PISA協同問題解決能力調査 日本はOECD加盟国では1位

経済協力開発機構(OECD)の2015年実施の学習到達度調査(PISA)のうち、他者と協力して問題を解決する「協同問題解決能力」の調査結果が11月21日、公表された。日本の平均得点は552点で、OECD加盟国32カ国中では1位、参加52カ国・地域のうちでは2位だった。また、日本の特徴として、上位層と下位層の差が小さい傾向が明らかになった。

OECD加盟国中の2位は韓国で538点、3位はカナダで535点。全参加国・地域中の1位はシンガポールで561点、3位は香港で541点だった。

日本はPISA調査が、実生活と社会生活で効果的、生産的な能力を発揮し始めるとしている、レベル2以上(440点以上)の生徒の割合が最多。最も低いレベル1以下(340点未満)の生徒の割合は最少だった。

チームの意思決定を通じて答える調査問題で、日本が好成績を挙げたのは、「全メンバーがチームの目的を見据えた意見や指摘を行う力」で、正答率72.6%(OECD平均は55.7%)など。

反対に課題となったのは、「チームルールの意識と指摘する力」13.7%(OECD平均17.5%)などだった。

OECDパリ本部教育局の池田京PISA主席アナリストは「日本が平均的に高いのは、主に下位の生徒の成績が高いことに起因する。最も成績の低いグループ(下位5%)の生徒でさえ402ポイントを獲得しており、シンガポールの下位5%生徒の392ポイントと統計的に有意な差はない。その結果、日本の成績上位者と下位者のギャップは参加国・地域の中でも小さい方であり、平均点が高いという結果につながっている」と分析した。

OECDは「協同問題解決能力」を、「複数人が解決に迫るために必要な理解と労力を共有し、解決に至るために必要な知識、スキル、労力を出し合うことによって、問題解決しようと試みるプロセスに効果的に取り組むことができる個人の能力」と定義。

同能力の要素となる▽共通理解の構築と維持▽問題解決に対する適切な行動▽チーム組織の構築と維持――というコンピテンシーに着目し、これらを測定するため、問題解決の4つの認知プロセスを組み合わせた12の測定可能なスキルを設定した。各スキルには、▽チームメンバーの視点と能力を見いだす▽達成すべき課題を明らかにし記述する――などがある。

同調査は52カ国・地域の15歳、約12万5千人が参加。日本は198の高校などから約6600人の生徒が取り組んだ。生徒らはコンピューターを使い、仮想人物とチャット形式で課題対応への対話を進めた。