外野手の守備位置、何となくで決めてしまっていませんか?
特にライトの守備位置が深すぎることが多いです!
バッターの80%の打球を基準に考えてみましょう!
〇外野手はどこを守らせていますか?
今回は外野手の守備位置について考えてみたいと思います。
今年、私は中学軟式、高校硬式の二つを中心に多くの試合を観戦することができました。
そこでとにかく毎試合感じたのは、
外野の守備位置、特にライトの守備位置がとにかく深いなということです。
どこに守備位置を取るか、このことをポジショニングと言いますが、野球という競技では、内野手・外野手はフェアグラウンドであれば基本的にどこを守っても構いません。
野球というスポーツはおもしろいもので、バッターがボールを真芯で捉えて、会心の当たりを打ったとしても野手がノーバウンドで捕球すればアウトになります。
逆に打ち損じたとしても野手がいないところに落ちればヒットになるんですよね。
そのため、ポジショニングは非常に重要になってきます。
とりわけ、外野は広いので、そこを守る外野手のポジショニングは本当に重要です。
指導者のみなさんは外野手をどこに守らせているでしょうか?
こちらの動画で基本的な守備位置、いわゆる野球の定位置を説明してくれています。
これはいわゆる野球界のなんとなくの「当たり前」「常識」の典型的なものですね。
多くのチームでもこの定位置を基本にしている場合が多いように思います。
内野手のポジショニングについてもいろいろとツッコミどころはあるのですが、それはこちらの記事をご覧ください。
今回はこの動画後半部分の外野手の定位置について言及したいと思いますが、
このセンターを基準に円を描くように守備位置を決める方法は明らかに間違っています。
〇多くのチームが外野手のポジショニングを間違えている!
もし仮に、バッターがレフト・センター・ライト全方向に同じ打球の質で同じ飛距離を飛ばせるのであればこの守備位置で正しいです。
しかし、そんなバッターはまあまずいませんよね。
右バッターだとしたら、基本的にはやはり一番飛ぶのはレフトに引っ張った時になります。
そして右方向に行くにつれて飛距離は落ちていき、一番打球が飛ばないのはライトということになります。
ここまでは多くの指導者、チームが理解していると思うのですが、
それでもまだまだ認識が甘いと思います。
試合を見ていても、右打者のレフトオーバーの打球はよく見ます。
1試合に1本は見るのではないでしょうか?
しかし、今年観戦した試合で、右打者のライトオーバーを見ることはできませんでした。
みなさんはこれをどう解釈しますか?
もしかしたら、レフトは浅いからポジショニング失敗、ライトは越されていないのでポジショニング正解と考える指導者の方が多いかもしれません。
しかし、ポジショニングを考える上で、絶対に長打を許してはいけないケースを除けば、
頭上を絶対に越されないポジショニングというのは逆に誤りです。
そのポジショニングはバッターの100%の打球に合わせた(もしくは100%以上に合わせた)ポジショニングになってしまっています。
100%の打球というのは、要するにピッチャーのボールが甘く入り、それをバッターが会心の当たりを打ったときのことを指します。
この打球を捕れる場所を基準にポジショニングを取ってしまうと、深くなりすぎてしまい、バッターの80%以下の打球、通常の当たり、打ち損じなどが逆に捕れなくなってしまいます。
そしてバッターによってはフェンスにへばりつくくらいの守備位置になってしまいますよね。
これは明らかにおかしい。
バッタリーが捕って欲しい打球は打ち取った当たりです。
会心の当たりを打たれた場合、基本的には責任はバッテリーにあるわけで、捕ってもらえればラッキーとは思いますが、それを捕る代わりに打ち取った当たりを全部前でバウンドされてヒットにされては困るのです。
ですから、外野手のポジショニングはバッターの80%の打球に合わせるべきです。
逆に言うと、バッターが会心の当たりを打った場合には頭を越されるのが当然なのです。
指導者もバッテリーも外野手も、ここを割り切って考えることがポジショニングが上達する第一歩だと私は考えています。
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〇そう考えたときにライトのポジショニングがおかしい!
ちょっと説明が長くなってしまいましたが、外野手はバッターの80%の打球が捕球できる位置を基準に守ることが基本になります。
プロ野球のようにデータが多くあれば、その80%の打球の位置は正確に分かると思いますが、アマチュア野球では初対戦の相手がほとんどになります。
指導者が試合前の相手チームのスイングを見ることなど工夫はできますが、80%の見極めは難しいので、当然ポジショニングを誤ることはあります。
しかし、相手の体格、スイング、バット、ピッチャーとの力関係などをふまえて考え、打者ごとに毎回ポジショニングを変えることが重要になってきますし、繰り返していくと精度は上がってきます。
これに関しては指導者も訓練が必要です。
話が戻りますが、この「相手バッターの80%の打球が捕球できる守備位置を守る」という考え方を基本とした場合、やはり多くのチームのライトのポジショニングは間違っています。
右打者のライトオーバーの打球が無いというのは正解ではないのです。
むしろ右方向に100%の打球を打っても捕球できてしまうところを守っているポジショニングは不正解です。
現に、ライトオーバーが無かった代わりにライト前のポテンヒットは本当に多く見ることができました。
浅く守ることは怖いです。
やはり頭上を越されるということはミスをしてしまったように感じますし、ベンチもレフトに比べて極端に浅いライトを見ると不安になるかもしれません。
しかし、普通の右バッターでライトにどのくらい飛ばすことができるか練習などでよくよく見てください。
飛ばないようになっています。
〇右バッターのライト方向の打球は通常あまり飛ばない!
左バッターのレフトへの当たりは意外と伸びることがあります。
ですから、左バッターの80%に合わせたレフトのポジショニングはそこまで浅くはなりません。
これは1塁ベースがある方向とも関わりがあります。
この話はちょっと難しい話になってしまうのですが、左バッターは1塁が右側にある関係で身体を開き気味に打つバッターが多いです。
【日本ハム】大谷翔平2016年 全ホームラン集 (22本+1本)- 2017 # 57 ...
大谷翔平選手のホームラン集になります。
レフト方向へのホームランは踏み込んでいるというよりも若干1塁方向へ開きぎみに打っているのがお分かりいただけるでしょうか?
逆方向への打球は開くと伸びるんです。
これは不思議かもしれませんが、こうやって打つとインサイドアウトでバットが出やすいからです。
トスバッティングでピッチャーと正対して打った方がやりやすいのはこの理屈です。
もちろんホームランにまでなるのには大谷選手に他にもすばらしいところが多々あるからなのですが。
このように左バッターは開くと1塁が近くなる関係で開くことがあまりデメリットになりませんので、このように逆方向へも強い打球を打つバッターも多くいます。
もちろん、右バッターでも開いて打つとインサイドアウトでバットが綺麗に出やすくなりますよ。
落合博満氏は右バッターでも開いてインサイドアウトの軌道でバットを出す典型的な選手でした。
インコースでこういった打ち方をして引っ張る選手はままいますが、アウトコースを右方向にホームランにしている打球に注目してください。
かなり打球が伸びていますよね。
これは開いてインサイドアウトでバットを出しているのでこういった打球になるのです(まあ他の選手よりも長いバットを使用して遠心力を利用しているというのもありますが)。
ただ、右バッターでこれだけ開いて打っていたら、1塁への到達タイムはだいぶ遅くなります。
そういった不利があるため、右バッターでこれだけ開いて打つバッターはなかなかいないし、指導者も修正させたくなるのはよく分かります。
要するに、アマチュア野球で落合氏のようなバッターはまずいないので、ライトは浅くていいのです。
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〇80%の打球を捕れるポジショニングを徹底してみよう!
ということで、若干話が逸れてしまった部分もありますが、外野手のポジショニングについてお話ししました。
80%の打球に基準を合わせる。
つまりバッターによってかなり大きく守備位置を変えることになります。
勇気がいることなのですが、このポジショニングができると前の打球、要するに打ち取った打球をアウトにできるようになるのでかなりバッテリーは楽になります。
選手はやはり頭上を越されるのを嫌がります。
指導者が練習、練習試合の段階で100%の当たりはバッテリーの責任であって、頭上を越されるのは仕方が無いことなんだということを徹底して伝えていく必要がありますので、指導者の方々はぜひ意識して欲しいと思います。
こちらも参考になるかと思います。
最終的には選手がバッターを見てポジショニングをし、指導者は微調整するくらいのチームができると強いですよ!
※注意点
打力の無いバッターの場合、80%を基準に守ると内野手と守備範囲が被ってしまうことが出て来ますので、その場合はもちろん90%や100%の守備位置になることはあります。
また、今回は守備位置の前後、浅さ深さの点にしか触れていませんが、当然バッターのスイングによって横方向のポジショニングを考えていく必要もあります。
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