ほとんどの人は、学校で「日本は朝鮮半島を植民地化した」と習ったと思いますが、『マンガ嫌韓流』などのせいなのか、ここ最近「日本は朝鮮を併合して日本の一部にしたのであり、植民地化したのではない」という主張が声高に叫ばれるようになりました。そして、朝鮮を「植民地」と呼ぶと「左翼」だの「反日」だのの扱いを受けるということが起きています。

しかし、断言させてもらいますが、1910年から1945年までの朝鮮半島は日本の植民地でした。これはただの客観的事実であり、右翼も左翼も親日も反日も保守も革新も関係ありません。それを植民地でないと言うのは、歴史を知らない無知な人間のご都合主義解釈に過ぎません。今回は、それをご説明しましょう。

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・植民地の定義

まず、「植民地」という言葉の定義を確認しましょう。辞書にはこうあります。
【植民地】
ある国からの移住者によって経済的に開発され、その国の新領土となって本国に従属する地域。武力によって獲得された領土についてもいう。(デジタル大辞泉

【植民地】
本国の政治的・経済的支配下に置かれた地域をいい,完全に本国の主権下にある領土(狭義の植民地)のほか,自治領,保護領,租借地,信託統治・委任統治領なども含まれる。(百科事典マイペディア

【植民地】
「地理上の発見」以後の近代世界における植民地とは,単なる移住地とは異なり,本国に対して政治的従属関係にある地域を意味する。(ブリタニカ国際大百科事典
朝鮮半島はこれらの定義にしっかり当てはまります。当時の朝鮮半島には朝鮮総督府がおかれ、日本から派遣された総督が朝鮮半島を統治していたので、まぎれもなく「本国に対して政治的従属関係にある地域」ですし、日本からの移住者によって経済的に開発され、政治的・経済的に日本の支配下に置かれた地域でした。朝鮮半島を植民地と呼びたくない人たちは、しばしば「朝鮮は本土と同様だった」と主張しますが、本国から派遣された朝鮮総督が統治していたという事実をみれば、それが全くのデタラメであることがわかります。他の都道府県には総督なんて派遣されていませんからね。

以前、「ネトウヨは辞書を引かない」という記事を書きましたが、今回も辞書で「植民地」の定義を引けば、朝鮮半島が日本の植民地であったことに疑いを挟む余地はないのです。その統治が善政妥当が悪政だろうが、植民地は植民地。統治内容の評価は別として、「朝鮮は日本の植民地だった」ということは単純な事実であり、それを否定するのは、自分の脳内で「植民地」という言葉を都合よく捻じ曲げているだけの無知な愚説に過ぎません。



・当時の日本政府も朝鮮を植民地と呼んでいた

「朝鮮は植民地ではない」という主張が間違いだということは、当時の日本政府の資料からも読み取れます。大日本帝国政府自身が、朝鮮や台湾を「植民地」と呼んでいたからです。

例えば、1913年(大正2年)に拓殖局が作成した『日本及各国殖民地統計表』では、朝鮮半島をはっきりと「殖民地」と表現しています。(国会図書館HPで閲覧可能)

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他にも、1923年(大正12年)の『斉藤鷲太郎外一名提出植民地裁判ノ統一ニ関スル質問ニ対スル内閣総理大臣答弁書』においても、朝鮮を「殖民地」と呼んでいます。(国会図書館HPで閲覧可能)

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また、1925年(大正15年)2月1日の第51回帝国議会衆議院本会議において、当時の濱口雄幸大蔵大臣が、「朝鮮その他の植民地」という言葉を用いています。(官報の243ページ参照)

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また、これは政府の発行物ではありませんが、大正1年(1911年)日本経済新誌社発行の『日本植民地要覧』においても、朝鮮や台湾は植民地と表現されています。(国会図書館HPから閲覧可能)

これらの事実から、当時の日本も朝鮮を「殖民地」と認識していたことに疑いようはなく、高須克弥らが主張する「朝鮮は植民地ではなかった」という主張は全くのでたらめであると言うことができます。もしも朝鮮を「植民地」と呼ぶことが反日であるならば、当時の日本政府も反日だったことになります。



・「日本は朝鮮を発展させたから『植民地』ではない」という嘘

朝鮮を「植民地」と呼ぶことを嫌がる人たちは、ほとんどの場合、「日本は朝鮮を発展させた」という主張をします。

しかし、はっきり言いますと、それは何の意味もない主張です。なぜなら、「植民地」であるかどうかと、その土地を発展させたか発展させなかったか、なんていうこととは一切関係がないからです。

思うに、朝鮮を「植民地」と呼ぼうとしない人たちは、「植民地」というものについて、「現地の人たちを虐殺し、土地と食料と財産と資源を一方的に収奪する行為」というような、まるでマンガに出てくる極悪宇宙人のようなイメージでも持っているのではないでしょうか。

しかし、実際にはイギリスもフランスも、現地に鉄道を建設したり、大学を建てたりしています。アジア初の鉄道はイギリスがインドに作ったものですし、イギリスはインドにボンベイ大学、カルカッタ大学、デリー大学など学校も数多く建てています。独立の父であるガンジーは、イギリスが建設したアルフレッド・ハイスクールを卒業した後、ロンドンに留学して弁護士資格を得ています。イギリス統治下のインドでは、タゴールラマンの2人がノーベル賞まで受賞しており、教育レベルの高さがうかがえます。また、フランスもベトナムに鉄道を建設し、インドシナ大学などを建てています。

人口増加に関しても同様です。例えばフィリピンの人口は米国統治の約50年間で3倍近くに増えています。また、フィリピンの鉄道建設は19世紀末にスペイン統治下で始まっています。もちろん大学も植民地時代に建てられました。(フィリピン大学建設は米国植民地統治下の1908年)

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(↑フィリピンの人口推移

もしもインフラ整備だの教育だの工業発展だのを理由に「朝鮮は植民地」ではないと言うのなら、インドもイギリスの植民地ではなかったことになり、ベトナムもフランス植民地ではなかったことになり、フィリピンもアメリカ植民地ではなかったことになります。というか、世界中のどこが「植民地」になるんでしょうね。現地のインフラ整備も教育も工業発展もせずに、一方的に収奪だけした植民地なんてあるんですかね?

当時の朝鮮については、ここのサイトが様々な検証をしています。私もまだ少ししか読んでいませんが、一部の歴史修正主義者たちが大好きな「日本は赤字を出して朝鮮を発展させた」とか「併合は朝鮮が望んだ」とかの主張を一つ一つ丁寧に潰していますので、なかなか読みごたえがありそうです。

日本の朝鮮支配については様々な評価もあるでしょう。しかし、最近は「朝鮮(韓国)は日本の植民地だった」と言うだけで「反日」だのなんだの言ってくる連中がいますが、朝鮮が日本の植民地だったことは、単純な歴史的事実です。そこから否定する人間に、歴史を語る資格はありません

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