日本はアジアで最下位、高度外国人材への魅力欠く-IMD

  • 国内の労働力だけで必要な技術開発ができるか疑問視-IMD
  • 先端IT分野の人材不足、20年に約4万8000人へ拡大-経産省調査

人工知能やロボットを活用した「第4次産業革命」が進む中、先端分野の人材確保はますます難しくなりそうだ。

  20日にスイスのビジネススクールIMDが発表した2017年版世界人材ランキングによると、調査対象のアジア11カ国中、日本は高度外国人材にとって最も魅力がないという結果になった。世界では63カ国中51位。アジアではシンガポールが1位、香港は2位だった。

  政府も高度外国人材の必要性は認識しており、今年4月から「日本版高度外国人材グリーンカード」を創設し、最短で在留期間1年での永住許可申請を可能にした。だがIMDの調査結果はまだ課題が多いことを示す。

  IMD世界競争力センターのシニアエコノミスト、ホセ・キャバレロ氏は、技術力向上で労働人口減少に対処しようとする日本のシナリオを脅かす調査結果だと分析。「高齢化が続く中でこの傾向が続けば、いずれ問題になる」と述べ、国内の労働力だけで必要な技術開発ができるか疑問視した。

  日本の人材不足はさらに悪化する可能性もある。経済産業省が昨年発表した調査によると、ビッグ・データ、人工知能、IoTなど先端IT分野で、2020年には約4万8000人の人材不足に直面する見通しだ。情報セキュリティ分野は約19万3000人が不足する見込み。

  第4次産業革命での中国や米国と競争では、データ活用も課題。IMDが別に発表した世界デジタル競争力ランキングによると、日本はデジタル競争力では世界27位だが、ビジネスや意思決定の際のビッグ・データや分析ツールの使用は下位だった。

  IMD世界競争力センターのキャバレロ氏によると、IMDの調査結果は経営幹部、日本で就労経験のある日本人と外国人への調査を基にまとめた。「高度人材」は高等教育に加え、金融や国際経験、言語など多様なスキルを保持している人を指す。

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日本株反発、米経済先行きとドイツ政情を楽観-輸出など景気敏感高い

更新日時
  • 10月の米景気先行指数は予想を上回る1.2%上昇、独DAX堅調
  • 為替は一時1ドル=112円70銭台、前日から円安方向に振れる

21日の東京株式相場は反発。米国経済の先行きに楽観的な見方が広がり、ドイツの連立政権協議不調の悪影響も限定的だった。自動車や機械など輸出株、非鉄金属や化学など素材株、石油など資源株といった景気敏感セクターが軒並み高い。

  TOPIXの終値は前日比11.48ポイント(0.7%)高の1771.13、日経平均株価は154円72銭(0.7%)高の2万2416円48銭。

  三井住友アセットマネジメントの吉川雅幸チーフマクロストラテジストは、「マーケットはドイツ問題に対し冷静で、リスクオンの状態が維持された上、米国の景気データが良く、安心感が広がった」と指摘。ドイツの政治情勢は「メルケル首相に代わる人材がいない。最終的に再選挙か、大連立を組み直すか分からないが、激変にはならない」とみている。

東証内
東証内
Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  米民間調査機関のコンファレンス・ボードが20日に発表した10月の景気先行指標総合指数は、前月比1.2%上昇と市場予想(0.8%上昇)を上回った。前月は0.1%の上昇。

  一方、ドイツでは4党による連立政権樹立の協議が決裂し、政権4期目を目指すメルケル首相は20日、少数与党で政府を樹立するよりは再選挙を望むと発言。ただし、シュタインマイヤー大統領は、各政党に連立交渉に戻るよう促した。

  ドイツの政治混迷の兆しは下落した20日の日本株市場に反映されていたが、同日の独DAX指数は0.5%高と堅調。ユーロ・円は20日の東京市場で一時ユーロが急落したが、その後落ち着きを取り戻した。米統計の堅調もあり、きょうのドル・円は1ドル=112円50ー70銭と前日の一時111円台後半からはドル高・円安で推移した。20日の米国株はS&P500種株価指数が0.1%高。

  良好な米統計や海外市場の落ち着きを好感し、きょうの日本株は朝方から輸出セクター中心に買いが先行、一時は先物主導で上げピッチを加速し、日経平均は301円(1.4%)高の2万2563円まで上げ幅を広げた。野村証券の山口正章エクイティ・マーケット・ストラテジストは、「円高傾向にあった為替の不安が一巡したことが大きい。欧米株の上昇にも反応した」と指摘。金融緩和継続の日本に比べ、米国の金融政策は利上げ方向で、「1ドル=112円水準から円安が進む余地がある」と話す。

  ただ、午後にかけての主要株価指数は伸び悩み。三井住友アセットの吉川氏は、「今はスピード調整の局面で利益確定の動きも出やすい。さらに今週は日米とも祝日があり、動きが鈍くなる要因もある」と言う。

  東証1部33業種は石油・石炭製品、非鉄金属、鉱業、化学、機械、証券・商品先物取引、金属製品、輸送用機器、鉄鋼など28業種が上昇。下落はパルプ・紙、その他製品、医薬品、保険、サービスの5業種。

  売買代金上位では、JPモルガン証券が目標株価を上げたSUMCOと信越化学工業が上げ、業績計画を上方修正したヤーマンは急騰。野村証券が下期業績に強気の見方を示したJXTGホールディングス、血友病薬の良好な試験結果が好感された中外製薬も高い。半面、ニトリホールディングスや大塚ホールディングスは安い。

  • 東証1部の売買高は15億2830万株、売買代金は2兆5005億円
  • 値上がり銘柄数は1426、値下がりは526

 

  

  

  
  

  

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