国の文化審議会は17日、映画「男はつらいよ」で主人公・寅さんの故郷として描かれた東京都葛飾区柴又など3地域のまち並みを重要文化的景観に選定し、保護の対象とするよう林芳正文部科学相に答申した。昨年の熊本地震で地表に現れた「布田川断層帯」(熊本県益城町)など2件を天然記念物に指定することも求めた。学術的価値が高く、災害遺構としても重要だと評価した。

重要文化的景観が東京都内で選定されるのは初めて。柴又帝釈天(題経寺)と門前町、渡し船が行き交う江戸川など、下町情緒豊かな景観を保存しようと、葛飾区が選定を申請していた。

重要文化的景観は国の文化財の一つ。開発が制限される一方、景観保護の取り組みに国の財政支援が受けられる。
審議会はこのほか、国宝の天守がある「犬山城跡」(愛知県犬山市)など10件の史跡指定と、仙台藩上級家臣の邸宅に築かれた「煙雲館庭園」(宮城県気仙沼市)など2件の名勝指定も答申。
昭和初期の大規模旅館建築「花巻温泉旧松雲閣別館」(岩手県花巻市)をはじめ、全国188件の建造物を登録有形文化財とすることなども求めた。
近く答申通り告示され、重要文化的景観は61件、史跡・名勝・天然記念物は3242件、建造物の登録有形文化財は1万1690件になる。〔共同〕