日本原電 東海第二原発の運転延長申請へ

日本原電 東海第二原発の運転延長申請へ
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日本原子力発電は、来年で運転開始から40年になる茨城県の東海第二原子力発電所の運転期間を20年延長するため、21日、臨時の取締役会を開いて、原子力規制委員会に必要な審査を申請する方針を決めました。
茨城県東海村にある東海第二原発は、現在、運転を停止中で、再稼働に向けて原子力規制委員会の審査を受けていますが、来年11月に運転開始から40年になり、東京電力福島第一原発の事故後に導入された運転期間の上限に達します。

このため、東海第二原発の事業者の日本原電は、例外的に運転期間を延長するため、原子炉などの劣化状況を詳しく調べる「特別点検」を進めてきました。その結果、日本原電は、21日、臨時の取締役会を開き、安全上の問題はないとして、東海第二原発の運転期間を20年延長するため、原子力規制委員会に必要な審査を申請する方針を決めました。

日本原電は、21日、この方針を地元の茨城県や東海村に説明して理解を求めたうえで、原子力規制委員会に近く正式に申請することにしています。東海第二原発の運転期間の延長が申請されれば、福島第一原発と同じ「沸騰水型」と呼ばれるタイプの原発では初めてとなります。

原発30キロ圏内に96万人

東海第二原発は首都圏にある唯一の原発で、国の防災指針で原発事故に備える範囲とする原発から30キロ圏内には96万人が住み、全国の原発で最多となっています。

内閣府や茨城県など関係自治体は、事故が起きた際、住民を避難させる対策を検討していますが、対象となる人数が多く、バスなどの移動手段や避難経路の確保といった課題が山積しています。

実績ない原発 今後の審査注目

原則40年の運転期間を延長するための申請は、今回の東海第二原発で4基目になりますが、原子力規制委員会は審査に相当の時間がかかると見ていて、来年11月までに必要な手続きを終えなければ東海第二原発は廃炉となることになります。

特に手続きに時間がかかると見られるのは工事計画の認可で、原発に想定される最大の揺れに設備や機器が耐えられるかどうかなどを確認する必要があります。

これまでに運転延長を目指し、工事計画の認可を受けたのは、福井県にある高浜原発1号機と2号機、それに美浜原発3号機で、いずれも関西電力の原発です。すべて「加圧水型」と呼ばれる原発で、関西電力は工事計画の審査に対応した実績を積み重ねてきました。

これに対して東海第二原発は、福島第一原発と同じ「沸騰水型」と呼ばれ、このタイプの原発の工事計画の審査は行われたことがありません。「加圧水型」とは、原子炉の構造や設備や配管の配置など、設計が大きく異なるうえ、事業者の日本原子力発電にとっては初めての審査になります。

このため、規制委員会は膨大な資料の提出などに相当の時間がかかると見ていて、来年11月までに必要な手続きを終えなければ東海第二原発は廃炉となることになり注目されます。

運転延長と廃炉の背景には

電力会社が原発の運転延長を申請するかどうかは、安全対策にかかる追加の費用に見合った採算がとれるかどうか、経営的な判断があります。

福島第一原発の事故を受け、4年前、原発の運転期間は原則、運転開始から40年までとする制度が導入されました。ただ、原子力規制委員会の認可が得られれば、1度だけ、運転期間を最長で20年間延長できます。

この制度のもと、福井県にある高浜原発1号機と2号機、美浜原発3号機の3基の運転の延長が認められ、再稼働に向けた準備が進められています。

その一方で、同じ福井県にある敦賀原発1号機と美浜原発1号機、2号機、島根県にある島根原発1号機、佐賀県にある玄海原発1号機、愛媛県にある伊方原発1号機の合わせて6基については、電力会社は運転の延長を申請せず、廃炉にすることを決めました。

廃炉が決まった原発は出力が30万キロワット台から50万キロワット台と、比較的小さく、仮に運転を延長しても、採算がとれないと判断されたと見られています。

これに対し、日本原子力発電の東海第二原発は110万キロワットと大きく、運転の延長を目指す原発では最も大きな出力です。

日本原電によりますと、安全対策にかかる追加の費用はおよそ1800億円に上っており、さらに今後、テロ対策の費用が上乗せされる見通しです。運転の延長が認められ、再稼働すれば、東京電力や東北電力の管内に電力を供給できるということで、日本原電は、東海第二原発の再稼働で収益の改善を図る見込みです。

日本原電 東海第二原発の運転延長申請へ

日本原子力発電は、来年で運転開始から40年になる茨城県の東海第二原子力発電所の運転期間を20年延長するため、21日、臨時の取締役会を開いて、原子力規制委員会に必要な審査を申請する方針を決めました。

茨城県東海村にある東海第二原発は、現在、運転を停止中で、再稼働に向けて原子力規制委員会の審査を受けていますが、来年11月に運転開始から40年になり、東京電力福島第一原発の事故後に導入された運転期間の上限に達します。

このため、東海第二原発の事業者の日本原電は、例外的に運転期間を延長するため、原子炉などの劣化状況を詳しく調べる「特別点検」を進めてきました。その結果、日本原電は、21日、臨時の取締役会を開き、安全上の問題はないとして、東海第二原発の運転期間を20年延長するため、原子力規制委員会に必要な審査を申請する方針を決めました。

日本原電は、21日、この方針を地元の茨城県や東海村に説明して理解を求めたうえで、原子力規制委員会に近く正式に申請することにしています。東海第二原発の運転期間の延長が申請されれば、福島第一原発と同じ「沸騰水型」と呼ばれるタイプの原発では初めてとなります。

原発30キロ圏内に96万人

東海第二原発は首都圏にある唯一の原発で、国の防災指針で原発事故に備える範囲とする原発から30キロ圏内には96万人が住み、全国の原発で最多となっています。

内閣府や茨城県など関係自治体は、事故が起きた際、住民を避難させる対策を検討していますが、対象となる人数が多く、バスなどの移動手段や避難経路の確保といった課題が山積しています。

実績ない原発 今後の審査注目

原則40年の運転期間を延長するための申請は、今回の東海第二原発で4基目になりますが、原子力規制委員会は審査に相当の時間がかかると見ていて、来年11月までに必要な手続きを終えなければ東海第二原発は廃炉となることになります。

特に手続きに時間がかかると見られるのは工事計画の認可で、原発に想定される最大の揺れに設備や機器が耐えられるかどうかなどを確認する必要があります。

これまでに運転延長を目指し、工事計画の認可を受けたのは、福井県にある高浜原発1号機と2号機、それに美浜原発3号機で、いずれも関西電力の原発です。すべて「加圧水型」と呼ばれる原発で、関西電力は工事計画の審査に対応した実績を積み重ねてきました。

これに対して東海第二原発は、福島第一原発と同じ「沸騰水型」と呼ばれ、このタイプの原発の工事計画の審査は行われたことがありません。「加圧水型」とは、原子炉の構造や設備や配管の配置など、設計が大きく異なるうえ、事業者の日本原子力発電にとっては初めての審査になります。

このため、規制委員会は膨大な資料の提出などに相当の時間がかかると見ていて、来年11月までに必要な手続きを終えなければ東海第二原発は廃炉となることになり注目されます。

運転延長と廃炉の背景には

電力会社が原発の運転延長を申請するかどうかは、安全対策にかかる追加の費用に見合った採算がとれるかどうか、経営的な判断があります。

福島第一原発の事故を受け、4年前、原発の運転期間は原則、運転開始から40年までとする制度が導入されました。ただ、原子力規制委員会の認可が得られれば、1度だけ、運転期間を最長で20年間延長できます。

この制度のもと、福井県にある高浜原発1号機と2号機、美浜原発3号機の3基の運転の延長が認められ、再稼働に向けた準備が進められています。

その一方で、同じ福井県にある敦賀原発1号機と美浜原発1号機、2号機、島根県にある島根原発1号機、佐賀県にある玄海原発1号機、愛媛県にある伊方原発1号機の合わせて6基については、電力会社は運転の延長を申請せず、廃炉にすることを決めました。

廃炉が決まった原発は出力が30万キロワット台から50万キロワット台と、比較的小さく、仮に運転を延長しても、採算がとれないと判断されたと見られています。

これに対し、日本原子力発電の東海第二原発は110万キロワットと大きく、運転の延長を目指す原発では最も大きな出力です。

日本原電によりますと、安全対策にかかる追加の費用はおよそ1800億円に上っており、さらに今後、テロ対策の費用が上乗せされる見通しです。運転の延長が認められ、再稼働すれば、東京電力や東北電力の管内に電力を供給できるということで、日本原電は、東海第二原発の再稼働で収益の改善を図る見込みです。