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脂肪肝の症状と改善するための食事方法 ~ 合わせて運動は何をする?

食事

肝臓の機能異常の多くを占めるといわれる「脂肪肝」。人間ドックや健康診断で、肝機能の異常が見つかることが多く、脂肪肝は、その名の通り「肝臓に脂肪が過剰に蓄積した状態」です。

脂肪肝の原因は、飲酒や肥満、糖尿病など生活習慣病に関するものが含まれています。このページでは脂肪肝が気になる方への食事や運動についてご紹介します。


~ 目次 ~


脂肪肝の症状と診断

脂肪肝はどんな症状がでる?

疲れ

脂肪肝の症状
  • 疲れやすい
  • 食欲が落ちる
  • 頭がぼーっとする

脂肪肝の症状として、上記があげられますが、痛みなどの自覚症状がでにくいため、自分ではなかなか気づきにくいことがあります。気になる症状があれば早めに病院を受診しましょう。


病院での検査は?

病院で行われる検査は、健診などで行われる一般的な血液検査と、超音波検査、CTスキャンを使った画像での検査を合わせて診断されます。

血液検査

肝臓の状態をみる血液検査は、ALT(GPT)、AST(GOT)、γ-GTP、ChE(コリンエステラーゼ)を主に確認します。これらの値が基準値よりも高い数値になっていると、脂肪肝が疑われます。

画像検査

血液検査で異常がみられない場合でも、超音波画像(またはCTスキャンなど)で脂肪肝がわかることもありますので、血液検査と併用して検査が行われます。



脂肪肝を改善するための食事方法

脂肪肝を解消するためには、肝臓がいつもの働きをすることができるように、体にとって必要なエネルギーと栄養を適度にとることが大切です。

食事の見直しポイント

チェック

脂肪肝になるとほとんどの方が体重を減らす必要があります。まずは、今の現状の食事について振り返ってみましょう。食事の見直しのポイントをご紹介します。

  • 肥満になりやすくなるため、夕食にまとめて食べることはやめましょう。1日3食とるようにすることで食品の種類も増え、バランスがとりやすくなります。
  • 満腹感を感じやすくするために、野菜や海藻類を毎食取り入れるようにしましょう。
  • エネルギーの過剰摂取につながりますので、間食や夜食、アルコールは控えるようにしましょう。
  • 調理方法は、「揚げ物」、「炒め物」が多くなっていないか確認しましょう。「煮る」、「焼く」、「蒸す」などの調理方法がおすすめです。
  • 噛む回数を増やすと、食べ過ぎを防いでくれる効果があります。早食いにならないようにゆっくりよく噛んで食べるようにしましょう。

バランスよく食事を食べよう!

栄養のバランスのとり方

何をどのくらい食べたらよいのか、迷ってしまうこともあるでしょう。一日に必要な栄養をとるためには、食品群で考えるとわかりやすくなります。中学校の教科書でもでてくる分け方です。

おもに体をつくるもとになるもの
第1群

たんぱく質が多く含まれ、おもに血液や筋肉の材料となるもの
例)魚、肉、豆腐などの大豆製品、卵など

第2群

カルシウムが多く含まれ、骨や歯をつくる材料となるもの
例)牛乳、ヨーグルト、チーズ、しらす干し、のりなど


おもに体の調子をととのえるもとになるもの
第3群

色の濃い野菜(緑黄色野菜)で、ビタミンやミネラルが多く含まれるもの
例)にんじん、かぼちゃ、ピーマン、ほうれん草など

第4群

色の薄い野菜やくだもので、ビタミンやミネラルを多く含まれるもの
例)きゃべつ、はくさい、きゅうり、なす、みかん、りんごなど


おもにエネルギーになるもの
第5群

穀類やいもで炭水化物を多く含むもの
例)ごはん、めん、食パン、いもなど

第6群

油脂製品で脂質が多く含まれるもの
例)油、マヨネーズ、バター、マーガリンなど

それぞれの食品群からまんべんなく取り入れると、バランスがとれた食事に近づきます。


エネルギーの計算方法

自分にとってどのくらいのエネルギーが必要なのか、適量を確認してみましょう。適正なエネルギーは、身長と体重から計算することができます。

  1. 自分の身長と体重を確認
  2. 身長をメートルに換算
  3. 計算式に当てはめる
  4. エネルギー量がどのくらいか検討
1. 自分の身長と体重を確認しましょう。
2. 身長をメートルに換算する。

例)身長が、165㎝だったとすると、1.65メートル

3. 計算式に当てはめる。

体重(㎏)÷身長(メートル)÷身長(メートル)=BMI

例)体重が55㎏で身長が165㎝の場合 55 ÷ 1.65 ÷ 1.65 =20.2  なので、BMIは20.2です。

BMIとは、体格指数のことでBody Mass Indexを略したものです。自分の体格が、肥満なのか、やせなのかを判断する基準のひとつとして用いられます。BMIが22のときが、健康状態が良好な人が多いといわれています。

4. 3の結果をもってエネルギー量がどのくらいか検討します。
BMIが18.5未満の場合

エネルギーが不足している、栄養のバランスが偏ってしまっている可能性があります。食事の量を見直してみましょう。食事量を少し増やすだけでも、栄養のバランスが整うことがあります。


BMIが18.5~25未満の場合

現在の摂取エネルギーは、適切と考えられます。今の食事量を維持しながら、栄養のバランスも整えていきましょう。


BMIが25以上の場合

エネルギー量が取り過ぎている傾向にあり、脂肪肝となる危険性が高い状態です。体にとって必要なエネルギーの量を確認し、取り過ぎている食品がないか日頃の食事を見直してみましょう。栄養のバランスを考えながら、摂取エネルギー量を控えていくことが必要になります。

日本人の食事摂取基準(2015年版)による成人の推定エネルギー必要量(kcal/日)です。

男性
年齢(参照身長㎝/参照体重㎏)
18~29歳(170.3/63.2) 2300 2650 3050
30~49歳(170.7/68.5) 2300 2650 3050
50~69歳(166.6/65.3) 2100 2450 2800
70歳以上(160.8/60.0) 1850 2200 2500

女性
年齢(参照身長㎝/参照体重㎏)    Ⅰ
18~29歳(158.0/50.0) 1650 1950 2200
30~49歳(158.0/53.1) 1750 2000 2300
50~69歳(153.5/53.0) 1650 1900 2200
70歳以上(148.0/49.5) 1500 1750 2000

上記の表を参考にして、一日に必要なエネルギーを確認しましょう。身体活動レベルの区分として、Ⅰ=低い、Ⅱ=ふつう、Ⅲ=高いと表しています。運動習慣がなく、デスクワークを中心としている会社員や、日常的な家事を行う主婦で、「ふつう」程度として判断します。この表は、妊娠中の人や授乳中の人は当てはまりません。

また、エネルギーの必要量には、個人差があるため、表を参考にしながら、実際に自分の体重がどのくらい増えるか、または減るかの状態を観察することが必要になります。体重が変化するとBMIの値も変化しますので、その都度、適正なエネルギーであるか、確認するようにしましょう。体重を毎日同じ時間ではかる習慣をつけるといいですね。




脂肪肝におすすめの運動3種

ウォーキング

体の脂肪を減らすためには、適度な運動が必要です。エネルギーを消費するための「有酸素運動」、筋肉を増やすための「筋肉トレーニング」、筋肉の疲れをとって、運動の効果を高める「ストレッチ」、この3つの運動を組み合わせることで、筋肉を増やしながら、体脂肪を減らすことができます。

有酸素運動

脂肪を効率よく燃焼させることで、体脂肪を減らしていく運動方法です。軽く汗ばむ程度の全身運動を行い、話をしながら続けることができる強さが目安になります。

例)ウォーキング(少し早めに、しっかり歩く)、ジョギング、水泳、サイクリングなど。


筋肉トレーニング

筋肉に適度な負荷をかけていき、筋肉量を増やしていく運動です。筋肉量が増えると、基礎代謝があがり、筋力もつくため、脂肪がつきにくい体へと変化します。1日おきに行うとよいでしょう。

例)スクワットをゆっくりおこなう、片足ずつあげて1分程度キープする(フラミンゴ体操)など。


ストレッチ

日頃の筋肉の疲れをとり、運動効果を上げる役目があります。筋肉をのばすことで、たまっている疲労物質を排泄させるように促します。

例)、背中や腰、胸や肩のストレッチを行う。アキレス腱のばしや開脚をして、足の後ろを伸ばす運動も効果的。一か所あたり20秒程度を目安にして、必ず呼吸をしながらおこないましょう。

運動で大切なのは続けること。無理なく続けられる運動を選びましょう。運動するときは、水分をこまめにとり脱水症状にならないように注意します。動悸がする、めまいがするといった体調に不安を感じたら、無理に運動するのはやめましょう。


脂肪肝と薬
脂肪肝の治療の際に、薬が処方されることもあります。しかし、薬のみで脂肪肝を改善することは難しいとされていて、必ず食事療法や運動療法を組み合わせることが大切になります。日頃の生活習慣を見直して、少しずつ改善していけるようにアルコールの飲み過ぎ、食べ過ぎ、油ものの取り過ぎなどに注意しましょう。


まとめ

脂肪肝は、生活習慣と関係が深い病気です。規則正しく生活することが大切ですが、長い間続けてきた習慣を変えることはなかなか大変かもしれません。いきなり完璧にしようと思わず、外食のときは野菜多めのものにする、毎日アルコールをとる人はまずは週に1回は休むなど取り入れられそうなものから始めてみるようにしましょう。

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