私には3年半付き合った彼氏がいました。
アラサーで、多忙な職種の人で、仕事が大好きで、多趣味で、友達や仕事の人間との関係構築も良好で、兄弟や実家との関係も問題なし。
何より私が勉強したいことや興味のあることを応援してくれる、まさかこれまで彼女がいなかったとは到底考えられないほど素晴らしい人でした。
私はこの人と結婚するつもりでいました。
一人暮らしが長いため生活力があったこと、自分の能力を以って稼ぎ続ける人だったこと、友人や家族・上司・部下といった人間関係の構築に一切の難がなく人望が厚いこと、貯金ができること、何より私を心から気遣って大切にしてくれる人だったことです。
そんな彼と私にはある共通認識がありました。
「自分みたいな非モテなんかが、ここまで異性に気に入ってもらえることなんて今後ありえない」です。
彼はアラサーになるまで仕事一筋、恋愛にも興味がないため、モテの何たるかを一切心得ていません。
デートでも鼻毛は伸び放題、身体に微妙にあっていないサイズの服。
でも私にとってそれは、好きな人と一緒に過ごす上では瑣末なことなので、鼻毛カッター買いなよと言ったくらいで別に気にしませんでした。
それゆえに彼は、彼のままでありつづけながらも離れない私を見て、前述した共通認識を持つようになりました。
彼氏がいると公言していたり、飲み会では自らを犠牲に笑いをとって盛り上がる側になる他、見た目にもそれほど気をつかわずに生きてきた期間も長いものでした。
またそもそもの人相があんまり良くない上にそれをカバーすることも特にしませんでした。
それゆえに私は「自分なんかにはもう異性に言い寄られることなんかないし、それでいい」と思うようになりました。
つまり、「もう今後誰にも言い寄られる可能性がない者同士」という利害関係の一致が、学生と社会人のカップルを長く続かせる要因になりました。
しかし、もうすぐ4年目にさしかかるところでこの関係は終わりを告げました。
原因は私の浮気です。
いい友達になれるかも!と思い、2回目に会って食事をしたとき、お酒の勢いで家に連れ込まれました。
なぜ断らずに家に入ったか。
から、です。
そこに、自分が信じ込んでいた「自分にはもう異性に好かれる可能性がない」という思い込みを壊してくれる期待が重なります。
それに、男性経験が一人の人生でいいのだろうか…?という考えもよぎります。
その上お酒の力で気分がいいので尚更判断力は鈍り、結果男の家にほいほいと入って行きました。
こうして私は初めて、彼氏以外の男と唇を重ね、セックスをしてしまいました。
その男は私とそれほど年が変わりませんが、かなりの高学歴かつ稼ぎも相当良く、身長が高く、運動部にいたためガタイもよく、見た目や服装に気をつかえて、人の話を膨らませて聞き役に回ることが非常にうまく、連れて行くと女性が喜ぶお店をたくさん知っていて、またセックスもとても上手でした。
ことを終えた後、酔いも覚めてきて、罪悪感に支配されました。
しかし男が持つハイスペックぶりと彼氏のスペックを比べたり、「私を好きでいてくれる男がいる喜び」に味をしめるようになったり、これまで経験したことがない性的快感にハマったこともあり、オフ会で知り合った男に入れ込むようになりました。
何度も何度も逢瀬を重ねるようになりました。
何日か経って、彼氏に会った時、自分の中に異変が起きていました。
デートなのにあまりにモサっとした見た目… 行く飲食店も変わり映えのしないところばかり… セックスもあの男の方が全然気持ちいいじゃん… といったこれまで気に留めなかったことばかりが目につくようになりました。
私は彼氏以外の男と交わることで、初めて比較対象というものを得ました。
これによって私は、これまで良しとしていた彼を「無理!!」と感じました。
何より「もう今後誰にも言い寄られる可能性がない者同士」という利害関係が崩壊したことが決め手でした。
こうしてもう彼氏として見ることができなくなり、気持ちが離れていきました。
3年半も付き合ってきたのに、あっけない終わりでした。
長かった彼氏との関係を解消し、オフ会で知り合った男にいよいよ本気になった私は徐々に、自分が所詮セフレ以上の存在にはなれないことを悟ります。
私以外にも同じように、オフ会で知り合ってセフレにしている女が何人もいたことを男本人から伝えられました。
私を好きになってくれたのではなく、ただの暇を繕う玩具として扱っていただけのことに気づきました。
あまりに経験が浅い私は、こんな人本当にいるんだ…というショックを受けました。
今まで彼氏は私一人を大事に扱ってくれたので、それと同じように、オフ会で知り合った男も私を大事にしてくれるのだと思い込んでいたのです。
私はやっと、彼氏がどれだけ愛情を注いでくれたかに気づきました。
男は私がだんだん本気になり始めたとわかると、連絡を無視するようになりました。
嫌われたんだというショックよりも、自分はもう用済みなんだという屈辱的な扱いに愕然としました。
何より「気持ちが離れたから捨てた」というこの男の行動は、私が彼氏にしたことと同じです。
なんとか彼女に昇格しようとして気を引くのも、気に入られようと努力するのも、全てが虚しく感じました。
こんなことをしても私は結局幸せじゃない。
しかし、その最低と言わんばかりの男からは、いくつかの素晴らしい贈り物をもらいました。
・恋をしたので見た目に気をつかうようになった(事実、母親や女友達やインターン先の女性社員から見た目を褒められることがグッと増えました。美容室で髪の毛を整えたり、自分に合うメイクを研究したり、ジムに通い始めたのも、オフ会で知り合った男がきっかけです。)
・「私を気に入ってくれる異性なんかいない、私にはもう次がない」などという後ろ向きな思い込みを捨てさせ、未来に希望を持たせたこと(穴扱いとはいえ、頭脳や見た目はハイスペックの選別するレベルにかなったようなので、私はちゃんとすればまだまだイケるんだ!と思うようになりました。これがたとえ盲信だったとしても、後ろ向きなまま生きるよりはきっと健康的です。)
・人はスペックではなく、人間性を何よりも重要視すること。スペックだけに目がくらんで作った人間関係では幸せになれない。
・自分もまた、見た目やスペックに加え、最後は人間性によって選ばれているということ。
・人から好かれるためには、まず自信を持つこと。その自信を持つために、自分がやるべき仕事をきちんとこなし、よりよい仕事をするための勉強を欠かさず行い、時間厳守や挨拶や気遣いといった人として当たり前のことを当たり前のようにやる。そうして昨日の自分より頭のいい自分になる努力を重ねていくこと。
フリーになって自分を見つめ直したとき、気づいたのはこれでした。
自分を無理やり切り替えて前向きに生きなおすための思い込みですが、「あの男との出会いは自分を次のステージに進めるための必然の出会いだったのだ。私はもう二度と同じような過ちをしない。これ以上不必要に人を傷つけずにうまくやっていくための気づきを与えてくれたのだ」と思うことにしました。
そう思いながら、学生の本分である勉強を、心を入れ替えて始めました。
こうして大学生活、終わると思います。読んでくださってありがとうございました。
こういうのを見ると、やっぱり20代前半でそこそこに遊んできた子じゃないと結婚はリアルじゃないって思っちゃうんだよなぁ 壮絶な過去を共有しているとか、よほど運命的な出会いだ...
まだ学生だったのかよ! アラフォーになってもまだ独身ですってオチじゃないとハッピーエンドにならないだろ!
貞操観念の弱い子はやられて捨てられがちだね。 あと女性は若いってだけで選ばれる場合があって男女非対称な構図がありますねー。