メルケル独首相の連立交渉失敗-4期目続投に向けた選択肢狭まる
メルケル氏
- 自由民主党が連立協議から離脱-ユーロ下落
- 想定される今後のシナリオは少数与党政権や再選挙
ドイツのメルケル首相は、新たな連立政権樹立に向けた取り組みが失敗したことを認めた。これを受け、ドイツは再選挙に向かう可能性があり、欧州の指導者で最も在職期間が長いメルケル氏が政権を維持できるかどうか不透明になっている。アジア時間20日の外国為替市場ではユーロが下落した。
首相率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と自由民主党(FDP)、緑の党による連立に向けた1カ月に及ぶ予備的協議は、FDPの交渉担当者が退席したことで20日へと日付が変わる直前に決裂した。
メルケル氏は暫定首相として職務を続け、今後について20日に大統領と協議すると説明した。在職12年のメルケル氏は、欧州の危機時にも安定の要としての役割を果たしてきたが、連立協議の決裂は、特定のイデオロギーに偏らない同氏の現実的な統治手法の限界を示し、4期目続投に向けた選択肢は大きく狭まった。
メルケル首相(63)は協議決裂後に記者団に対し、「暫定首相として、この国が今後の厳しい数週間に引き続きよく統治されるよう、あらゆることをする」と語った。
移民制限巡り対立
今後の可能性としては、CDU・CSUによる少数与党政権や、シュタインマイヤー大統領に総選挙を命じるよう求めることが考えられる。いずれのシナリオもドイツが未知の領域に踏み込むことを意味する。第2次世界大戦後に同国(旧西ドイツを含む)の首相を務めたのはわずか8人。
協議の決裂を受け、アジアの外為市場でユーロは一時0.6%下落した。
FDPのリントナー党首は記者団に対し、正式な連立交渉に入るための合意草案は「数え切れないほどの矛盾」に満ちていたため、協議から離脱したと説明した。
移民制限を巡る意見の相違が予備的協議の開始時点から合意を困難にしていた。9月の総選挙でメルケル氏率いる勢力の得票率は1949年以降で最低となり、反移民を掲げる「ドイツのための選択肢(AfD)」が12.6%の票を獲得し、議席を得た。かつてCDU・CSUに投票した有権者の票の多くがAfDに流れた。
原題:Merkel’s Attempt to Form a New German Government Collapses (3)(抜粋)