レバノン首相が帰国 サウジ訪問中に辞任表明
今月4日に訪問先のサウジアラビアで辞任表明していたレバノンのサード・ハリリ首相が21日夜、帰国した。
首都ベイルートの空港に降り立ったハリリ氏は治安部隊に出迎えられた。
サウジアラビアの首都リヤドでの突然の辞任表明は、レバノン国内の多くの人を驚かせ、政治的危機を引き起こした。
中東地域の主要国としてイランとライバル関係にあるサウジアラビアが辞任を強要したとの憶測が出ていたが、ハリリ氏はそれを否定した。
レバノンのミシェル・アウン大統領はハリリ氏と直接会談するまで辞任は受け入れないと述べていた。両者は22日に会談を行う予定。
ハリリ氏は先週18日にパリに飛び、フランスのエマニュエル・マクロン大統領と会談した。マクロン大統領は膠着(こうちゃく)状態の打開に向けた仲介役を申し出ている。
ハリリ氏は仏滞在中に、22日に予定されるレバノン独立記念日の祝賀行事に参加すると述べ、「アウン大統領と会った後、(中略)そこで私の立場を明らかにする」と語った。
ベイルート空港に到着後、ハリリ氏は父親のラフィク・ハリリ元首相の墓を訪れ、祈りをささげた。ラフィク・ハリリ氏は2005年に爆弾攻撃によって暗殺されている。
ハリリ氏は今月4日、テレビで放送された演説で暗殺される可能性があると語った。さらに、イランが中東地域で「不協和音と荒廃、破壊」の種をまこうとしていると非難し、イスラム教シーア派組織ヒズボラがレバノンを不安定化させていると主張した。
アウン大統領は、サウジアラビアがハリリ氏を自身の意志に反して国内に留め置いていると非難したが、サウジ政府とハリリ氏は否定した。
ハリリ氏はサウジアラビアと密接な関係にある。レバノンとサウジアラビアの2重国籍を持ち、サウジ国内に資産を所有している。サウジアラビアはハリリ氏が所属する政党「未来運動」の主要な後援者でもある。
(英語記事 Lebanese PM Saad Hariri back in Beirut after shock resignation)