携帯に駅周辺のトイレ検索履歴

神奈川県座間市のアパートで9人が遺体で見つかった事件で、神奈川県内の駅のトイレで見つかった群馬県の女子高校生の携帯電話に、駅周辺のトイレを検索した履歴が残っていたことが関係者への取材で分かりました。
警視庁は、殺人の疑いで逮捕された白石隆浩容疑者が、アパートが特定されないように離れた場所に電話を捨てさせた疑いがあるとみて調べています。

警視庁によりますと、この事件で先月23日、自宅アパートで東京・八王子市の23歳の女性を殺害した疑いで20日再逮捕された白石隆浩容疑者(27)は、遺体で見つかった9人全員の殺害を認めているということです。
このうち、群馬県の15歳の女子高校生については、ことしの8月28日に現場のアパートに近い小田急電鉄の相武台前駅まで来たあと、およそ20キロ離れた同じ小田急電鉄の片瀬江ノ島駅の改札を出る姿が防犯カメラに写っていたほか、翌日には、この駅構内のトイレから高校生の携帯電話とICカードが見つかったということです。
さらに高校生の携帯電話には、自殺サイトのほか「江ノ島」「トイレ」などと、駅周辺のトイレを検索した履歴が残っていたことが関係者への取材で分かりました。
調べに対し白石容疑者は「携帯電話などを捨ててこいと言ったかもしれない」と供述しているということで、警視庁は白石容疑者が高校生の携帯電話の位置情報から現場のアパートが特定されないように離れた場所に電話を捨てさせた疑いがあるとみて調べています。

群馬県の15歳の女子高校生は、ことしの8月28日に行方が分からなくなりました。
捜査関係者などによりますと、女子高校生は学校の始業式だった28日の朝、両親に「学校に行く」と言って自宅を出たあと、自ら学校に連絡し「体調が悪いので休みます」と伝えていました。
その後、1度自宅に戻ったとみられ、夕方ごろには、自宅の最寄りにある東武鉄道の駅に入場しました。
さらに、ICカードの記録などから、現場のアパートの最寄りの小田急電鉄の相武台前駅に立ち寄っていました。
その後の午後6時ごろには、同じ小田急電鉄の相模大野駅の近くで、黒いTシャツを購入していました。
そして午後7時20分ごろには、小田急電鉄の片瀬江ノ島駅の改札を1人で出る姿が周辺の防犯カメラに写っていて、これを最後に行方が分からなくなっていたということです。
翌日の29日には、高校生の携帯電話やICカードが片瀬江ノ島駅構内の女子トイレで見つかったということです。
警視庁によりますと、白石隆浩容疑者は「携帯電話やICカードは自分が捨ててこいと言ったかもしれない」と供述しているということで、警視庁は、携帯電話の位置情報などから事件が発覚しないように、指示していた疑いがあるとみています。

神奈川県の江の島振興連絡協議会の会長の湯浅裕一さんは、群馬県の女子高校生の行方を家族とともに捜したということです。
ことしの9月12日に女子高校生の母親と祖父が「娘が行方不明になっているので捜したい」と江の島を訪れたということです。
女子高校生の携帯電話は、小田急線の片瀬江ノ島駅の構内にあるトイレでICカードとともに見つかっていて、母親らは「娘のスマートフォンには、自殺サイトの検索履歴や江の島のトイレという文字が残っていたので、江の島に来ているのではないかと思い探しに来た」と話したということです。
そして、江の島の防犯カメラを見たいという依頼を受けて、湯浅さんは片瀬江ノ島駅から江の島に向かう道路に設置した防犯カメラの映像を一緒に確認したということです。
女子高校生が行方不明になった8月28日の午後7時すぎから、翌日の午前8時ごろまでの12時間分を確認しましたが、本人とみられる姿はなかったということです。
その数日後、女子高校生の家族は再び情報提供を呼びかけるポスターを持って訪れ、湯浅さんは島の住民にポスターを回覧して見覚えがないか呼びかけましたが情報はなかったということです。
湯浅さんは「駅のトイレでスマートフォンとICカードが見つかったことが変だったので事件性があるのかなという気はしていましたが、こんなにひどい事件に巻き込まれていたとは思わず、大変ショックです。家族の方が防犯カメラの映像を必死に見ていたことを思うといたたまれないです」と話していました。