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» 2017年11月20日 06時30分 公開

「あの会社はこうして潰れた」:信用調査マンが解説する“企業の壊れ方”

誰もが順調だと考えていた企業が、思いもよらない理由で倒産するケースがあるという。「帝国データバンク」で25年間調査マンを務めた藤森徹氏は、著書「あの会社はこうして潰れた」で、倒産が起こりやすいポイントを具体例とともに解説している。

[濱口翔太郎ITmedia]

 数百年にわたる歴史を持つ老舗企業、誰もが知る有名企業、飛ぶ鳥を落とす勢いで成長中のベンチャー企業――こうした一見すると順調な企業も、思いもよらない要因で倒産に至る――民間信用調査機関「帝国データバンク」で25年間調査マンを務めた藤森徹氏は、著書「あの会社はこうして潰れた」(日本経済新聞出版社、税別850円)の中でこう指摘する。

 同書によると、企業が倒産する背景には「取引先の不振、産業構造の変化、高齢化による人手不足、赤字経営を隠蔽(いんぺい)するための不正会計などが存在する」という。同書ではこれらの具体例を示しつつ、倒産が起こりやすいポイントを解説している。

photo 「あの会社はこうして潰れた」

 人気の和菓子「千鳥饅頭」などを展開し、創業380年の歴史を持つ「千鳥屋総本家」。伝統ある老舗企業だが、実は2016年5月に東京地裁に民事再生法の適用を申請していた。失敗の理由は「取引の1社依存」だという。

 千鳥屋総本家は、東京ディズニーランド(TDL)運営元のオリエンタルランドと1984年から取引を開始し。納入していたチョコレート製品の売り上げが全体の6割を占めるまでになった。だが、他社の参入が相次ぎ、競争が激化した矢先に11年の東日本大震災が発生。TDLが休業や短縮営業を余儀なくされた影響で売り上げが激減し、やがて取引は途絶えた。その影響で毎月数千万単位の赤字を計上し、破綻に至ったという。

 同書によると、こうした倒産情報をいち早くキャッチするためのコツは「企業を『人・モノ・金』の3つの角度から見ること」だという。具体的には「管理職の大量離職、商品のたたき売り、給料遅配、一般の割引業者での手形換金などは危うい兆候」としている。「情報が漏れていない場合でも、社員がTwitterに『会社がつぶれた』などとツイートをしているケースもあるため、ネット上にアンテナを張ることも重要」としている。

 同書はこのほか、元アイドルグループ「AKB48」の篠田麻里子さんがプロデュースしたファッションブランド「ricori」を展開していたベンチャー企業・リゴレ、脱毛サービス「ミュゼプラチナム」運営元のジンコーポレーション――など約40社の倒産事例を紹介している。倒産の“裏側”を知りたい人に参考になる。

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