「私は14歳の子供だった」 米上院議員候補をわいせつ行為で糾弾の女性
米アラバマ州で上院補選に共和党から立候補しているロイ・ムーア元判事(70)について、自分は14歳の時にわいせつ行為をされたと名乗り出ている女性が、米メディアの取材に対して、相手の自宅で被害に遭ったと話した。
リー・コーフマン氏はNBCニュースに対して、事件は1979年のことで、当時32歳の地方検事だったムーア氏に「誘惑された」と話した。
アラバマ州最高裁の元判事で強硬なキリスト教保守派のムーア氏は、ジェフ・セッションズ氏が上院議員から司法長官に転身したことを受けての補選に出馬。スティーブ・バノン前大統領首席戦略官に擁立され、9月の予備選ではドナルド・トランプ米大統領が支持した候補を押さえて勝利し、共和党候補となった。米紙ワシント・ポスト報道で、コーフマン氏を含む複数の女性への性的暴行疑惑が明らかになると、共和党主流派はムーア候補の支持を撤回している。
ムーア候補はすべての疑惑を否定している。
コーフマン氏は当初、ワシントン・ポストに対して、1979年にアラバマ州エトワ郡の裁判所前でムーア氏に声をかけられたと話した。当時は両親の離婚裁判の最中で、親権をめぐる審理の開始前に母親とベンチに座っていたところ、当時は地区検事だったムーア氏が、審理内容を14歳の子供が耳にしなくて済むよう、外で一緒に待っていてあげると申し出てきたという。その数日後、ムーア氏はコーフマン氏を彼女の自宅近くで車に乗せ、自宅に連れて行き、わいせつ行為をされたと同紙は伝えた。
コーフマン氏はNBC番組「トゥデイ」に出演し、「デートとは呼べないと思います。会っただけだと。14歳の当時、私はまだ誰ともデートしていなかったので」と話した。
「14歳の自分は、そういうことを自分で選べる状態ではなかった。家を曲がった角で(ムーア氏と)会った。母親は知らなかった。それで家に連れていかれた。そうやって2度目に家に連れていかれたとき、向こうは応接間の床に毛布を何枚かしいて、そこで要するに私を『誘惑』した、そう言えるのでしょう」
コーフマン氏によると、ムーア氏は下着姿になってからわいせつ行為におよび、彼女に自分の体を触らせようとしたという。
「その時点で私は身を引いて、こんなことはしたくないと言い、服を着ました。彼は私を家まで送っていった」
「私は大人の世界で遊ぼうとしていた14歳で、向こうは32歳だった」
アラバマ州で若年者が性行為に同意できる年齢は16歳。
補選の投票日は12月12日。17日に発表された世論調査によると、ムーア候補の支持率は42%で、元連邦検事の民主党候補、ダグ・ジョーンズ氏(63)の47%に水を開けられていた。
南部アラバマ州は伝統的に保守系が強い共和党の地盤。同州では1992年を最後に、民主党の上院議員候補は当選していない。しかし、ムーア氏への疑惑に反発する複数の地元紙は、民主党候補を支持するという異例の動きに出ている。
アラバマ州の地元ニュースサイト「Al.com」は19日、「アラバマの有権者はロイ・ムーアを拒絶しなくてはならない」という社説を掲載。「ロイ・ムーアへの投票は、虐待で苦しんでいるアラバマ住民に最悪のメッセージとなる。『自分に何があったか話してもアラバマはお前を信じない』と言うに等しい。あるいは『信じるが、そんなことどうでもいい』と伝えるに等しい」と書いた。
一方で、20日には大統領顧問のケリーアン・コンウェイ氏がフォックス・ニュースに出演中、ムーア候補が当選すれば政権が推進する税制改革案の成立が容易になり、暴行疑惑よりもその方が重要だと示唆した。
司会者に「つまり、ロイ・ムーアに投票しろと?」と聞き直されると、コンウェイ氏は「この税制法案を成立させるために上院の票が欲しいという話だ」と答えた。
上院引退を発表し、ドナルド・トランプ氏を非難した共和党のジェフ・フレーク上院議員は18日、共和党関係者に「もし共和党がロイ・ムーアとドナルド・トランプの党になってしまったら、もうおしまいだ」と話している音声がマイクに拾われた。これを受けてトランプ氏は、「みんなが一番大好きな大統領の悪口を(わざと)マイクに拾われた」、「もうおしまいなのはお前だ」とツイッターで罵倒した。
(英語記事 Senate candidate Roy Moore's accuser: I was a 14-year-old child)