カニを『ひっこくり』という方法で捕まえました。
生物を捕まえる喜びの大きさは、『ターゲットの個性』と『捕まえ方の楽しさ』の乗算で変化する。
何を言っているかよくわからないかもしれないが、これを食事に言い換えれば、『食べ物の美味しさ』と『食べるシチュエーション』の乗算で幸福度が変わってくるのと同じことだ。 今回はどこの磯にでもいる身近なカニを、伊豆半島に伝わる伝統漁法のひっこくりで捕まえてみた。これが超楽しかったのだ。
趣味は食材採取とそれを使った冒険スペクタクル料理。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。最近は製麺機を使った麺作りが趣味。
前の記事:「日本人が食べない世界一の養殖魚サバヒーを知りたい」 人気記事:「一番安い寝台車のシート、ノビノビ座席で寝てきた」 > 個人サイト 私的標本 趣味の製麺 カニがギンポ釣りの邪魔する大きな岩が転がっているような磯や防波堤にて、岩と岩の隙間に竿先を突っ込んで、ギンポという細長い魚を釣る遊びが好きだ。
以前は針金ハンガーを釣竿にしていたが(こちらの記事参照)、最近は100円ショップで買った竹竿を使っている。長さもちょうど良く、もし折れても100円なので、雑に扱えるのが性に合っている。 こんな隙間にエサの付いたハリを沈める。
これがギンポ。天麩羅にすると最高にうまい。
ギンポ釣りはとても楽しい。ただ、この日は場所なのか時期の問題なのか、ギンポよりも先に、ちょっと厄介なやつがエサに寄ってきてしまうことが多かった。
赤くてゴツゴツとしたショウジンガニというカニだ。どこにでもいるカニだが、それなりにサイズが大きく、鎧武者みたいな重厚感があって、個人的には捕まえたくなるタイプの甲殻類だ。 マガニやイソガニなどとも呼ばれるショウジンガニ。磯にいるカニとしてはなかなかのボリューム。
こいつをどうにかして釣り上げたいのだが、踏ん張る力がとても強いため、糸を引っ張っても簡単には上がってこない。強く引き過ぎると、エサを離すか糸が切れてしまう。この装備で戦える相手ではないのだ。
このカニが出てきたらさっさと諦めて場所を変え、本命であるギンポ釣りに集中すればいいのだが、このショウジンガニの味噌汁はイセエビの味がした覚えがある。ギンポの天麩羅にぜひ添えたい。 『ひっこくり』をやってみようそういえばこのカニを捕まえる方法があることを思い出した。伊豆半島の稲取あたりに伝わる『ひっこくり』という伝統漁法だ。
詳しいことは全然知らなくて、だいぶ前に釣り雑誌かなんかで見かけた程度の知識だが、仕掛けの作り方は何となく覚えている。 今手元にある道具だけでもできそうなので、ちょっとチャレンジしてみよう。 これが急造したひっこくりの仕掛け。
竿の先にサンマの頭を輪ゴムで縛り付け、穂先の輪に太い糸を通す。穂先に輪があるタイプの竿でラッキーだった。
太い糸には小さなリングをくぐらせておき、二つ折りにしてループを作って穂先を通して結び、手前に引っ張っても穂先の輪にリングが引っかかって抜けないようにしておく。 引っ張ると太い糸の輪が縮まる仕組みになっている。
文字にすると訳が分からないが、要するに引っ張っても抜けないようにした輪っかで、エサに寄ってきたカニを縛って捕まえるのだ。 罠のレベルとしては相当アナログなものだと思うが、なんだか投げ縄を使いこなすカウボーイみたいでかっこいい。牛じゃなくてカニが相手なので、カニボーイだけど。
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