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ただいま表示中:2010年8月30日(月)死刑 あなたは知っていますかP1/P1
No.29272010年8月30日(月)放送

死刑 あなたは知っていますか

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NHK社会部 堀部敏男記者


<スタジオ1>

●死刑の刑場公開。情報としては、まだ限定的?

>>私は先週金曜日の刑場公開の際に、刑場に入りました。その場では形式的な執行の手順については説明を受けましたけれども、ロープなどの撮影はできませんでした。今回公開されたのは、刑場という、あくまで施設だけで、まだまだ秘密になっている情報は多いんです。
そもそも国は長い間、執行した死刑について、年間の執行数だけしか公表していませんでした。平成10年になって、執行当日に、執行した人数を公表するようになりましたけれども、名前が公表されるようになったのは、3年前の平成19年からのことなんです。さらに、どの死刑囚を執行するかなど、執行の順番や時期を、どうやって決めているかについても、判断基準は明らかにされていませんでした。刑が確定して、拘置所にいる死刑囚は、年々増えていまして、現在は107人に上っています。しかし執行数は年によって大きくばらつきがあります。
法務大臣の判断で、執行がゼロの年がある一方で、15人が執行された年もあります。法律では死刑確定から6か月以内に執行することになっているんですけれども、40年近く執行されていない死刑囚がいる一方で、1年足らずで執行されたケースもあるんです。


●なぜ死刑について、情報が閉ざされてきた?

>>法務省は死刑囚の心情の安定を図るためということを主な理由としてあげています。死刑の具体的な様子や、いつ執行されるかなどについて明らかになると、死刑囚が不安になって、自殺をしたり、抵抗したりすることを懸念しているんです。ところがアメリカでは、死刑制度の透明性を非常に重視しています。日本では、死刑囚に刑の執行を知らされるのは当日の朝ですけれども、アメリカでは事前に、死刑囚やその家族に伝えられます。さらに、被害者の遺族や報道関係者も執行に立ち会うこともできるんです。陪審制度があるアメリカでは、市民が、刑罰に最後まで責任を負うべきだという意識が強く、死刑制度を維持する以上は、情報公開を徹底すべきだと考えています。日本にも裁判員制度が導入されまして、市民が死刑の判断を迫られる裁判は、ことしの秋以降、相次いで開かれる見通しです。その意味でも、死刑に関する情報公開は今後ますます、必要になります。



<スタジオ2>

●死刑執行についての被害者の遺族の感情について

>>今回、多くの遺族に取材をしましたが、立川さんのように、死刑を区切りと考える遺族が大半でした。その一方で原田さんのように、複雑な感情を抱く遺族もいました。自分の家族がなぜ殺されなければならなかったのか、真相を知りたいという思いや、真の謝罪の言葉を加害者から聞きたいと考えている人もいました。
また遺族の思いとして共通していた点は、被害者の遺族に刑の執行が知らされないなど、
情報の提供が不十分だということです。刑の執行については、まだまだ蚊帳の外に置かれていると、遺族は不満を持っています。



<スタジオ3>

●国の死刑制度についての議論について

>>法務省の勉強会では、死刑制度の存廃、いつ執行を伝えるかなど、執行のあり方について、そして被害者遺族などへの情報提供のあり方、この3点を主な柱として議論するとしています。今後の議論では、制度の改善という意味では、死刑の執行を被害者遺族にどう伝えるかどうか、また、希望した場合、被害者遺族を執行に立ち会わせるかどうかなどもポイントになります。
一方、死刑制度の是非という点については、本当に犯罪の抑止につながっているかどうかといった点も、議論のポイントになると思います。死刑の是非については、どの立場に立つかによって、まったく考え方が違っています。非常に難しい問題だと思います。しかし、私たちひとりひとりが死刑判決を言い渡す可能性のある裁判員制度が始まっている中で、市民ひとりひとりが、死刑と向き合わなければならない状況になっています。死刑について考え、議論を深めるためにも、さらなる情報が必要だと思います。

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