人気漫画「るろうに剣心」作者の和月伸宏さん、児童ポルノDVD所持容疑で書類送検 集英社、新シリーズの休載決定
和月氏に下記の点を踏まえた反省と行動をしていただきたく筆を執りました。
■実写ポルノは凶器、どんな綺麗事やお題目を口にしてもそれが真実
この事件児童ポルノ禁止法違反ということから、マンガ・アニメ等の架空表現作品(=2次元表現)の所持ではなく、実在する児童の実写作品(=3次元表現)を所持していたことによる書類送検になります。当然のことですが、実写ポルノのまずい点は被写体となった児童が実在し、さらに児童は大人の口車か、盗撮行為かのどちらかによって撮影されたことが確実ということです。製品自体が被害の記録であり違反行為の証拠であり、児童保護の観点から制作はもちろん所持も鑑賞も許されません。私たちは児童がポルノの世界に巻き込まれることが無いよう社会全体で考え行動していかなければなりません。社会的影響力が大きい立場である和月氏には自らの言葉と行動で反省していただきたく思います。
■所詮この世はネタ消費。面白ければ関心を持たれ難しければ無関心
一方、ポルノ等の話題は“ピンクの火薬”の性質があるものです。世に発報された直後から短時間で多様な反応を誘発し(多くが数日で沈静化)、例に漏れず本件に対してもSNS等で和月氏のことを弄るようなコメントが溢れています。しかしネタに終止し、児童ポルノ禁止法や表現規制が何のために存在するかが置いてきぼりになっている感は否めません。前述の通り、この事件の社会的影響は大きいため、ネタとして消費するのでなく落とし所がいまだ曖昧な『表現規制』漫画やアニメなどを総称した『架空表現』の是非について再考する機会として活用していくべきです。なぜなら著名な漫画家の過ちだけで事態を終息させてしまうと、性的な表現に全般に関するネガティブなイメージを加速させ、マンガ・アニメ等架空表現まで含めた表現が一方的に規制されることがありえるからです。
■半端な覚悟じゃ表現規制と向き合えない
しかし現状国内で表現の是非等を真面目に考えることは下記三点からめんどくさい状況にあると言わざるをえません。
・「どこからが性的」のような個人の価値観に依存しがちなテーマ
・脊髄反射的な主張が目立ち、本質である『児童保護』が抜け落ちた議論になりがち
・国連から日本に性的表現が溢れているとの指摘が一方的に出てる
真面目に論点を分析しても、関心が無い層からの支持は得られず「なんかオタクが盛り上がってるねぇ」と否(いな)されがちな報われにくいテーマなのです。こうした状況ではマンガ・アニメ等架空表現を含め全てを規制したい側に一方的に押し切られ規制が厳しくなる恐れがあります。脊髄反射を一旦棚上げし、表現規制や児童ポルノ規制法が目指している児童保護とは?の観点を社会全体で共有する機会は間違いなく必要です。
■社会をつくるのは「表現」ではなくそれを扱う「人」
和月氏が「表現のため」と言い訳しなかったことは重要なことでした。
児童ポルノ作品所持の理由を自身の性癖だったと公開したことは評価に値します。なぜならもし「表現活動の素材として~」と言い訳されていたら表現者全体に社会から負の烙印を押される結果を招いていてもおかしくないためです。今のところ引退されるとの発表は出ていません。ならば復帰後はぜひ拗れた表現規制の現状に向き合い、児童福祉を考え、それらに関心の無い層にも漫画などを通して考えるきっかけを与える旗手の一人として活動をしていただきたく思います。
報道では触れられていませんが、和月氏の代表作『るろうに剣心』は時代に翻弄されてきた主人公たちが、矛盾に苦しみながらも次の世代をより良くするため悩みながら戦う話です。社会は多様であり正義の形も様々ですが、矛盾と向き合うことでよりよい社会は作られていくものです。今までもこれからも『るろうに剣心』は僕にとって愛してやまない作品です。作中にこんなセリフが出てきます。
一度や二度の戦いで
真実の答えがでるのであらば、
誰も生き方を間違えたりはせん。
人、一人の人生は
そんな簡単な事じゃござらんよ。
真実の答えはこれから、
お主自信が自分の生き方の中から
みいだすでござるよ。
和月氏が事件から答えを見つけていただくことを望みます。
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