ゲームで子育て『スプラトゥーン2』
なぜなら、子どもにやらせたいゲームで、『スプラトゥーン2』を超えるものが、おそらく無いだろうから。父親になって十余年、子どもと一緒に、さまざまなゲームをやってきた。ポケモン、モンハン、レースもの、対戦もの、色々やってきたけれど、これが最高なり。
ゲームは、現実社会の様々な事象を楽しめる形に抽象化したもの。現実より多めに報われるルールに則って、プレイヤーは楽しむためにプレイする。現実だと普通に直面する、見えないルールやチート術は、原則存在しない。
子どもは、ゲームを通じて挑戦することを学び、安全に失敗を経験することができる。現代の日本では、「子どもが安全に試行錯誤できるという環境は、実は少ない。その希少な、かつ子どもが喜んでチャレンジする環境こそが、ゲームなのだ。ゲームは、子どもに必須といっていい。
ただし、人生はゲームではないことに注意したい。人生をゲームに例える人がいるが、それは嘘だ。難易度は選べず、セーブポイントは皆無。1回こっきりでコンティニュー不可、パラメーター振分け不可、ランダム要素が多すぎ。攻略本は書店にあるが、全く役に立たない。一つだけ、人生とゲームの共通点があるとするならば、電源ボタンがあるところだな。
人生はゲームじゃないが、ゲームは人生に役立つ。『スプラトゥーン2』は、その最高の一つである。暇つぶしに始めたのに、暇じゃない時間までが潰されていく中毒性の高いゲームだが、生きていく上で、重要なポイントを、知らず知らずのうちに学ぶことができる。ここでは、そんなポイントを解説する。
ポイントは3つある。
■ポイント1 「集中力は有限だ」「ちゃんと寝よう」
『スプラトゥーン2』はオンラインゲームである。ネットを介して4対4で戦うゲームである。水鉄砲のような武器でペンキを撃ちあう(というか塗り合う)ゲームで、マップを自陣の色に塗りまくれば勝利につながるゲームである。
単純に塗って楽しんでもいいが、単なるアクションシューティングだと思っていると、いずれ「越えられない壁」にぶつかる。いわゆる「立ち回り」を考えなければならない。制限時間の中で、自分の武器と、自チームの武器・ランク、マップの特徴、相手チームの武器・ランクを考えながら、最適な戦い方を選びつつ、勝つために自分ができることを考える。敵を排除するのか、味方のサポートに回るのか、攻めて相手を撹乱するのか、瞬時に判断し、実行する。
これが非常にアタマを使う。30分もプレイすると、ヘトヘトになる。テキトーにやってもいいが、テキトーな結果しか返ってこない(ここがゲームのシビアなところ)。無理を承知で続けると、集中力が続かない。ボコボコにされる。そこで学ぶのだ、「集中力は有限」であり「寝れば回復する」ことを。言い換えると、「ちゃんと寝ないとダメ」だという、おそらく人生で最も重要なポイントを学ぶことができる。
■ポイント2 「コントロールできること、できないことを、分けて考える」
『スプラトゥーン2』は、「鬼ごっこ」と「かくれんぼ」を合体させたようなゲームである。
ペンキを相手に当てれば倒せるが、射程距離がないので、自ずと追いかけっこになる。自分の武器の射程を考えて立ち回ることで、有利に相対することができる。また、ペンキを塗ったところはイカに変身することで「隠れる」ことができる。ここぞというポイントで隠れては撃つことで、自チームを有利にすることができる。あるいは、「やられた!」「ナイス!」など、仲間に合図を送ることができる。
だが、自分にできることはそれまでだ。
その武器を持っているなら、サポートして欲しいと思っても、その人がどう動くのか、自分にはどうしようもできない。いま、この状況で、「こうすべき!」ことが分かっていても、自チームに伝える術がない。もっと言うなら、どんなチームになるかは選べない。「どうしてこうしてくれないの?」「なんでそこで突っ込む!?」「使えねーこいつらwww」と自チームを罵っても始まらない。そうではなく、想像力を働かせて「その状況で自分に何ができるか?」を常に考えながらプレイすると、自然と、勝ちにつながる(ような気がする)。
イチローの名言を思い出す。「自分がコントロールできることを、コントロールできないことを、分ける。コントロールできないことは放っておいて、コントロールできることに集中する」というやつ。あたりまえなのだが、チーム編成、相手の動き、自チームの動きは、コントロールできない。コントロールできないことに気に病んでも仕方ない。何のためにプレイする? 勝ちを目指すため! なら、コントロールできることに集中しよう。
スヌーピーの名言でもいい。「配られたカードで勝負するしかない、それがどうゆう意味であれ(You play with the cards you’re dealt …whatever that means.)」というやつ。チームメイトに恵まれない状況のときは、これを思い出している。そこで全力を尽くすほかはない。
■ポイント3 「先達はあらまほしきことなり」
『スプラトゥーン2』は「実践で学べ」というスタンスだが、何事にも”コツ”というものがある。武器とマップの相性とか、敵のランク配分に応じた立ち回りかたとか、もっと単純に言うと「この場所を塗っておくと、後で楽に攻められる」といった豆知識まで。
もちろん、自分の経験を通じて、そうした知恵を学ぶことができる。だが、そのためにはそれなりの時間や労力を必要とする。そんな努力は無駄ではないが、もうちょっと効率よく進めることができるはずだ。でもそれは、「もうちょっと効率よく進めた後」でしか知ることができない。即ち、通り過ぎた後で、「ああしておけばよかった」というもの。後悔先に立たずとは、言葉の定義からして免れぬもの。
ではどうするか? 先達に学ぶのだ。
自分よりも少し上の人とフレンドになって(ゲームの中でつながりをもって)、その人と一緒にプレイをする。すると、そのプレイスタイルから学ぶことができるのだ。もっと言うと、リアルでも話し合えるといい。子どもに聞くと、「スプラの会」を作って、休み時間や放課後に攻略談義をしているようである。我が家では「ゲームは2日に1時間」というルールがあるため、実ゲーム時間は少ない。だが、ランクが上の人(先達)に立ち回りかたを聞くことで上達している。
さらに、上手い人と一緒にプレイすることで、「引き上げて」くれることになる。わたしよりも遥かに少ないプレイ時間で、わたしよりも遥かにランクを上回っているのは、そのせいだ。この経験は、『モンスターハンター4』でしたことがある。上手い人と一緒にやっていると、自分も上達する。
これは、仕事をするチームでも一緒だ。優秀な人と一緒に仕事をしていると、自分も優秀になる。700年前に「先輩の言うことを聞くと、効率よく攻略できる」といったのは兼好法師。『スプラトゥーン2』においても、彼は正しい。
というわけで、先達の皆さま、どうかわたしを導いてやってくださいまし。
フレンドコード : SW-3436-3723-4801
休日早朝とかに出没中(普段は嫁様がマスターモードに精を出しているため)。
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