安倍政権の「憲法クーデター」を許すな

福島瑞穂・社会民主党副党首に聞く

2017年11月20日(月)

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10月の総選挙で与党が3分の2の議席を維持したことを受けて、改憲論議が再び活発になる。果たして、どのように改憲すべきなのか。議論は百家争鳴の様相を呈す。「9条は一言一句変えてはならない」と主張する福島瑞穂・社民党副党首に聞いた。

(聞き手 森 永輔)

福島さんは、9条をどのようにすべきと考えますか。

福島:私は、原文のまま決していじってはいけないと考えます。

 憲法には理想を掲げる場という役割があります。9条は、世界から戦争がなくなるように、日本が戦争にコミットしないように、という理想を述べています。この理想を降ろしてはなりません。

「法の下の平等」について述べた憲法14条と比べると分かりやすいでしょう。

第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

○2 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。

○3 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

福島瑞穂(ふくしま・みずほ)
社会民主党副党首。参議院議員。東京大学卒業後、弁護士として選択的夫婦別姓、婚外子差別などに取り組む。1998年初当選。2009年には内閣府特命担当大臣として男女共同参画・自殺防止・少子化対策などを担当し、DV被害者支援や児童虐待防止、貧困対策、労働者派遣法改正に取り組む。2010年、辺野古への新基地移設の閣議決定の署名を拒否し、大臣を罷免される。(写真:加藤康、以下すべて)

 法の下の平等は実現していません。いまだに女性、障害者、性的弱者、外国人、部落出身者、アイヌなどへの差別が続いています。しかし、たとえ困難ではあっても、たとえ時間がかかろうと、これらを撤廃しなければならない。14条はこの理想を語っています。

 9条が掲げる理想もこれと一緒です。それに、戦争をなくすことは、差別をなくすことに比べれば容易でしょう。あらゆる差別を根絶することは必要ですが、すべての差別をなくすことは本当に容易ではありません。これに対して戦争は、政府が決定して始めるもの。なので、政府が決めなければよい。お金もかかりますし。

確かに戦争はお金がかかりますね。

福島:加えて、特に今だからこそ、9条をいじってはいけないと考える理由があります。安倍政権が2015年9月に安全保障法制を成立させたからです。安倍政権は9条の解釈をねじ曲げて、ダリの絵に描かれた時計のように歪めた。憲法を「たたき壊した」と言っても過言ではないでしょう。そして、この新たな解釈に則って、安保法制を作った。

 一連の流れの中で、9条の下で何ができて、何ができないか、が分からなくなってしまいました。この状態を放置したまま9条の条文を改めれば、さらなる混乱が避けられません。

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「安倍政権の「憲法クーデター」を許すな」の著者

森 永輔

森 永輔(もり・えいすけ)

日経ビジネス副編集長

早稲田大学を卒業し、日経BP社に入社。コンピュータ雑誌で記者を務める。2008年から米国に留学し安全保障を学ぶ。国際政策の修士。帰国後、日経ビジネス副編集長。外交と安全保障の分野をカバー。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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