ベルギーの賭博委員会が『SWBF2』『オーバーウォッチ』などに搭載する「ルートボックス」をギャンブルに認定。欧州全域での禁止を要請

ベルギーの賭博委員会は、昨今のゲームに搭載されている「ルートボックス」をギャンブルと認定し、子供に与える害を考慮し欧州全域にて禁止を求める声明を発表した。その内容をベルギーメディアVTM Newsが報じている。委員会は「ルートボックス」を「お金と中毒性を混ぜ合わせたギャンブルである」と断定。現政府の法務省の役員であるKoen Geens氏もまた「賭博とゲームを混ぜてしまうことは、子供たちのメンタルにとって危険な問題」とコメントしている。PCGamerによると、Geens氏は時間をかけつつも、ベルギー内でのゲーム内課金を禁止するとともに、ヨーロッパ全域にて同様の措置を求めていくと語っているという。

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「ルートボックス」とはゲーム内で手に入る、開けることでランダムにアイテムが手に入るボックスだ。ほとんどのゲームでは、こうしたボックスはゲーム内のクレジットで購入することができるが、ゲーム内だけでは完結せず、ゲーム内課金を誘導するデザインになりやすい。実際に、「ルートボックス」を採用したタイトルは大企業に多大な収益をもたらしている(関連記事)。一方でその射幸心の強さや中毒性から、たびたびギャンブルではないかと議論されており、子供への悪影響が懸念されている。景気の良い話からトラブルまで、何かと話題が絶えないシステムである。

今月15日は、ベルギーの賭博委員会の委員長であるPeter Naessens氏が『スターウォーズ バトルフロント2』『オーバーウォッチ』を例にあげ、課金を絡めた仮想通貨によってゲーム内アイテムがランダムに入る、そうした要素を含むタイトルはギャンブルの要素を含んでいるのではないかと訴えていた。『スターウォーズ バトルフロント2』の販売元であるElectronic Artsはこうしたベルギーの委員会の疑問に対し、同作のルートの仕組みはギャンブルにあたらないとコメント。「ゲームはプレイヤーの能力に依拠しており、ゲーム内購入(ルートボックス)に依拠していません。ゲームにまったく課金せずともルートボックスを手に入る仕組みにもなっています。」と真っ向から否定していた。今回のベルギー委員会はそうしたEAの主張を退けるものとなる。

思わぬ形で議論に巻き込まれた『オーバーウォッチ』

すでに「ルートボックス」についての可否は世界各地で議論されており、アメリカのレーティング機関エンターテインメントソフトウェアレーティング委員会ESRBは「ルートボックス」はギャンブルには当たらないと判断。英国政府は1万5000件以上の署名が集まった、ルートボックスをギャンブルと認めるように求める嘆願書に反応し、具体的な施策は提示しなかったものの、子供の保護を最優先にするとコメントしていた

今回のベルギーの賭博委員会は、「能力強化型」「スキン型」といったコンテンツごとの区別をせず、「ルートボックス」に準ずる要素そのものを禁止する判断を下している。これが正式に認可されれば、問題視されているタイトル以外のさまざまな作品に強い影響を与えることは必至だ。欧州全域にこの措置が浸透すればなおさら。各大手パブリッシャーがルートボックスを含んだ「Game as a Service」を指向するタイトルの開発を目指す中(関連記事)、国と政府はどう対応していくのだろうか。また企業側に動きがあるのだろうか。2017年、ゲーム業界を議論の渦に巻き込む「ルートボックス」にまつわる話題は、まだまだ動きがありそうだ。

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