Tokyo Centre › ニュースルーム › 協力的問題解決では、女子の方が男子よりも成績が良いーOECD PISA世界教育調査より
OECD ー パリ、2017年11月21日
協力的問題解決においては、女子生徒の方が男子生徒よりも良い成績を上げていることが、OECDが初めて行った協力的問題解決能力の評価から明らかになりました。
このテストには、世界52カ国・地域の15歳の生徒約12万5000人が参加し、生徒がグループでどのくらい協力できるか、協力することに対する姿勢、また性別や放課後の活動、社会的背景といった要素が及ぼす影響について分析しています。
アンヘル・グリアOECD事務総長は、次のように述べています。「社会的技能を重視する傾向が世界的に強まっている中、教育制度はこうした技能を学校のカリキュラム全体で体系的に育成できるように努める必要がある。親と社会全体も役割を担わなくてはならない。より良い人生を送るためにより良い技能を身につけられるよう、共同体全体が協力するべきである。」
読解力または数学の成績が良い生徒ほど、協力的問題解決の成績も良い傾向があります。それは、情報を管理、理解し、推論する能力が問題解決に必要とされるからです。また、同じことは国際比較についても言えます。PISAの成績が良い国々、アジアでは日本、韓国、シンガポール、欧州ではエストニアとフィンランド、北米ではカナダが、協力的問題解決のテストでも良い成績を上げています。
オーストラリア、日本、韓国、ニュージーランド、米国の生徒は、協力的問題解決において、これらの国々の科学、読解力、数学の点数を元に予測されるよりも良い成績を上げています。しかし、PISA調査に参加した中国の4都市・地域(北京市、上海市、江蘇省、広東省)の生徒の成績は、数学と科学の結果ほどは良くありませんでした。
OECD諸国全体での平均では、28%の生徒が簡単な協力を必要とする問題しか解けません。それに対して、エストニア、香港(中国)、日本、韓国、マカオ(中国)、シンガポールの生徒では、協力的問題解決の成績が良くない生徒は6人に1人未満です。
このテストに参加した全ての国・地域において、女子生徒の方が男子生徒よりも良い成績を上げており、その差は平均で学校教育半年分に相当します(29点)。OECD諸国平均で、協力的問題解決において、女子生徒の方が成績上位者になる可能性が男子生徒より1.6倍高いのに対して、男子生徒が成績下位になる可能性は女子生徒より1.6倍高くなっています。これは、2012年に行われた個人の問題解決能力のテストで男子生徒の方が女子生徒より成績が良かったという結果と、非常に対照的です。
このテスト結果では、社会的に恵まれた生徒と恵まれない生徒との間、または移民と移民でない生徒との間で成績に大きな差は見られませんでした。しかし、学級内で多様性を感じることが協調性スキルの向上と関係している可能性があります。例えば、一部の国々では、移民の生徒が多い学校に通っている移民ではない生徒は、このテストの協力という側面でより良い成績を上げています。
総合的に見ると、体育の授業を受けている生徒、またはスポーツをする生徒の方が、協力に対して肯定的な態度を示しています。それに対して、OECD加盟国平均で、学外でテレビゲームをする生徒の協力的問題解決の点数は、ゲームをしない生徒よりもわずかに低くなっています。他方、インターネットやソーシャルネットワークを学外で利用する生徒の点数は、しない生徒よりも若干高くなっています。
学校で良好な人間関係を育むことは、特にそこに生徒が直接関わっている場合に、生徒の協力的問題解決能力に有益に働きます。学校は、これを奨励するために、より多くの社会活動を組織するとともに、教師には学級管理といじめ対策のための訓練を受けさせることができます。
本報告書と国別分析、概要、データなどは、下記のサイトに掲載しています。
国別分析は、フランス、日本、ドイツ、シンガポール、英国について行っています。
報道関係者のお問い合わせは、OECDパリ本部メディア課(news.contact@oecd.org tel. + 33 1 4524 9700)までお寄せください。
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