その1で挙げた一覧表には無かったのですが、ネトウヨが在日特権としてよく挙げるものに通名があります。通名をころころ変えれば脱税はやり放題、犯罪をやっても本名で報道されることはない、服役後に通名を変えれば前科も消えるので何回犯罪をやっても初犯として扱われる、通名は、在日外国人のなかでも韓国朝鮮人にだけ与えられている不当な特権である、と通名はネットのなかでは規定されています。
1940年2月11日に創氏改名制度が施行され、朝鮮半島に住む人たちに日本名が強制されます、内地ではそれ以前から「通称」として「日本名」を名乗る人たちがいましたが、この時点で日本名が本名になります。敗戦により日本名の強制はなくなりますが、日本名で取得した資格や資産や日本名での公的記録などを消すことはできないので、慣例として復活した本名と日本名の併用が在日韓国朝鮮人には認められます。
通名の元は、帝国政府による創氏改名であり、韓国朝鮮人が好んで作った制度ではありません。
外国籍の人への差別が強い日本に於いては、通名として日本名を使うことは差別の緩和にもなり、就学や就職にも一定の利益がありました。といっても特権という性質のものではなく、差別が少し緩和される程度のものです。
日本社会に於いては、戦後は韓国朝鮮人が通名を名乗るのはふつうのこととされていました。ネトウヨが騒ぎ出す以前に通名が特権などといった声は聞いたとがなく、本名だと差別されることが多いのであの姓を名乗っているという理解であり、それが悪いという気分は私の知っている限りなかったような気がします。同級生にも通名の者はいましたが、通名を名乗るだけで悪人や犯罪者のように言われるなどといったことは、当時の世の中ではありませんでした。
通名は、親から子に姓として引き継がれるものと皆が思っていました。頻繁に通名が変わる人など聞いたことがなく、同級生もずっと同じ名で学校にきており、同窓会なども同じ名で出て来ています。ネットでは在日はころころ通名を変えるなどと言われていますが、現実社会で日替わりで通名を変えている人なんて見たことがありません。
通名を変えたくらいで課税できなくなるほど日本の税務署は無能なのでしょうか、通名を変えたくらいで前科が掌握できないほど日本の法務省は無能なのでしょうか。通名をころころ変えれば社会的信用がなくなります、変える利益がなければ誰も変えません、だから親から子へと通名は実質的な姓として引き継がれていくのです。
それがいつの間にか、在日韓国朝鮮人は通名を変えることによって、脱税も犯罪もやり放題になっているといったデマがネットのなかでは定着してしまっており、通名使用が在日特権とされるような状態になっています。