20日のAM1時過ぎ(ド深夜)。
大阪のホテルでくつろいでいたら、堀江さんと前田さんに呼び出されて、真夜中のタクシーに乗り込み京都(祇園)へ。
超高速で酒をブチ込み、再びタクシーに乗って大阪に戻る。そのまま朝から大阪で仕事をして、夕方には再び京都(祇園)へ。
そこで、酒をブチ込んで、また大阪へ。
反復横跳びのように、大阪~祇園をサササッサッした一日となった。
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昨夜は、吉本興業の社長の大崎さんと、ダイノジ大谷さんとの食事会。
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大崎さんも大谷さんも、お酒を呑まれないので僕だけ呑んで、勝手に酔っ払って、いろんな話をさせてもらった。

以下、僕のメモ張に書かれた文字を、そのまま転機。


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【大崎さん、吉本発の(芸人専門の)オンラインサロンをやった方がイイっすよ】

・アルバイトをしている芸人が多い。

・アルバイトをする芸人の労働力(労働時間)を他のところ(カラオケBOXや飲食店)に100%落とすのは勿体ない。

・手数料5~8%のオンラインサロンビジネスをスタートさせて、吉本興業でアルバイトをしてもらった方が(吉本興業に労働時間を落としてもらった方が)イイ。


【教育】

・毎度チケット速完の『サーカス!』の全国(アジア)ツアー。社長が来年(3月)のサーカス!を観に来る。

・吉本興業は坪田信貴さんを掴まえた方がイイ。

・社長×坪田さんの食事会をセッティングする。

・教育×芸人、ガラ空き。


【温泉&銭湯】 

・古典的な手法だが、しかし、普遍的なモノにインターネットを掛け合わせる産業は、まだまだガラ空き。

・温泉&銭湯×芸人×インターネット。
・現代版の(立ち上げ当時の)宝塚歌劇


【ミュージカル】

・『えんとつ町のプペル』のミュージカル&劇場を作る。

・すでに存在しているミュージカル劇場の前に(ミュージカルファンの生活動線上に)、ミュージカル劇場を作る。(ブロードウェイ化)。


【沖縄】

・沖縄が抱える深刻な雇用問題

・沖縄の人が、もっと前向きに働ける場所(エンタメ空間)を作る。

・城跡が自由に使える。(※「城跡×エンタメ」となると、プロジェクションマッピングに走りがち。プロジェクションマッピング以外の面白がり方は?)
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これらは、僕のメモ張に書かれたものだが、驚いたのは大崎社長も、会話の間で常にメモをとられていたこと。
ちなみに、途中途中で出てくる「○○を作る」は決定事項ではなくて、決意表明みたいなものなので、勘違いなさらず。
(※「ディズニーを倒す!」みたいなもの)

 
こんな感じで、何時間も、ひたすらエンタメの話を続けて、そんな中で、社長の口から飛び出した『ダウンタウン×劇場×テレビ』の話がおもくそ面白かった。

社長はダウンタウンさんの育ての親で(本人は「ホンマに、たまたま隣におらせてもらっただけ。ホンマに」と言っている)、ダウンタウンというコンビを世の中に売り込む為に『心斎橋筋2丁目劇場』という座席数「146席」の小さな小さな劇場を作った。

吉本の劇場といえば、座席数「858席」で、一日三回転(連日満員)の『なんばグランド花月』で、『心斎橋筋2丁目劇場』の立ち上げ当時は、「はやく、なんばグランド花月のステージに立てるように頑張りや」と言われたそうな。

つまり、『小劇場<大劇場』という考え方だ。

ただ、社長が見ていたのは、劇場のキャパ(座席数)に支配される芸人のパフォーマンスで、「大きな劇場になると、そのサイズに合わせて、オーバーリアクションになってくる」と考え、「それはテレビサイズではない」と結論した。

ついつい、『小劇場→大劇場→テレビ』と考えがちだが、テレビタレントの胸元には(小声でも拾ってくれる)ピンマイクが付いていて、テレビカメラもゼロ距離でタレントを狙っている。
テレビは、驚くほどミニマムな密室芸で、その中で求められるスキルは、大劇場ではなく、小劇場で求められるスキルの方が近いというのだ。

この戦略は見事的中。
座席数146席の小さな劇場で育った芸人は、その空間で培った芸のサイズを変えることなく、そのままテレビにトレースできたのだ。

この話には、おもくそ膝を打った。
(社長は決して口にしなかったが)そこで語られた戦略を要約すると「テレビはミニマム芸なんだから、テレビで勝とうと思ったら、ミニマム芸が求められるミニマムな劇場で訓練した方が良くね?」だ。

なるほどなるほど、メチャクチャ面白い。
大劇場をゴールに見据えたら、ミニマム芸のサイズアップが必要だが、テレビをゴールに見据えたら、むしろ、芸のサイズアップは遠回りだ。
吉本興業社長・大崎洋、天才かよ。

そして、その話を聞いた時に、僕の頭に浮かんだのは『M-1グランプリ』のことだった。

説明するまでもないが『M-1グランプリ』の決勝戦は毎年テレビで放映されている。
200~300人のお客さんを詰め込んだ小さなスタジオで、カメラはゼロ距離で漫才師を狙う。
そこで繰り広げられているのは、ミニマム芸だ。

M-1グランプリは、予選1回戦、予選2回戦、予選3回戦…と、ずっとミニマムな小劇場でおこなわれるが、ところが、決勝進出メンバーが決まる準決勝では(チケットが売れるもんだから)大劇場に変わる。
突然、ミニマム芸のサイズアップが求められるのだ。
M-1グランプリは、準決勝だけ、別競技になるわけだ。
“別競技の勝者”が決勝メンバーになるという構造だ。
当然、準決勝と同じネタを決勝でやると、「準決勝ではウケのに、決勝では…」という事故の確率がグンと上がる。

何が言いたいかというと、「M-1グランプリ(決勝)を更に面白くするには、準決勝は、決勝戦と同じサイズ(ミニマム)の劇場でやった方が良くね?」ということ。

もちろん、M-1グランプリに出る芸人は、そういう構造(準決勝で求められる芸と、決勝で求められる芸が変わってくる構造)だということを知った上で参加しているので、そこを踏まえて、臨機応変に戦わなきゃいけないんだけれど、そもそも、芸のサイズを変えることに、運営側にも芸人側にも何の得もない。

しいて言えば、準決勝のチケット代が運営側にチャリンと入る程度。
微々たるものだ。

昨夜、社長の話(ダウンタウン×劇場×テレビ)を聞いて、そんなことを思いました。

しっかし、大崎さん、超面白かったなー。
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※『革命のファンファーレ』を熟読してくれていた大崎さん。あざす!


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