  • 23日は日米とも祝日休場、ブラックフライデー控え午後伸び悩み

22日の東京株式相場は続伸。米国の中古住宅統計の堅調に加え、世界的に良好な企業業績を背景とした株高連鎖の流れが波及した。税制改革による一段の米景気刺激の可能性に期待感も根強く、機械や電機など輸出株、海外原油高を受けた石油株のほか、銀行や証券株も高い。

  TOPIXの終値は前日比5.95ポイント(0.3%)高の1777.08、日経平均株価は106円67銭(0.5%)高の2万2523円15銭。

  アセットマネジメントOneの浅岡均ストラテジストは、「米国の感謝祭を控え材料不足の中、これまで発表された企業業績の改善をベースとし、世界的なリスク選好で株高となっている」と指摘。さらに、設備投資の一括償却を認める項目が盛り込まれた米国の税制改革が実施されれば、「これまで先送りされてきた設備投資の回復が期待でき、一段と日本企業の収益が伸びる可能性もある」との見方も示した。

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Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  全米不動産業者協会が21日に発表した10月の中古住宅販売件数は4カ月ぶりの水準に増え、市場予想を上回った。同日の米国株は、情報技術セクター中心に上昇し、S&P500種株価指数は一時2600ポイント台と最高値を更新。終値は0.7%高の2599.03だった。ドイツやフランスなど欧州株も総じて堅調。米投資家の恐怖心理を示すシカゴ・ボラティリティー指数(VIX)は4営業日連続で低下し、9.73と2週ぶりに10を割り込んだ。

  米統計の堅調や世界的なリスク選好の流れを受け、きょうの日本株は朝方から輸出や金融、資源セクター中心に買いが先行。日経平均は一時260円高の2万2677円まで上げ幅を広げた。いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は、「米国の景況感は良くなっているが、物価は上がらないため、金利は低いまま」と株式市場にとって良好な投資環境だと指摘。こうした中、「日本株は割安で、押し目があったら買い」と言う。米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は21日のニューヨーク大学でのイベントで、拙速な利上げはインフレ率を2%の目標未満にとどめてしまうリスクがあると警告した。

  世界株堅調の背景にあるのが、良好なマクロ環境に支えられたグローバルな企業業績の良さだ。大和証券によると、東証1部の7ー9月期経常利益は前年同期比22%増と4四半期連続で増加。数量増や費用削減、値上げ効果に加え、円安効果もあり、機械や電機、情報技術、化学などが全体をけん引している。ブルームバーグ・データによると、向こう12カ月の日経平均採用企業ベースの1株利益はプラス6.6%、米S&P500はプラス19.5%、ストックス欧州600はプラス31%となっている。

  ただ、朝方の買い一巡後は徐々に伸び悩み。東京市場はあす23日が祝日休場、米国も感謝祭の休場を控え、持ち高をいったん整理する売りも出やすかった。きょうの為替市場では、早朝の1ドル=112円40銭台から午後は同10銭台まで円がやや強含みで推移した。いちよしアセットの秋野氏は、「ヘッジファンドのショートカバーや、それを見越したCTAのトレンドフォローが一巡し、さらに上を目指すのは難しい」と話している。

  東証1部33業種は石油・石炭製品、機械、鉱業、銀行、証券・商品先物取引、海運、電機など24業種が上昇。小売、医薬品、食料品、サービス、陸運など9業種は下落。石油や鉱業は、前日のニューヨーク原油先物の反発がプラスに寄与した。

  売買代金上位では、新たなセラミック固体電池を開発したTDKが急伸し、野村証券が中国建機需要は好調との見方を示し、コマツも高い。クレディ・スイス証券が目標株価を上げたTHKも買われた。半面、米ベインキャピタルの保有株売却で、需給悪化懸念が広がったすかいらーくは安い。SMBC日興証券が目標株価を下げた味の素も下落。

  • 東証1部の売買高は16億339万株、売買代金は2兆7064億円
  • 値上がり銘柄数は1062、値下がりは868
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