スマートスピーカー「Amazon Echo」で使える「Alexaスキル」とは、要するにスマートフォンにおけるアプリに相当するものだ。スキルをインストールしておくことで、Echoで“できること”は増加する。発売前の段階では日本語に対応した265のスキルが用意されていたが、今後爆発的に増加していくのは確実だろう。
スキルによってもたらされる機能を、キーボードやマウス、タッチ操作などを行うことなく、音声コマンドで素早く使えるのがAmazon Echoの強みだが、実際にEchoでさまざまなスキルを試してみると、向き不向きがかなりあるように感じられる。
例えば、あまりにも長文の返答を返してくるスキルは、そもそもスマートスピーカーで提供すべき情報として適切でないように思える。PCやスマホの画面に表示するのであれば、ざっと流し見することで把握できるものを、全文を耳で聞かなくては把握できないことから、かえって不便に感じられることもしばしばだ。
何か他にメリットがあれば別だが、少なくとも情報は絞り込んで提供してくれなければ、PCやスマホで十分ということになりかねない。
この他、スキルは幾つでもインストールできるとはいえ、あまりたくさんのスキルを有効にしていても、肝心の呼び出し方を忘れてしまいかねないという問題もある。有効にしたまま放置していても特に支障はないが、数を絞っておいて徐々に増やしていく方が、必要か不要かも含めて判断しやすいように思う。
そうした筆者の所感も踏まえて、今回はスマートスピーカーで使う必然性があると感じさせられた、5つのAlexaスキルを紹介しよう。具体的にスキル名を挙げているが、どちらかというとジャンルの紹介と考えてもらった方がよいかもしれない。
「銀行の残高確認」は、まさにスマートスピーカー向けの機能だろう。音声で呼び掛けることで、指定の口座残高を教えてくれるというのは、スマホやPCでログインをして確認するのに比べて手間も掛からず、やりとりも一瞬で完了する。
実際にはパスコードを答えるなど、最低限必要なセキュリティ上のプロセスを経る必要はあるが、あえてスマートスピーカーを使う必然性のある機能と言える(盗み聞きなどには要注意)。ここでは筆者が口座を所有している三井住友銀行を紹介しているが、他にも三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行、住信SBIネット銀行、じぶん銀行の計5銀行がスキルを提供している。
なお残高照会の機能は各銀行とも共通だが、三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行は入出金明細の照会にも対応。この他、住信SBIネット銀行は為替レートを確認できたり、じぶん銀行はスポーツくじ「BIG」のキャリーオーバー金額を教えてくれたりと、それぞれ特色がある。詳しくは各銀行のサイトで確認してほしい。
「食べ物の注文」は、その利用スタイルによって、スマートスピーカーに合う場合と、合わない場合があるように思う。
例えば、豊富なメニューの中から自分が食べたいものを毎回選ぶ場合、写真や価格の入った一覧が必要になるため、PCやスマホを使わなければオーダーそのものが難しい。一方、決まったメニューを毎回リピートするような使い方であれば、一声掛けるだけで注文できるスマートスピーカーはうってつけだ。
ここで紹介している「すき家」のような牛丼は、まさにそうした条件にぴたりと当てはまる。
現段階では自宅まで配送してくれるシステムではなく、最寄りの店舗で受け取るための事前発注ツールという位置付けだが(そもそも牛丼を1個から自宅配送するのはコスト的に難しいだろう)、米国では既にドミノ・ピザがAlexaでのデリバリーに対応している事例もあり、出前にまつわるスキルは注目していきたいところだ。
部屋の中でどこに置いたか分からなくなったスマホを探す機能は、スマートスピーカーにうってつけだろう。
そもそも探す対象が他ならぬスマホであるため、スマホを使って探すのは不可能だし、別のスマホを使って呼び出すにせよ、スマホをロック解除、電話を起動、発信……と少なからぬ手間が掛かる。それが一声掛けるだけで着信音が鳴らせるとなれば、重宝するのは確実だ。
利用にあたっては、スマホにあらかじめアプリをインストールしておく必要がある。利用のハードルが下がることによって、これまでスマホ発見のための最後の手段だったのが、より気軽に使えるようになるはずなので、自宅内でよくスマホが行方不明になるという人は、いつでも呼び出せるよう設定しておく価値はありそうだ。
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