ICカードで未来の鉄道をもっと便利に――。三菱電機は20日、ゲート型の改札機がいらない改札口や、介助が必要な乗客を駅構内で素早く見つけることができるシステムなど、駅や鉄道車両向けに開発中の3つの技術を披露した。サービス向上を図る技術として、鉄道会社などに売り込む。
三菱電機のデザイン研究所(神奈川県鎌倉市)で報道関係者に公開した。このうち「フラット型改札」は、ゲート型の改札機へのタッチが不要となる自動料金収受システム(ETC)のようなシステム。交通系ICカードを入れた通信機能付きカードケースと、床面に埋め込んだ通信装置とが通信する。
改札処理が問題なく済めば床面が青く光り、券を持たずに通過すると赤く発光する。かばんの中からICカードを探す手間が省けるほか、「車いすやベビーカーを利用する客もスムーズに通過できる」(デザイン研究所の阿部敬人所長)。
2つめは駅構内で介助が必要な乗客などの情報を「見える化」するタブレット端末。駅に設置したカメラ映像を人工知能(AI)が処理し、改札口を通過したICカードの情報などと組み合わせる。車いすの乗客や視覚障害者が駅のどこにいるのかを地図上に示す。料金未払い客も把握できるという。
3つめが優等席などを想定した座席のシート端末。座席に座る際にICカードをかざすことで、降車駅が近づくと乗客を起こす目覚まし機能などを搭載し、乗車時間に応じた長さの動画も配信できる。
いずれも「駅の改札通過から車両内までの一連の移動を快適にしたい」(阿部所長)という狙いで開発。29日から始まる鉄道関連の技術展に出展する。