中国人は「仮想通貨大国」ニッポンを目指す

「チャイナリスク」は日本の好機となるか

2017年11月22日(水)

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 「日本で仮想通貨交換業者になるにはどうすればいいですか。やはり金融庁には早めに行ったほうがいいですよね」

 中国・北京の仮想通貨関連企業に勤める劉浩宇氏(仮名)は会うなり矢継ぎ早に質問を繰り出してきた。「中国の仮想通貨市場の現状を教えてほしい」と面会をお願いしたのは筆者の方だったので、突然の質問攻めに面食らった。

 2016年11月には世界のビットコイン売買高の9割を占めた「仮想通貨大国」の中国。だが今年9月4日、中国人民銀行などが仮想通貨による資金調達「ICO」を全面的に禁止したことで状況は一変した。当局はICOに加え、仮想通貨の取引も規制し、中国国内の仮想通貨取引所は10月末までに閉鎖した。

人民元業務の停止を伝える中国仮想通貨取引所大手「OKコイン」のホームページ

 劉氏が勤める企業は、仮想通貨の計算作業をすることで報酬を得るマイニングや仮想通貨を保管するウォレットと呼ばれる事業を手がけてきた。ICOや取引所の事業はやっていないため、今回の規制とは無縁のようにも思えるが、劉氏は「当局からは、『顧客が仮想通貨同士を交換する相対取引の仲介もしてはいけない』と言われている」と規制が広範囲に及んでいることを明かしてくれた。

 内陸にあるマイニング施設の場所を聞くと、「担当者しか知らない」と目をそらした。マイニングは規制されてはいないものの、「経営陣はいつ調べられるか分からないと危機感を強めている」という。劉氏の会社はオフィスを引っ越したばかりだが、入り口に会社のロゴなどは一切見当たらない。なるべく目立たないように、ロゴなどは掲げないことにしたのだという。

 実際、規制されていないはずのマイニングの現場でも異変は起きていた。内モンゴル自治区オルドス市はかつては石炭の町として、数年前には住む人がいないマンション群「鬼城(ゴーストタウン)」の町として有名になった。その町に最近、新たな産業が勃興してきた。仮想通貨のマイニングだ。

「現金消滅」の目次

「中国人は「仮想通貨大国」ニッポンを目指す」の著者

小平 和良

小平 和良(こだいら・かずよし)

日経ビジネス上海支局長

大学卒業後、通信社などでの勤務を経て2000年に日経BP社入社。自動車業界や金融業界を担当した後、2006年に日本経済新聞社消費産業部に出向。2009年に日経BP社に復帰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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