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石川ブラジル文学 じっくり 能美 日系3世小説の朗読会
戦前に日本からブラジルに渡った移民を題材にし、同国の文学賞を受賞した日系3世のナカサト・オスカルさん(54)の小説「NIHONJIN」の朗読会が19日、能美市の「市民協働まちづくりセンターのみにこ」であった。 (中平雄大) 作品は日本で邦訳本が販売されていない。金沢大の杉山欣也教授(49)が現地から日系人による邦訳本を持ち帰り、能美市の市民グループ「親子で楽しむおはなし会たんぽぽ」のメンバー、奈良井伸子さん(48)に紹介。石川から最初の移民がブラジルに渡って今年で百年となる節目に合わせて開催した。 奈良井さんは、小松市在住のブラジル人男性らが奏でるサンバに合わせ、日本人夫婦の苦難を描いた物語の序盤を朗読。集まった約四十人の市民らは情景を思い浮かべるように、じっくりと聞き入っていた。
最後には、著者のナカサトさんから本紙記者を通じて朗読会の参加者に贈られた「日本にルーツを持つブラジル人となれて幸せです」などというメッセージを伝えた。 杉山教授は「ブラジルでは日本文学がよく読まれているが、日本でブラジル文学はほとんど知られていない」と指摘。奈良井さんも「ぜひ日本で邦訳本を出版して」と話していた。 朗読は二十四日午後七時から八時半、金沢市長町の古書店「オヨヨ書林せせらぎ通り店」でも開く。奈良井さんが物語の終盤を朗読し、杉山教授が移民の歴史などを解説する。参加費は五百円。
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