【表記題目のような矛盾を,日本経済新聞がまさか気づいていないわけではあるまい】
【経産省の原発コスト「論」の空想的な安価「性:観念」は,いったいいつまで,信仰されていくのか?】
【日本経済新聞は本当に,まだ「原発コストがもっとも安価である」と信じることに「している」のか?】
①「 パリ協定,米離脱が影 COP23閉幕 資金支援巡り途上国に不安 細則,来年に持ち越し」(『日本経済新聞』2017年11月19日朝刊3面)という記事
この記事の本文は引用する必要(つもり)がなく,ただこの記事のなかに掲示されていた,つぎの図表をとりあげ議論する。
『日本経済新聞』がいままで正式に記事のなかで公表してきた原発コストは,この原発がもっとも低く・安いとされていた。最近におけるその原価水準は10.1円である。以前は8.9円であったが,その後少し上昇した。ところが,この10.1円という価格には必らず,それもついででもあったかのように,「~」(つまりそれ以上の原価水準にもなるはずだと表現するための記号「チルダ」)が付置されていた。
本ブログにおける直近の記述では,2017年11月10日「いまどき原発安価『論』をぶち上げられる元経産相官僚の懲りない『誤』原発論,原子力ムラの構成員がなおも振りまく迷説,妥当性のない原発推進論の『妄想』」が批判していたように,原発(発電)コストが10.1円という設定は,あくまで国家・政府(経産省)側の電源政策に則した “政策的=政治的な数値設定” であって,現実(事実ないしは真実)の原価水準をより正確に表示していたとはいえない。その保証などがなかった原価(価格)の表示になっていた。
上段において参照した「再エネの発電稿とが世界で急落」という図表は,「天然ガス(火力)」と「太陽光・風力」の原価が急速に下落してきたのに対して,原子力だけはとくに2016年(昨年)から2017年(今年)には逆に,いちじるしく上昇している事実を示している。
また,太陽光と風力の発電コストが2012年にかぎっては上昇(へと反転)していたが,この原因は前年の「3・11」発生の影響で,再生エネ発電の投資が急に増大した結果と推測される。しかし,これとて結局はその後において「再生エネ発電のコスト」全体を低減させる投資を意味していた。
なお「縦軸に表示された金額の単位」はセントである。参考にまでいえば,現在〔11月17日〕の円・ドル相場は1ドル=112円57~28銭である。この図表をみながら,ごく粗っぽく計算しておくと,原発コストは「16.8円」である。これは為替を通した計算なので,ここではひとまず控えめに15円にはなっている(か?)と,柔軟に解釈しておくに留める。
② 経産省の妄想的な原発維持政策方針
つぎにかかげる図表は,「総合資源エネルギー調査会発電コスト検証ワーキンググループ(第6回会合)資料1」として提出された文書,『長期エネルギー需給見通し小委員会に対する発電コスト等の検証に関する報告(案)』(平成27〔2015〕年4月,発電コストワーキンググループ)から引用した,「2014年モデルプラント試算結果概要,並びに感度分析の概要(案)」である。(画面 クリックで 拡大・可 ↓)
出所)http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/mitoshi/cost_wg/006/pdf/006_05.pdf
この図表はあいもかわらず,原発コストが10.1円だと想定しているけれども,こうした仮定の原価「感」はすでに現実離れだと批判されて当然である。前記した2017年11月10日の本ブログ記述のなかから,もう一度,つぎの段落を再掲しておく。なお,文章そのものは本日の前後関係に合わせて若干変更してある。
それは,「『フクシマ事故があっても原発が一番安い?』ヘソで茶を沸かす経産官僚の茶番劇」(『小坂正則の個人ブログ』2015年04月29日)を参照した記述部分であった。(上の画像と下・右側の画像は,画面 クリックで 拡大・可)
「原発の発電コスト10.1円の内訳だそうですが,よくみると事故コストが0.3円からいくらまで上がるかは誰にも分かりません。ウソとでっち上げのコストです」。
補注)つまり,ここに「~」(将来においてどのくらい膨らむか?)が付いていた。問題点である。
「原発のコストが上がったら,他の発電方法もなぜか軒並み上がっています。これは世界の七不思議ですね」。「大島教授の発電コストでは原発が一番高い(太陽光発電は除いてですが)」。「米国は2010年に太陽光発電と原発のコストがクロス〔逆転〕したそうです。……約16セントですから,2011年当時のレートで15円弱ですね」。
註記)http://nonukes.exblog.jp/21746678/ 〔 〕内補足は引用者。
原発と太陽光の発電コストが逆転した点は,最初に参照した図解(日本経済新聞の記事)のなかに,まさしくそのとおりに正直に,しかもかなり控えめに作図して表現されていた。それでもなお,日本政府・関係官庁(原子力ムラ)は,現実にすでに「人口が減少していき」,確実に「縮小社会」に向かっているこの国家体制であるからには,
これからは必然的にエネルギー需給関係がさらに緩和していき,原発に依存する電源別構成「部分」などまったく不要になっている点,しかも実際に原発なしでも済まされてきた「いままでの実績」があった事実をすらも,「彼らは」意図的に無視した方向を向いている。そうして,なおも「原発への依存比率」を2030年目標で「22-20%」に設定するという「無謀な企図:見果てぬ夢」を捨てていない。
③ 原発は採算不利を発生させる時代になっている
2017年11月17日『朝日新聞』朝刊には,こういう記事が出ていた。見出しは「原電の廃炉費,大幅不足 原発建設に流用,全基停止後も」がであった。冒頭の要約部分の段落のみ引用しておく。
原発専業会社の日本原子力発電(原電)が,廃炉のために準備しておくべきお金を流用し,残高が大幅に不足している。原電が保有する原発4基のうち,東海第2(茨城県,停止中)は来〔2018〕年11月に運転開始40年を迎え,敦賀原発2号機(福井県,同)は建屋下に活断層が走っている可能性が指摘される。これらの原発が廃炉の判断を迫られても,作業に必要な費用を賄えない可能性がある。
つまり,少なくとも「原発専業会社の日本原子力発電(原電)」の発電および売電事業は,不首尾な状況に追いこまれている。企業経営・経営管理の問題次元において維持・発展されるべき基本要件を,必要かつ十分には満たしえなくなっていた。
ましてや,原発という事業の展開にとって「廃炉資金の調達・確保」は,非常に重要な財務会計・管理会計上の基本条件である。ところが,この会計の費目を引当金としてまともに計上(充当)できておらず,この記事では建設中の原発に転用(流用)していた。それにしても,このような原発産業部門における昨今における具体的な事例は,以前のように「原発は安価・安全・安心」といった “神話の気分” が横溢させられ,まかり通っていた時代,つまり「3・11」以前であれば,そう簡単には「想定」しえなかったかもしれない。
といったごときしだいであるゆえ,『日本経済新聞』2017年11月16日朝刊(13面「企業総合」)は,見出しを「合格条件に債務保証 電源東海第2原発の審査」とした記事で,こういう報道もしていた。
原子力規制委員会の更田豊志委員長は〔11月〕15日,日本原子力発電東海第2原子力発電所(茨城県)の再稼働の前提となる安全審査について,安全対策に必要な工事費約1800億円のうちの自社で賄えない分を債務保証する事業者を示すことが合格の条件との認識を示した。資金調達のみこみなしには対策工事に支障が出る恐れがあるため。規制委が債務保証を求めるのは異例。原電の株主で電力売買契約を持つ電力大手の対応が焦点になる。④「再生エネ発電 2040年に4割,IEA見通し 新興国が牽引」(『日本経済新聞』2017年11月15日朝刊)
規制委は14日の安全審査で,原電に工事費を安定して調達する方法を示すように求めていた。更田委員長は15日の定例会見で,同原発の合格の条件を問われ「ほとんどの電力会社は経理的基礎がしっかりしているが,原電はほかの事業者と大きく異なるところがある。債務保証をする事業者の提示を受けることが課題だ」と話した。
原電は〔2017年〕10月,防潮堤の設計変更などで安全対策にかかる工事費が,従来の想定額の2倍超の1800億円になると公表した。工事は2021年3月までに終える方針だ。原電は電力大手9社とJパワーなどが共同出資する電力の卸売会社だ。2基ある原発はいずれも稼働を停止している。再稼働は重要な経営課題だ。
実際に発電はしなくても売電契約を結ぶ東京電力ホールディングスや関西電力など電力の販売契約先から受けとれる基本料金があるため事業は継続できるが,自力で多額の新規資金を調達するのは簡単でない。年1000億円程度の資金借換時にも関電などが債務保証をしている。
【ロンドン=篠崎健太】 国際エネルギー機関(IEA)は〔11月〕14日,2017年版の世界エネルギー見通しを発表した。再生可能エネルギーが世界の発電量に占める比率が,2016年の24%から2040年に40%へ高まると予測。原油は需要拡大が続く半面,米国のシェールオイル増産や電気自動車(EV)の普及に弾みがつけば,価格が1バレル50~70ドルと低位での均衡に向かうというシナリオも示した。
補注)「原油高値 OPEC減産期待 2年4ヶ月ぶり水準」『朝日新聞』2017年11月16日朝刊から,右側の図表を借用しておく。前後する引用のなかにさらに挟みこむことになるが,この記事からは最後部の「つぎの段落」のみ引用しておく。
今後のカギを握るのは,協調減産の枠外にある米シェール業界の動向だ。米商品アナリストのデニス・ガートマン氏は「数百の掘削済みの油井が,速やかに生産を始めるだろう」と指摘。原油が57ドルを超えて上昇を続ける可能性は低いとしている。〔日経の記事に戻る→〕 太陽光や風力などの自然の力からえられる再生エネは,政策の後押しも受けて世界で導入が進んでいる。IEAは2040年の再生エネ発電量が2016年の2.6倍になると推計した。この間の発電量全体の伸びの3分の2を占める。発電量シェアは40%に高まる一方,化石燃料は65%から50%に,原子力は11%から10%にそれぞれ低下する。
普及の牽引役は,新興国での太陽光発電の急成長だ。報告書は「中国とインドが主導し,太陽光は2040年までに最大の低炭素発電源になる」と指摘した。欧州連合(EU)域内では新規発電の多くを再生エネが占め,2030年以降の早期に「風力が主要電源になる」とした。固定買取制度など政策支援にくわえ,競争拡大による導入コストの低下が追い風になる。
報告書は米シェールオイルとEVの台頭による影響も分析した。米国はシェールオイル生産量が2025年までの15年間で日量800万バレル増え,2020年代後半にも原油の純輸出国に転じると予測。需給の緩和で油価の下落圧力につながるとみている。
EVは今回,世界の保有台数が2016年の200万台から,2040年に2億8千万台まで膨らむと想定。ガソリンが不要なEVの普及で,この期間に日量約250万バレルの原油需要が失われるとの予測を示した。2016年版の前回見通しでは,2040年のEV台数を1億5千万台,原油需要への影響を日量約130万バレルと推計していた。
ただ報告書は「原油の死亡記事を書くのはまだ早い」とも指摘した。産業用など他分野で需要増が続くとみているためだ。2040年の世界需要は日量約1億500万バレル(16年は約9400万バレル)へ伸びると推計。中心シナリオでは原油価格は2025年に83ドル,2040年に111ドルまで上昇すると予測した。(引用終わり)
--こういった関連の報道を読んでいると,原発に電源をわざわざ求めねばならない日本のエネルギー政策は,一言でいってしまえば,ただに愚かだと表現するほかない。原発に電源を依存する国家として,世界のなかでは最高度の水準(8割近く)であったフランスでも,つぎのように決定していた。
⑤ 原発依存国家のフランス
以下に紹介するのは2年以上も前の記述,「フランスの原発依存率引き下げが正式確定 国会で法案成立。現行の75%から2020年には50%へ。削減分は再エネ発電増加でカバー。エネルギー政策を転換(各紙)」(『RIEF's Profile』2015-07-23 15:53:30)である。とくに結論部に注意して聞きたい。
--各紙の報道によると,フランスの国民議会(下院)は〔2015年7月〕22日,総発電量に占める原子力発電依存度を現行の75%から2025年までに50%に引き下げる法案を可決した。同法案はすでに上院で可決しており,成立が本決まりとなった。成立した法律は「エネルギー転換法」。
原発比率の低下は,フランソワ・オランド大統領の選挙公約のひとつ。転換法は二酸化炭素(CO2)排出課税の強化,再生可能エネルギーの活用などを含む包括的なエネルギー政策の転換を盛りこんでいる。
フランスは「原発大国」として有名だが,日本の東京電力福島第1原発事故以来,原発の安全性コストが上昇,原子力産業をリードしてきた原発大手のアレバは経営不振から,コクエイの電力後者(EDF)が救済に乗り出すなどの事態が起きている。次世代を担う予定だった新型原子炉EPR(欧州加圧水型炉)もトラブルとコスト高で,ゆきづまり状態にある。
一方で,隣接するドイツを中心に,欧州域内では太陽光や風力などの再生可能エネルギー発電を重視する国が増加,フランスも原発偏重のエネルギー政策の調整が必要になったといえる。フランスが原発比率を50%に引き下げることで,同国の原発は運転期間が来ると廃炉とし,代わりに再生可能エネルギー発電で代替することになる。2050年の再エネ比率は2012年の2.5倍にまで引き上げ,総発電量に占める比率は約32%になるという。
原発比率を大幅に引き下げるフランスだが,それでも発電量の半分が原発である「大国」には変わりはない。ただ今回の法案審議の過程では,当初,50%への引き下げは2050年とする案も出ていた
日本はエネルギー基本計画の見直しで,現在発電量ゼロの原発を2030年には20~22%に回復させる一方,再エネ発電については22~24%にとどめる方針を決めている。発電量の水準はフランスとは異なるものの,日本の「原発推進・再エネ抑制」の政策は,明らかに世界の潮流とは逆の方向を向いているといえる。
註記)http://rief-jp.org/ct13/53616
出所)右側画像は『日本経済新聞』。
⑥ それでも,日本の動向は?
1)「キャンパス『自然エネ100%』 千葉商科大が構想 消費分,自ら発電」(『朝日新聞』2017年11月14日朝刊)
千葉商科大は〔11月〕13日,2020年度をめどに「自然エネルギー100%大学」をめざすと発表した。省エネにもとり組み,千葉県市川市のキャンパスで消費する年間の総エネルギー量と大学の太陽光発電所の発電量を同じにする。国内の大学では初の試みという。
同大学は2013年,同県野田市の野球場跡地に一般家庭約800世帯分の発電量がある「野田メガソーラー発電所」を建設。2014年度の発電量は336.5万キロワット時と,市川キャンパスの消費電力の77%だった。(画面 クリックで 拡大・可 ↓ )
出所)「千葉商科大学-日本初の自然エネルギー100%大学へ」
『EXCITE.ニュース』2017年11月14日 14時05分,
https://www.excite.co.jp/News/release/20171114/Dprp_24550.html
https://www.excite.co.jp/News/release/20171114/Dprp_24550.html
残り23%分を照明のLED化やこまめな消灯といった省エネ活動,野田発電所のソーラーパネル増設などで充当。2018年度は同発電所の発電量と市川キャンパスの消費電力量を同じ量に,2020年度にはガスも含めたキャンパスの消費エネルギーを同発電所の発電量と同じにしたい考えだ。
2)「〈経済気象台〉地域新電力事業を稼ぐ力に」(『朝日新聞』2017年11月18日朝刊)
昨〔2017〕年4月の電力小売り全面自由化に合わせて,自治体などが出資する新電力事業がスタートした。東北地方でも,山形県をはじめ,東日本大震災の被災自治体などが,エネルギーの地産地消をめざして,地域新電力事業に参入している。
そうした自治体のひとつ宮城県東松島市では,市や商工会が立ち上げた「東松島みらいとし機構」が,市や農協,漁協などの関連施設に電力を供給する。昨年6月からは,災害公営住宅85戸と病院,公共施設などを結ぶ「スマート防災エコタウン」の電力管理も請け負っている。エリア内に太陽光発電や大型蓄電池などを備え,自営線で運用しており,電力会社の停電があっても,住宅には3日間,病院には1週間にわたり電力を供給できるという。
出所)画像は,http://hm-hope.org/denki/
事業が黒字基調で推移しているのは,電力の需給調整を自前の職員でおこなっているためだ。需給管理のノウハウが地域に蓄積され,雇用も生まれ,お金も地域で循環する仕組が形成されようとしている。新電力事業が地域の稼ぐ力となっているのだ。
短期間でノウハウを蓄積できたのは,「ローカルグッド創成支援機構」の立ち上げ支援によるところも大きい。この団体は地域に魅力ある強いビジネスをつくることを目的として,とくに各地の新電力による自前の需給管理を後押ししている。
自然エネルギー事業を立ち上げて,その収益を地域の課題解決に活用するとり組みの先進地はドイツだ。ドイツの地域事業体「シュタットベルケ」の実践に倣おうと,今年8月には「日本シュタットべルケネットワーク」が発足,東松島市も参加する。新電力の稼ぐ力が日本各地に展開しようとしている。(引用終わり)
3)結語的な若干の論及
それにつけても,日本の原発政策はいまだに姑息であり,いつまでも旧態依然である。どうしてそこまでもあえて,まだ原発を利用したがるのか? 2030年にその比率を “22-20%に上昇させ(戻し)たい” というけれども,この時代錯誤ぶりは度外れである。「3・11」後にあってはすでに「2年近くの期間を原発ゼロ」で生活してきた。
電力会社が以前まで,総括原価方式で手厚く保護される事業経営ができ,地域独占企業として強大な経済的支配力を実質的に保持・誇示・実行してきた。とはいっても,「3・11」以後において余儀なくされた「原発ゼロ」の時期を,なんとかしのいできたではないか。関西電力のように「5割を原発に依存していた会社」は,かなり苦しい経営状態に追いこまれていたものの,それで潰れるという結果にはなっていなかった。
関電は電源を原発に依存する率が高いために,いまもなお,当面する短期的な営利の観点を懸命に追求中である。しかし,目先にかかわる利害だけでもって原発を再稼働させえたところで,10年先・20年先をみない電力会社の運営・管理では,その最高経営者にはまともな未来展望(広義では経営理念,狭義では経営戦略)がないと批判されるだけである。
フランスでも原発を減らしていく基本姿勢を採らざるをえなくなっていた。一度は原発ゼロにする時期をもてた日本が,2030年にまでは「22-20%」にまで原発の比率を上げていくというのは,自覚症状のまったくない「麻薬中毒に近い発想(本質的には不採算であるほかない〈事業経営の感覚マヒ〉)」である。
今後はせいぜい廃炉事業のほうで金儲けをしたいというのであれば,まだ分かる。だが,これからもさらに原発を代替的にでも新設するという発想は,21世紀におけるエネルギー観じたいがどだい狂っているとしかいいようがない。それとも「核発電」⇒「核兵器」の道筋を残して確保しておきたいのか?
「残る答え」はそのあたりにも控えているのかもしれない。どちらにしても,その陰に隠れているのは『《悪魔の火》の国の大王』である。「《悪魔の火》の所有者」はいま,地球上の人びとをみつめている。そして,いまさらのように,こういうことをあらためて肝に銘じているはずである。
プロメテウスよ,人間にいろいろと生きてゆく知恵をさずけてやってくれ。ただ,火だけはやってはいけない。あれは神々だけのもちものにしておこう。人間が火を使うことをおぼえたら気が強くなって,われわれの手におえんようになるかもしれんからな。もし,このいいつけにそむいて,人間に火をやったら,おまえにはおそろしい罰がくだるぞ。
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