まずはパスする際の基本を抑えておきましょう。以下、全て平場(得点は平たく、100点にも遠い)を考えます。
パスにおいて最優先で考慮されるべきものはスペードのトップアナー(A,K,Q)です。これはSQを回避するという目標から自然に理解されると思います。
しかし、スペードのトップアナーがあればいつでもパスするかというと決してそのようなことはありません。主にスペードの枚数とパスする方向によってこれらのカードをパスするかどうかは決まってきます。
スペードの枚数が多ければ、スペードのトップアナーを出さざるをえない状況になりづらいので、スペードのトップアナーをパスする必要が薄くなります。スペードが6枚以上ならまず安全で、5枚でも大抵は安全圏です。ところがスペードが4枚ならかなり危険なのでパスした方がいいでしょう。スペード3枚以下ならほぼパスするのが妥当です。
右へのパスなら、SQをパスしてSKやSAを渡されてもスペードがリードされたら右がフォローしたカードを確認してからSKやSAであがればいいですし、SKやSAをパスしてSQを渡されても、自分がスペードをリードしない限り右がSKやSAをフォローする機会はない(見てからSQを出せる)ので有利です。原則として、右へのパスなら積極的にスペードのトップアナーをパスすることができます。逆に、左へのパスではなかなかパスしづらいです(それでもスペードが3枚以下ならパスした方がいいでしょう)。対面のパスはその中間ぐらいです。
特筆事項としては、右へのパスならSQとSKまたはSAを持っている場合にSQのみをパスするという技が使えます。誰かがスペードリードした場合に、右がSQを出さないことを確認してからSK・SAを出せるからです。このようにパスすることで、スペード以外のカードを2枚パスすることができます。
なお、左へのパスでスペードをパスするかどうかですが、私はおおよそ以下のような判断基準でパスするかどうかを決めています。
ただし、他のスートの状況により多少変わります。参考までに。
なお、ムーン狙いでない場合は、原則としてスペードのJ以下をパスしてはいけません。
カバーパスとは相手のムーンを止める目的で、主にハートのセカンドベスト(2番目に高いカード)をパスすることです。ムーンの防止という観点からは最も効果の高いものの一つですが、常にカバーパスを行うべきかというとそうではありません。また、カバーパスを行うにしても、常にハートのセカンドベストをパスすべきというわけでもありません。
言うまでもないことですが、カバーパスはムーンを阻止することで自分の勝率を上げるために行うプレイであり、逆にカバーパスをすることで勝率が下がってしまう場合はむしろカバーパスをすべきではないと言えます。
カバーパスを行うことで勝率が下がる場合とはどのような場合でしょうか。まず前提として、ムーンを阻止して大量失点するならムーンを喰らったほうがマシです。さらに正確に言うと、SQを取るムーン阻止ならしなくてもよいです。やはり13点というのは大きく、付随するかもしれないハートの点数を考えるとSQを取ってムーン阻止するのはまったく割に合いません。それなら仲良く26点ずつ喰らった方が良いでしょう。
このことから、自分がSQを取る確率がかなり高くなってしまうようなカバーパスは行わない方が賢明だと言えます。具体的には、イグジットカードが少ない・マイナースーツが共に腐っている等の理由で自分の手が相当危険であると判断できる場合、カバーパスよりも自分に都合の良いパスをした方がいいでしょう。それでムーンを喰らっても仕方がありません。
また、カバーパスを行うと決めた場合でも、ハートのセカンドベストではなくトップ(最も高いカード)をパスした方がいい場合もあります。1つは前述の通り自分の手が危険な場合で、もう1つはハートのセカンドベストがイグジットカードである場合です。例えば次のような場合です。
絶対にH2をパスしてはなりません (勿論、ムーン狙いの場合を除く)。H6をパスして、誰かがH7以上で阻止してくれることを願いましょう。これに限らず、ムーン狙いでない場合は、原則としてイグジットカードをパスしてはいけません。
マイナースートをパスする際の原則はひとつで、危険なスートをなくす(または危険度をできるだけ下げる)ということに尽きます。危険なスートとは決してハイカードの多いスートではなく、イグジットカードの少ないスートです。
極端な例ですが、上記の例ではダイヤモンドよりクラブの方がずっと危険です。この中から3枚パスするとすればクラブを3枚ともパスします。
なお、よく「どちらかのマイナースートをボイドにする(クリア)ようなパスがいい」と言われます。これは上記の「危険なスートをなくす」という原則に則って自然に理解されると思います。もちろんいつもどちらかをボイドにすればいいというわけではなく、とにかく危険なスートの危険度を下げることが重要です。これも極端な例ですが、上記の例にCJを追加した
このようなハンドでもやはりダイヤモンドよりクラブの方がずっと危険なので、クラブから3枚パスすべきです。これはイグジットカードをパスしないという原則からも説明されます。もしダイヤモンドがAK2ではなくAK8なら、ダイヤモンドを3枚ともパスするのがいいかもしれません。ちなみに、マイナースートのイグジットカードをパスする例外のひとつに、スペードが短く、SAやSKをパスされたときに1トリック目にクラブの下にそれを捨てられるようクラブをクリアする場合があります。
また、「危険なスートをなくす」という原則から鑑みて、一方のスートから1〜2枚をパスしてある程度安全になる場合もう一方のスートの危険なカードをパスするべきです。
ここから3枚パスする場合、CJ・CT・DQの3枚をパスします。C4をパスしてクラブをクリアするのは多くの場合間違いです。C4も立派なイグジットカードで、軽々しくパスするべきではありません。クラブが自分にパスされた場合に、手元にC4が残るかDQが残るかの違いは大きいです。
まず、いつムーン狙いをするかが問題ですが、これは当然ながら「ムーン狙いをした方がしない時より勝率が高い場合」に行います。平場だとこのような状況は大きく分けて2通り存在し、
前者の場合は誰でもムーンに行くと思いますが、後者の場合もムーン狙いの方が期待値的に得ならムーンを狙った方がいいです。配られたハンドがどうしようもないとき(イグジットカードがほぼゼロ、スペードも特に多いというわけでもない等)は、多少無理気味でもムーンを狙うべきでしょう。失敗すると25点とか取ることになりますが、どうせ狙わなくても20点ぐらい取ってしまうのであればムーンに賭けるのは悪くありません。うまくいけば、ムーン狙いをすることで逆に失点が減る可能性もあります。
具体的にどのカードをパスするかですが、以下のことに気をつけましょう。