しいたげられたしいたけ

拡散という行為は、元記事の著者と同等以上の責任を拡散者も負う

選択的夫婦別姓訴訟の記事を読んだら2008年の国籍法改正と構図がそっくりだと感じた

サイボウズ社長の 青野慶久 さんの11月19日付 note がホッテントリに上がっていた 。

note.mu

大変わかりやすい好記事だったと思う。記事中からリンクがあった 弁護士の 作花知志 さんのブログ の内容も含めて、ごく大雑把に、図解的に、現行法の問題点を整理すると、次のようになると考える。

(1) 日本人同士の結婚の際には、同姓しか選べない

(2) 日本人同士の離婚の際には、旧姓と婚姻時の姓を選べる

(3) 外国人と結婚した日本人は、旧姓と、外国人と同じ姓を選べる

(4) 外国人と離婚した日本人は、旧姓と婚姻時の姓を選べる

(すみません、青野 さんのエントリーと 作花 弁護士のエントリーには「民法上の姓」と「戸籍法上の姓」に関する議論もありますが、拙記事では端折らせていただきました。詳細に関してはリンク先をご参照ください)

 

これを見ていて、2008年に国籍法が改正されたときのことを思い出した。inflorescencia さんのブログ「国籍法改正について語るための基礎知識(2):裁判官たちは何を争い、何を国会に託したのか - 半可思惟」の内容を参考に、下記のように整理したのだった(2008/11/19付拙記事 に書いたものを一部改めた)。

0) (婚姻、認知の有無にかかわらず)日本人女性より出生…日本国籍が得られる

1) 日本人男性と結婚した外国人女性より出生…日本国籍が得られる

2) 両親が結婚せず胎児のうちに認知…日本国籍が得られる

3) 両親が結婚せず出生後に認知…日本国籍が得られない

4) 両親が結婚せず出生後に認知、その後、両親が結婚…日本国籍が得られる

なんでこんなことになったかというと、法律にはしばしばあることだが、それぞれ適用される条文が違って、別途に改正が重ねられたため、漏れが生じたからだろう。当時は条文まで追っかけたのだが、メモを残していなかったので忘れてしまった。記録は大事だ。

このように、明らかに不合理があり、またその不合理により不利益を受けた人が提訴し最高裁で勝訴したので、法律が改正されたのだった。現在ではこのような不合理は解消されている。

 

今回の問題に関しても、現行法には不合理があり、またその不合理により不利益を受けている人が現に存在するので、青野 さんの主張の通り現行法は改正されるべき、というのが私の立場である。

 

inflorescencia さんのエントリーの画像は転載可とのことでしたので、感謝しつつ引用させていただきます。

f:id:watto:20171121133844j:plain

http://f.hatena.ne.jp/inflorescencia/20081115143111 より

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以下、いつもの一言多い癖を発揮して、言わなくてもいいことを言ってしまう。青野さん支持なら支持でやめておいた方が、余計な敵を作らなくていいことはわかっているが、一言多い癖は抜けないのだ。

2008年の国籍法改正は、内容が複雑だったため誤解が生じる余地があっただろう、ごく少数の保守派の国会議員やネットの排外主義者が吹きあがって、改正反対運動を繰り広げたのだった。その一端がウィキペに残っている ⇒ 「国籍法改正問題 - Wikipedia」ウィキペの記述を信じれば、反対運動というより単なる業務妨害だな。

反対者の主張は「国籍法が改正されると偽装認知が増える」とのことだったが、偽装認知が増えたという事実はありますでしょうか? つか騒いだ張本人たちは、とっくに忘れているであろう。

 

今回の選択的夫婦別姓に関しても、ネットには反論にならないような反論が散見される。「システムの改変を甘く見るな」という意見に対しては、google:image:戸籍謄本 の実物を見たことがないんじゃないかとしか思えない。現行の戸籍システムでも、すでに家族全員の姓が入力可能になっている。いわゆる非嫡出子でも戸籍は作らなければならないから当然だ。

「親子で姓が異なる」という意見に対しては、「夫婦同姓だろうが親子で姓が異なることは現にいくらでもあるって話」に現行法下でもそういうことがある旨を書いた。相続税を軽減するため、直系の孫の一人までであれば祖父母の養子にすることができるのだ(そうすると分割数が増えるため税率が下がる)。

 

さらに個人的な意見を述べるなら、夫婦同姓を法律で強制しているのは今や世界で日本のみ(夫婦同姓:法律義務は日本だけ - 毎日新聞 archive.is)、そもそも実効的に戸籍制度が残っているのも日本のみ(戸籍 - Wikipedia)、個人認証に印鑑を用いていて象牙取引で世界中から批判を受けているのも日本のみ(象牙取引、日本名指しで批判 | ロイター)など…だんだん選択的別姓と関係なくなってきたな…日本の法改正の足の遅さに対しては、他にもいろいろと言いたいことがあるが、話を広げすぎると「無能な味方」というやつで背中から撃つことにしかならないから、自重しよう。自重してへんやないか。

話を一点に絞って、青野 さん支持。